今回のニュースのポイント
東ソーは2026年11月5日、2027年3月期通期の連結営業利益予想を従来の1,050億円から1,090億円へ上方修正しました。2026年4~9月期の実績は売上高が前年同期比16.1%増の約5,797億円、営業利益が同10.4%増の約494億円となりました。AI関連需要で石英ガラスなど半導体材料が牽引した一方、原燃料高で基礎素材は営業赤字が拡大しました。併せて最大250億円の自己株式取得を決議しています。
本文
総合化学大手の東ソー株式会社は2026年11月5日、日本基準による2027年3月期第2四半期(中間期・4~9月期)連結決算を発表しました。当中間期の連結売上高は前年同期比16.1%増の5,796億7,700万円(概数5,797億円)、本業の儲けを示す営業利益は同10.4%増の493億9,200万円(同494億円)となりました。経常利益は同7.5%増の491億7,600万円(同492億円)、親会社株主に帰属する中間純利益は同262.8%増の267億6,600万円(同268億円)に達し、増収増益を達成しました。純利益が約3.6倍に増加した背景には、前年同期に計上した固定資産の減損損失が大幅に減少したことがあります。本業の営業利益の伸びは10.4%増にとどまっています。
営業増益を牽引したのは、人工知能(AI)関連需要を受けた高機能材料事業です。同事業の売上高は前年同期比23.1%増の712億円、営業利益は同93.0%増の73億円(前年同期は38億円)と大幅に伸長しました。半導体用途の石英ガラスが、旺盛なAI需要を背景に国内や東アジア地域で出荷が増加しました。海外向けの半導体用スパッタリングターゲットや、自動車用ハイシリカゼオライト、装飾・歯科用ジルコニアも出荷を増やしました。全社の売上高増加要因は数量差約178億円、価格差約627億円(うち為替影響約225億円)であり、全社営業利益では数量差約28億円、固定費差その他約83億円の増益要因があった一方、原燃料高による交易条件の悪化が約65億円の減益要因となりました。
高機能素材が好調だった反面、石油化学やクロル・アルカリ等を再編した基礎素材事業は苦戦しました。基礎素材の売上高はナフサ高等に伴う販売価格改定で前年同期比17.0%増の2,619億円となったものの、営業損益は前年同期の11億円の赤字から24億円の赤字へ損失幅が約14億円拡大しました。中東情勢による原料調達懸念から苛性ソーダ等の自社生産量が減少したほか、原燃料高を価格へ転嫁しきれず交易条件が約93億円悪化しました。一方、同じチェーン事業の付加価値素材事業は、アジア向けクロロプレンゴムやエチレンアミンの出荷増、在庫受払差の改善が寄与し、営業利益は同26.9%増の144億円(前年同期は113億円)となりました。
先端事業グループに属するその他の事業領域でも明暗が分かれました。バイオサイエンス事業は、欧州で液体クロマトグラフィー用充填剤の出荷が減少したものの、国内や米国での体外診断用医薬品の出荷増や為替効果による交易条件改善に支えられ、営業利益は前年同期比8.4%増の113億円(前年同期は104億円)と堅調でした。一方、水処理エンジニアリング事業は、台湾での半導体大型案件等により売上高が同14.3%増の942億円となったものの、営業利益は同13.3%減の153億円(前年同期は176億円)と増収減益でした。前年同期の好採算案件の反動による利益率低下や、人件費・IT費用の増加が響きました。
上期実績を踏まえ、東ソーは2026年11月5日、2027年3月期通期の連結業績予想を修正しました。売上高予想はナフサ高や海外市況高を織り込み、従来の1兆1,700億円から1兆2,000億円(前期比17.7%増)へ300億円上方修正しました。営業利益予想も基礎素材の在庫受払差改善や半導体需要回復を反映し、従来の1,050億円から1,090億円(同14.1%増)へ40億円引き上げました。ただし、下期の為替前提を1ドル=155円(国産ナフサ前提は9万9,000円/KL)へ見直した為替差損益悪化を織り込み、経常利益予想1,070億円、純利益予想590億円は据え置かれました。
業績予想修正と同時に、東ソーは資本効率向上と株主還元充実を目的に、最大250億円、1,200万株(自己株式を除く発行済株式総数の3.90%)を上限とする自己株式取得を決議しました。取得期間は2026年11月6日から2027年3月31日です。年間配当予想は中間50円、期末50円の計100円(前年実績と同額)を据え置いており、今回の自社株買いに伴う増配はありません。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)













