今回のニュースのポイント
dodaの調査によると、社風が合わないことを理由に実際に転職した人、現在検討中の人、過去に検討した人の合計は57.2%でした。フラットな組織文化への支持が42.2%に達する一方、Job総研の調査では雑談が苦手な人の36.0%が「どこまで踏み込んでよいか不明」と回答しています。給与等と異なり事前把握が難しい職場の相性ですが、働きやすさは自分に合う人との距離感を見極めることにあるといえます。
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就職や転職を考える際、多くの人が給料や勤務地、年間休日といった労働条件に目を向けます。しかし、新しい職場で働き始めてから直面する壁の一つに「社風が合わない」という感覚があります。仕事の進め方や意思決定の慣習、上司や同僚との距離感など、組織の空気に違和感を抱く経験は珍しくありません。パーソルキャリアの「doda」の調査によると、社風が合わないことを理由に、実際に転職した人、現在転職を考えている人、過去に検討したが転職しなかった人の合計は57.2%でした。社風という曖昧に見える要素が、個人のキャリア選択を左右する重要な職場環境であることを示唆しています。職場の相性を考えます。
パーソルキャリアが2026年10月26日に発表した「理想の社風とミスマッチの実態」調査は、20~59歳の正社員男女1,500人を対象に実施されました。同調査によると、社風が合わないことを理由に、実際に転職した人、現在検討中の人、過去に検討したが転職しなかった人の合計は57.2%でした。内訳は、実際に転職した人が20.2%、現在検討中が16.7%、過去に検討したが転職しなかった人が20.3%です。半数を超える人々が日々の組織文化に疑問を抱き、転職を意識した実態がうかがえます。また同調査では、理想の社風として「フラットな組織文化」を挙げた人が42.2%に上り、意見を交わしやすい職場への支持が集まりました。
なぜ多くの人が入社後に社風のミスマッチに悩むのでしょうか。背景には、求人票や採用選考で把握できる情報と、入社後でないと実感しにくい情報の性質の違いがあります。給与や労働時間、福利厚生といった制度面は、募集要項などで事前に客観的な確認が可能です。しかし、日々の仕事で上司にどこまで相談できるか、周囲とどのような距離感で接するかといった組織の気風は、入社前の面接や職場見学だけでは十分に把握しにくい側面があります。客観的な条件が希望通りであっても、日々の空気感に摩擦が生じることで、職場への違和感が蓄積していく構図がうかがえます。
こうした職場の組織文化や相性は、理念といった大きな枠組みだけでなく、日々の細やかなコミュニケーションにも表れます。その手がかりとなるのが、パーソルキャリアが運営する「Job総研」が同じ10月26日に発表した「2026年 職場の雑談実態調査」です。社会人476人を対象とした同調査で、職場で雑談が苦手と回答した222人に理由を尋ねたところ、「どこまで踏み込んでよいか不明」が36.0%に達しました。この数値は働く人全体ではなく雑談を苦手とする層に限定された割合ですが、職場における人との距離感の取り方に戸惑いを感じている人が少なくない現状を物語っています。
パーソルキャリアの調査とJob総研の調査は対象者や設問の異なる別個の調査であり、雑談への苦手意識と社風のミスマッチとの因果関係は、今回の2つの調査からは確認できません。しかし、業務以外のやり取りで話題にどこまで触れてよいか、相手が望む距離感が見えにくい状況は、職場の居心地に影響する可能性があります。業務上の相談のしやすさも日常的な距離感の延長線上にあるためです。社風という抽象的な言葉の背景には、同僚や上司との日常的な関わり合いのなかで生じる、微妙な違和感の積み重ねが存在している可能性があります。
ただし注意が必要なのは、「雑談が活発であれば誰にとっても良い職場である」と単純化してはならない点です。同僚と積極的に交流し親密な関係を望む人がいる一方、仕事と私生活を分け、業務連絡に集中できる静かな環境を好む人もいます。フラットな社風を好む人もいれば、明確な指示命令系統や役割分担に安心感を覚える人もいます。社風のミスマッチとは、特定の組織形態の優劣ではなく、個々の働く人が求める距離感や働き方と、組織の慣習との間に生じる相対的なズレにほかなりません。
働きやすさは給与や福利厚生といった待遇だけで説明できるものではなく、万人に共通する理想の社風が存在するわけでもありません。企業側にとっては、採用広報や選考で制度だけでなく実際の組織文化を率直に伝える努力が求められます。求職者側にとっても、待遇の確認にとどまらず、自分がどのような人との距離感や仕事の進め方を心地よいと感じるかを見極めることが、入社後のギャップを防ぐ手掛かりになります。働きやすい職場とは、誰にとっても同じ雰囲気の職場ではなく、自分に合う働き方や人との距離感を持てる職場なのではないか。二つの調査は、職場の相性を問い直す視点を提供しています。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)













