今回のニュースのポイント
双日が発表した2027年3月期中間決算は、親会社の所有者に帰属する中間純利益が前年同期比40.4%増の635億88百万円となりました。メタノール市況高やトレード拡大を追い風に化学事業が大幅増益を達成した一方、自動車や海外肥料事業は振るいませんでした。豪州原料炭事業の売却など構造改革が進む中、通期予想(1,300億円)に対する進捗率は約49%となり、会社予想は据え置かれました。
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双日が2026年10月30日に発表した2027年3月期中間決算(IFRS)は、親会社の所有者に帰属する中間純利益が前年同期比40.4%増の635億88百万円となりました。収益は同34.8%増の1兆6,721億30百万円、税引前中間利益は同60.0%増の860億88百万円に達しました。一方、通期の親会社所有者帰属当期純利益予想1,300億円(前期比25.5%増)は据え置かれました。進捗率は約49%となっています。会社側は全社として計画通りの進捗と説明していますが、化学の好調に対して自動車などは低進捗となっており、事業別の業績には差が生じています。
中間期の増益をけん引したのが化学事業です。化学事業の中間純利益は201億8百万円となり、前年同期の105億78百万円から95億30百万円増加しました。メタノール価格の上昇、日本エイアンドエルの利益貢献、国内外トレードの堅調推移が主因です。説明資料によると、価格上昇に加え、調達先や販売先の多角化などトレード機能の強化が寄与したと説明されています。ただし、市況上昇による一時的効果と取引基盤強化による効果を金額で切り分けることはできません。好調な化学事業が中間決算の主たる増益要因となりました。
化学以外の領域では、エネルギー・総合インフラの中間純利益が前年同期比61億69百万円増の140億65百万円となりました。豪州インフラ開発(カペラ社)の新規連結や米国事業の取引増加、一部売却益が寄与しました。リテール・コンシューマーサービスもたばこ取引やベトナムの業務用食品卸売事業の好調、一部事業の売却益により同65億43百万円増の84億32百万円へ伸長しました。一方、自動車は豪州中古車事業の不振等で同7億40百万円減の32百万円にとどまりました。生活産業・アグリビジネスも海外肥料事業の取扱数量減少で同19億82百万円減の37億51百万円と減益でした。増益は全事業一様ではなく、事業ごとの明暗が分かれています。
決算で注目されるのが豪州原料炭事業の構造改革です。双日は豪州のグレゴリー・クライナム(GC)事業について保有権益の譲渡契約を締結し、2027年3月期中の売却完了を想定しています。一方、レイクバーモント(LV)事業の権益売却は完了しています。2事業に関連する中間純利益への影響額は、期間損益や売却益、減損損失を含めマイナス16億円でした。下期は10億円以上のプラス影響を見込んでいます。2事業の資金回収額は合計約400億円の見通しです。譲渡契約の締結、売却完了、将来の資金回収を厳密に区別しつつ、中期経営計画に沿った資産再編が進められています。
利益拡大と資金収支の間には大きな開きがあります。会計上の営業活動によるキャッシュフローは88億75百万円の収入にとどまり、前年同期から224億64百万円減少しました。運転資金の増加が影響しています。一方、説明資料で重視される「基礎的営業キャッシュフロー」は前年同期比148億円増の803億円でした。これは会計上の営業CFから運転資金増減等を調整した会社独自指標であり、会計上の営業CFそのものではありません。投資活動によるキャッシュフローは774億83百万円の支出でした。利益の伸びに対し、手元の資金収支は運転資金の増加で下押しされています。
株主還元については、年間配当予想を前期実績から15円増配の1株当たり180円(中間90円、期末90円)とし、前回の予想を据え置きました。中間配当90円の実施は決定済みですが、今回の決算発表に伴う配当予想の修正はありません。通期純利益予想1,300億円も変更なしです。セグメント別の見通しは化学の上方修正や自動車等の下方修正が行われたものの、全社計画の水準は維持されています。
双日の中間決算は、化学やエネルギー関連事業の増益が全体を押し上げた一方、自動車や生活産業・アグリビジネスでは収益面の課題が残りました。原料炭事業の売却・整理も進んでおり、利益を伸ばす事業への投資と、収益性の低い事業の見直しが並行しています。今回の決算は、好調事業による利益拡大だけでなく、事業構成の入れ替えを進めながら通期計画を維持している局面を示しています。一方、会計上の営業キャッシュフローは88億75百万円と前年同期から減少しており、利益拡大と資金回収の進捗には差が残っています。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)













