今回のニュースのポイント
花王が2026年11月5日に発表した2026年12月期第3四半期累計決算(IFRS)は、売上高が前年同期比7.1%増の1兆3,193億円、営業利益が同28.1%増の1,465億円でした。親会社所有者帰属四半期利益は1,051億円で、売上高・最終利益ともに過去最高を記録。日用品の価格改定や化粧品・電子材料の伸長、土地売却益115億円が寄与しました。第4四半期の原材料高影響などを見込み、通期営業利益予想1,900億円は据え置きました。
本文
花王株式会社は2026年11月5日、2026年12月期第3四半期累計(1~9月)の連結決算(IFRS)を発表しました。当第3四半期累計の売上高は前年同期比7.1%増の1兆3,193億500万円、営業利益は同28.1%増の1,465億3,900万円となり、大幅な増収増益を達成しました。同社は2026年第1四半期からIFRS第18号を早期適用し、前年同期の営業利益などは遡及修正後の数値で比較しています。税引前四半期利益は同24.5%増の1,486億6,400万円、親会社の所有者に帰属する四半期利益は同24.0%増の1,050億5,100万円でした。売上高、四半期利益、基本的1株当たり四半期利益(EPS)は過去最高を記録しました。国内トイレタリーの値上げ浸透や化粧品・ケミカル事業の拡大が寄与した一方、第4四半期に原材料高の影響などを見込むなか、通期連結営業利益予想1,900億円は据え置きました。
売上高の増加要因を分析しますと、為替変動と価格改定の両面が押し上げに寄与しました。連結売上高の前年同期比7.1%増のうち、為替影響がプラス4.0%、為替影響を除く実質増収率が3.1%でした。実質増収率3.1%の内訳をみますと、製品の値上げに伴う価格要因がプラス3.3%と貢献した一方、販売数量と製品構成差を含む「数量等」はマイナス0.2%にとどまりました。全社の数量等がマイナス0.2%となった一方、GC事業ではプラス1.2%を確保しており、価格改定と数量等の動きには事業ごとに違いがみられました。主力の消費者向け商品では需要を維持しながら単価引き上げを進めており、カテゴリーや地域に応じた施策を展開しています。
国内の日用品市場では、価格改定後も市場内シェアを拡大させました。花王の日本におけるトイレタリー市場内シェアは、2026年1~9月期に前年同期比0.4ポイント上昇の25.3%となりました。中核のファブリック&ホームケア製品は、売上高が前年同期比5.6%増(実質4.8%増)の2,940億円、営業利益は同57億円増の575億円となり、営業利益率は19.6%に達しました。衣料用洗剤「アタック」などでは、高付加価値品の提案や値上げ浸透後も販売シェアと売上高が堅調に推移し、利益率向上を後押ししました。同事業の数量等はマイナス0.4%とわずかに減少したものの、5.2%の価格要因がこれを補い、高付加価値化と価格転嫁が国内収益基盤の盤石化を支えました。
事業部門別では、化粧品とケミカル事業が収益拡大を牽引しました。化粧品事業の売上高は前年同期比10.1%増(実質6.5%増)の1,994億円、営業利益は前年同期の29億円から98億円へと69億円増加し、営業利益率は4.9%へ改善しました。「キュレル」や「ケイト」などの重点ブランドが日本(実質7.2%増)やアジア(実質11.1%増)で好調に推移し、化粧品事業は7四半期連続の営業増益を達成しました。一方、ケミカル事業は売上高が同9.5%増(実質2.5%増)の3,688億円、営業利益は同47億円増の270億円を計上しました。油脂製品の利幅改善に加え、機能材料や電子材料を中心とした情報材料が伸長し、電子材料の売上高は約20%増となりました。
当第3四半期累計の営業増益額321億円には、資産売却による一時的な押し上げが含まれています。同社は第1四半期にロジスティクス最適化の一環として土地売却を実施し、115億円の売却益を計上しました。決算概要資料の増減分析では、営業増益額321億円から土地売却益115億円を除いた増益額を206億円としています。原材料価格の上昇や人財・マーケティング投資の拡大があったものの、GC事業での販売価格改定や化粧品・電子材料の数量増加、ケミカル事業の利幅改善が利益成長をもたらしました。営業利益28.1%増という伸び率は、価格改定の進展だけでなく、一時的な土地売却益と成長分野の拡大が重なった結果であることを示しています。
足元の業績は好調な一方、第4四半期(10~12月)を取り巻く事業環境には不透明感が残されています。GC事業では原材料価格上昇の影響が第4四半期に遅れて損益へ反映される見込みであるほか、ケミカル事業でも油脂市況の急変に伴う価格や在庫の管理が課題となります。同社は海外事業を中心とした収益基盤強化策を推進し、コスト変動に対応する方針です。株主還元につきましては、2026年7月1日付で実施した1対2の株式分割後において期末配当予想を1株当たり39円とし、年間配当予想は分割前換算で156円(分割後換算で78円)を据え置きました。そして、通期の連結業績予想は、売上高1兆8,000億円、営業利益1,900億円、親会社所有者帰属当期利益1,350億円をそのまま据え置いています。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)













