武田薬品、通期純利益予想を430億円上方修正 中間営業益60%増も、為替影響除く売上は1%減

2026年10月29日 17:49

今回のニュースのポイント

武田薬品工業が2026年10月29日に発表した2027年3月期中間連結決算(IFRS)は、売上収益が前年同期比8.4%増の2兆4,070億円、営業利益が同60.4%増の4,067億円となりました。無形資産償却・減損の減少や円安が増益を牽引し、通期の親会社所有者帰属利益予想を430億円引き上げました。一方、為替影響を除いた恒常為替レート(CER)ベースの売上収益は同1.0%減、会社独自のCore営業利益は同0.7%増にとどまり、為替や一時要因を除いた本業の収益動向には慎重さも残ります。

本文
 武田薬品工業(4502)は2026年10月29日、2027年3月期第2四半期累計(中間期、2026年4~9月、IFRS・連結)の決算を発表するとともに、通期の連結業績予想の上方修正を開示しました。通期の親会社の所有者に帰属する当期利益予想は、従来公表値の1,660億円から430億円引き上げて2,090億円(従来予想比25.9%増)に上方修正しました。また、売上収益予想を600億円増の4兆7,000億円(前期比4.3%増)、営業利益予想を従来予想から330億円増の4,530億円へ引き上げています。

 中間期の実績は大幅な増収増益でした。売上収益は前年同期比8.4%増の2兆4,070億円(2兆4,069億9,700万円)、営業利益は同60.4%増の4,067億円(4,067億3,900万円)、税引前中間利益は同78.2%増の3,187億円(3,186億8,800万円)を計上しました。営業利益率は前年同期の約11.4%から約16.9%へと約5.5ポイント改善しています。親会社の所有者に帰属する中間利益は同171.8%増の3,056億円(3,056億2,600万円)となり、前年同期の約2.72倍(約2.7倍)に達しました。

 ただし、為替変動の影響を除いた実態ベースでは異なる側面が見られます。実勢レート(AER)では8.4%の増収となった売上収益も、為替影響を除外した恒常為替レート(CER)ベースでは1.0%の減収でした。また、事業売却や無形資産償却などを控除した会社独自の調整後指標であるCore営業利益は7,106億円(前年同期は6,392億円)となり、AERベースでは11.2%増となったものの、CERベースでは0.7%増とほぼ横ばいにとどまりました。

 IFRS営業利益が大幅に伸長した背景には、製品に係る無形資産償却費および減損損失が前年同期の3,368億円から当中間期は2,185億円へと約1,183億円減少したことがあります。ADHD治療薬「ビバンセ」の米国特許満了に伴う償却終了や、前年同期に計上した細胞療法関連の減損損失の反動が利益を大きく押し上げました。一方、積極的な創薬投資を継続したことで研究開発費は前年同期比10.9%増(CERベース2.1%増)の3,386億円に増加しています。さらに法人所得税費用が繰延税金資産の見直し等により前年同期の663億円から130億円へと約533億円減少したことも、最終利益の急拡大に寄与しました。

 主力製品では、潰瘍性大腸炎・クローン病治療剤「エンタイビオ(ENTYVIO)」の売上収益が5,417億円となり、AERベースで13.0%増、CERベースで2.7%増と成長を維持しました。新薬パイプラインも進展しており、ナルコレプシータイプ1治療薬「ORZEYFUL」は中国および日本で2026年10月に発売され、米国では11月の発売が予定されています。また真性多血症治療薬「MIMRYLO」が米国で発売されたほか、乾癬治療薬候補の経口TYK2阻害薬「zasocitinib(TAK-279)」は米国および欧州で承認申請が行われています。

 通期業績予想の上方修正について、会社側は主な要因として前提為替レートの見直し(通期米ドル前提を156円から158円に変更)によるプラス影響を挙げています。CERベースのCore売上収益ガイダンスは引き続き「一桁台前半%の減少」を見込んでおり、事業環境への慎重な見方は崩していません。なお、年間配当予想(1株あたり204円、中間102円・期末102円)に変更はありません。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)