旭化成、上期営業利益54%増の1654億円 AI関連の半導体材料が好調、通期予想を上方修正

2026年11月05日 12:57

今回のニュースのポイント

旭化成は2026年11月5日、2027年3月期通期の連結営業利益予想を従来の2,480億円から2,900億円へ上方修正しました。2026年4~9月期実績は売上高が前年同期比13.7%増の1兆6,896億円、営業利益が同54.0%増の1,654億円となりました。AI関連の半導体材料や医薬、クリティカルケアの重点成長事業が収益を牽引しました。年間配当予想は従来予想から4円増額の1株当たり48円を見込みます。

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 旭化成株式会社は2026年11月5日、日本基準による2027年3月期第2四半期(中間期・4~9月期)連結決算を発表しました。当中間期の連結売上高は前年同期比13.7%増の1兆6,896億900万円(概数1兆6,896億円)、営業利益は同54.0%増の1,654億4,100万円(同1,654億円)となりました。経常利益は同52.1%増の1,613億8,000万円(同1,613億円)、親会社株主に帰属する中間純利益は同54.2%増の1,021億9,800万円(同1,021億円)に達し、大幅な増収増益を達成しました。同社が進める事業ポートフォリオ変革のもと、重点成長事業と位置付ける医薬、クリティカルケア、エレクトロニクスの3事業が力強く利益成長を牽引しました。

 収益拡大を主導したエレクトロニクス事業では、旺盛なAI関連需要を背景に高付加価値な半導体材料の販売が好調に推移しました。特に、最先端半導体の保護膜や感光性絶縁材料として用いられる「パイメル」や、AI関連用途を中心に販売が堅調で低誘電の高付加価値品へのシフトが進む「ガラスクロス」の需要をとらえ、製品構成の改善も寄与しました。会社側は、エレクトロニクス事業単体で上期に前年同期比102億円の営業増益を記録したと説明しています。ただし、全社営業利益の増加額約580億円には、マテリアル事業における迅速な価格転嫁や前年の定期修理影響の解消に加え、在庫受払差などの在庫影響(約170億円)も含まれており、利益成長のすべてがAI関連需要のみによるものではない点に留意が必要です。

 ヘルスケア領域では、重点成長事業である医薬事業とクリティカルケア事業がそろって業績を伸ばしました。医薬事業では、米国市場において免疫抑制剤「Envarsus XR」のシェア拡大が進んだほか、IgA腎症治療薬「Tarpeyo」も堅調に推移し、ライフサイエンスを含めた同事業全体で前年同期比109億円の営業増益となりました。なお、2026年4月には独Aicurisの買収を完了し、10月には新薬「Hovilpri」の米食品医薬品局(FDA)承認を取得しましたが、10月の承認は上期実績の直接的な増益要因ではありません。また、クリティカルケア事業では除細動器の新製品販売や着用型自動除細動器「LifeVest」の市場浸透により同95億円の営業増益を達成し、重点成長3事業合計での営業増益寄与は約307億円に達しました。

 セグメント別の動向を見ますと、全社的な増益基調のなかで事業ごとに明暗が分かれました。エレクトロニクス事業を含むマテリアルセグメントの営業利益は、価格転嫁や在庫影響、円安効果が重なり、前年同期比132.5%増の約720億円(前年同期は約310億円)と急拡大しました。ヘルスケアセグメントも同50.5%増の約603億円と大幅な増益を達成しました。これに対し、住宅セグメントの営業利益は同5.3%減の約441億円(前年同期は約466億円)と減益を余儀なくされました。国内の建築請負事業や賃貸管理・流通事業が堅調に推移した一方、北米事業における需要減少や価格対応などの影響を受け、海外住宅事業の減益がセグメント全体の重荷となりました。

 上期の好調な進捗を受け、旭化成は2026年11月5日、2027年3月期通期の連結業績予想を上方修正しました。通期売上高予想を従来の3兆2,540億円から3兆4,220億円(前期比11.3%増)へ、営業利益予想を5月公表の2,480億円から2,900億円(同25.4%増)へ420億円引き上げました。経常利益予想は2,830億円、親会社帰属当期純利益予想は1,730億円を見込み、3期連続での営業最高益更新を目指す方針です。この営業利益予想の上方修正420億円の内訳は、重点成長3事業の寄与が約229億円(エレクトロニクス約123億円、医薬・ライフサイエンス約78億円、クリティカルケア約28億円)、他事業・共通費等が約61億円、マテリアル事業の在庫影響が約130億円となっています。年間配当予想も従来予想の44円から4円増額の1株当たり48円(前年度比6円増配)へ引き上げました。

 今回の決算では、旭化成が進める事業ポートフォリオ変革のもと、重点成長事業の利益拡大が業績に表れています。通期営業利益予想の2,900億円は、現中期経営計画の最終年度である2027年度の目標2,700億円を1年前倒しで上回る見通しです。今後は、AI関連半導体材料や医薬、クリティカルケアの成長が持続するかに加え、北米住宅事業の需要動向、マテリアル事業の在庫影響、価格転嫁やコスト削減による収益改善の持続性が注目されます。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)