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経済産業省は2026年10月30日、中部電力に対し電気事業法に基づく業務改善命令を行う必要があると判断し、行政手続法に基づく弁明の機会を付与しました。弁明書の提出期限は11月12日です。現時点で業務改善命令は未発出です。浜岡原子力発電所3・4号機の基準地震動策定問題に加え、同1・2号機の廃炉工事で2024年度に16件の不適切検収が確認された事案を受け、経営管理体制や内部通報機能の抜本的改善が焦点となっています。
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経済産業省は2026年10月30日、中部電力に対し、電気事業法に基づく業務改善命令を行う必要があると判断し、行政手続法に基づき弁明の機会を付与する通知を行いました。弁明書の提出期限は11月12日に設定されています。これは正式な業務改善命令の発出ではなく、予定する行政処分に先立ち事業者の言い分を聴取する法的手続きです。背景には、浜岡原子力発電所3・4号機の安全審査を巡る不適切行為に加え、同1・2号機の廃炉工事費用請求における不適切検収など、組織統治全般に関わる問題が相次いで浮上したことがあります。
予定されている業務改善命令の根拠は、電気事業法第27条の29において準用する第27条第1項です。経産省は、事業運営が適切でないため電気事業の健全な発達や公共の利益に支障が生じるおそれがあると判断しました。行政手続法第13条第1項第2号および第30条に基づき通知された「弁明の機会の付与」は、不利益処分を決定する前段階の手続きであり、10月30日時点で処分が確定したわけではありません。経産省は業務改善命令を予定していますが、10月30日時点では命令を発出しておらず、中部電力に弁明の機会を設けた段階です。
経産省が問題視した事案の一つが、浜岡原発1・2号機の解体撤去工事に伴う費用請求です。費用請求先である使用済燃料再処理・廃炉推進機構(NuRO)への請求案件を中部電力が調査したところ、2024年度の請求案件36件のうち16件で不適切な検収が確認されました。内訳として約2.5億円の過大な検収と、約0.2億円の過小な検収が判明しています。さらに2025年度の提出予定案件46件についても8件で不適切な検収(過大約900万円、過小約500万円)が見つかりました。なお、約2.5億円は過大な検収額であり、確定した不正受給額や返金額ではありません。実際の請求額への影響や返金範囲は今後NuROと協議して整理されます。
この廃炉費用の問題の根底には、制度変更に対する現場管理の遅れがありました。中部電力は長年、解体工事を作業エリア単位で管理していましたが、2024年度に導入された拠出金制度では機器単位での厳密な進捗管理が求められました。しかし同社は長期契約の見直しを行わず、旧来の管理を継続したため、NuROへ提出した廃炉実施計画と現場の施工実績との間に乖離が生じました。その結果、計画額と請求額の差を埋めるため、請負会社の中部プラントサービスに計画額に合わせた出来高調書の作成を指示したり、工事報告書を書き換えたりする行為が行われました。さらに2025年5月頃には、NuROの現地確認に合わせて報告内容と現場の整合を図る「つじつま合わせの工事」を実施していました。
今回の行政対応において極めて重要な点は、廃炉費用の問題単体ではなく、浜岡原発3・4号機の安全審査問題と結びついた「組織統治の機能不全」が問われている点です。経産省は、原子力規制委員会の新規制基準適合性審査における基準地震動策定に関する不適切行為を検証した結果、牽制機能の脆弱性、内部通報制度の機能不全、業務運営体制の不備、ガバナンス機能の不全を認定しました。さらに廃炉費用の不適切事案についても、これらの組織的問題に通底する要素が一部に認められると指摘しました。経産省は、安全を最優先すべき原子力事業で不適切な事案が発生したことについて、立地地域を含む社会の信頼を損なうものと評価しています。
経産省が予定している業務改善命令の内容は、単なる業務手順の修正にとどまりません。役職員の責任所在の明確化、法令等遵守体制の抜本的強化、健全な組織風土の醸成、専門部署の閉鎖性排除、内部通報制度の抜本的見直しに加え、実効性を外部人材が客観的に検証する体制や、新たな経営管理体制の構築を求めています。中部電力側も、機器単位管理への移行や本店と発電所の連携強化、原子力ガバナンス推進部による多層的な牽制体制などの再発防止策を示していますが、経産省はより踏み込んだ客観的な検証と経営体制の変革を要求しています。
今回の事態は、個別の過大検収額の精算や書類の形式的な訂正だけで収束する性質のものではありません。計画と実績が乖離した際に、現場が報告書の書き換えや帳尻合わせに走るのではなく、事実をありのままに報告し、経営陣がそれを把握して独立した立場から是正できる仕組みが実質的に機能しているかが厳しく問われています。経産省が業務改善命令に向けて手続きを開始したことは、中部電力に対し、原子力事業と公益事業を担う組織としての統治構造そのものを根本から再構築するよう迫るものといえます。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)













