日本郵船、上期経常利益79.8%増の2132億円 コンテナ船・タンカー市況が寄与

2026年11月05日 12:19

今回のニュースのポイント

日本郵船が2026年11月5日に発表した4~9月期決算は、売上高が前年同期比27.3%増の1兆5,050億円、経常利益が同79.8%増の2,132億円となりました。ONE社の持分法投資利益805億円やコンテナ船・タンカー市況の上昇が収益を押し上げました。年間配当予想は従来予想から90円増額の330円に引き上げられました。なお、通期経常利益予想3,350億円は10月29日に公表済みであり、今回は据え置きとなっています。

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 海運大手の日本郵船株式会社は2026年11月5日、日本基準による2027年3月期第2四半期(中間期・4~9月期)連結決算を発表しました。当中間期の連結売上高は前年同期比27.3%増の1兆5,050億2,500万円(概数1兆5,050億円)、営業利益は同91.9%増の1,148億7,600万円(同1,148億円)となりました。経常利益は同79.8%増の2,132億6,200万円(同2,132億円)、親会社株主に帰属する中間純利益は同106.9%増の2,034億8,100万円(同2,034億円)となり、大幅な増収増益を記録しました。コンテナ船の運賃上昇や大型原油タンカー(VLCC)などの市況改善が収益に寄与したほか、ドライバルク事業では円安なども増益要因となりました。

 経常利益の大幅な伸びを主導したのが定期船事業と、持分法適用会社であるコンテナ船事業会社オーシャン・ネットワーク・エクスプレス(ONE社)の好業績です。定期船事業の売上高は前年同期比5.7%増の951億円、経常利益は前年同期の333億円から646億円増となる979億円に達しました。北米航路を中心とした旺盛な荷動きや各地の港湾混雑に伴って船腹需給が引き締まり、コンテナ船運賃市況が高水準で推移しました。日本郵船の営業外収益に計上された持分法による投資利益1,120億円のうち、ONE社に由来する利益は805億円を占めました。この持分法投資利益は日本郵船の営業利益や受取配当金ではなく、同社の経常利益を押し上げる構造となっています。

 不定期船分野においても、ドライバルク事業とエネルギー事業がそろって収益を伸ばしました。ドライバルク事業の売上高は前年同期比29.2%増の3,608億円、経常損益は前年同期の15億円の赤字から297億円の黒字へと転換しました。各船型の用船市況が上昇したことに加え、燃料価格の急上昇に伴う評価性由来の収支影響などが寄与しました。エネルギー事業は売上高が同39.9%増の1,370億円、経常利益が同49.7%増の454億円(前年同期は303億円)となりました。ホルムズ海峡封鎖の影響を受け、VLCC市況が歴史的高水準を記録したほか、大型LPGタンカー(VLGC)や石油製品タンカーでも荷動きが中東発から北米発へ移行して輸送距離が伸長し、需給が逼迫しました。なお、LNG船は中長期契約により安定収益を維持しました。

 市況関連事業が急伸した一方で、物流事業と自動車事業はコスト増に直面し、事業間で明暗が分かれました。物流事業は売上高が前年同期比46.7%増の5,588億円に拡大したものの、経常損益は前年同期の62億円の黒字から8億円の赤字へと転落しました。航空貨物取扱事業は堅調だったものの、海上貨物取扱事業において仕入価格が先行して上昇したことや、欧州ヘルスケア物流企業の買収に伴うのれん償却費などが重荷となりました。自動車事業も売上高は同20.5%増の3,061億円を確保した一方、経常利益は同28.3%減の351億円(前年同期は490億円)へと減少しました。輸送台数は前年並みを維持したものの、海峡封鎖に伴う航路変更や燃料費増、運航費や用船コストの上昇が利益を圧迫しました。

 通期の連結業績予想につきましては、売上高3兆円、営業利益2,100億円、経常利益3,350億円、親会社帰属当期純利益3,300億円を据え置きました。これらの通期予想は市況好転を反映して2026年10月29日に事前の上方修正(経常利益で850億円増額)が公表されており、今回の11月5日の決算短信において数値の変更はありません。一方、株主還元方針に基づき、年間配当予想の大幅な引き上げを発表しました。中間配当を従来予想から45円増額して1株当たり165円で決定し、期末配当予想も45円増額の165円へと修正しました。これにより年間配当予想は従来予想の240円から90円増額となる330円(前年度実績は230円)となり、株主還元姿勢を明確に示しています。

 今後の事業環境を見据えますと、同社はホルムズ海峡の封鎖が2027年3月末まで継続することを前提に通期予想を策定しています。地政学リスクに伴う市況上昇が利益を押し上げる一方、迂回による運航費や燃料費の増加が各事業の採算に与える影響には引き続き注意が必要です。また、同社はドライバルク事業の強化に向け、NSユナイテッド海運の連結子会社化を計画しています。公開買付けの現金対価は約1,200億円、既存保有株式を含む取得原価は約1,670億円と概算しており、競争当局の承認などを条件に2027年4月中旬の取引完了を目指しています。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)