三菱自動車、通期純利益予想を60%下方修正 上期営業益77.6%増も世界販売7%減

2026年11月06日 16:31

三菱自動車

三菱自動車。同社が2026年11月6日に発表した中間決算は、営業利益が前年同期比77.6%増の306億円となった一方、世界販売台数は約7%減少した。通期の純利益予想は従来の250億円から100億円へ60%下方修正した。(資料画像)

今回のニュースのポイント

三菱自動車が2026年11月6日発表した2026年4~9月期連結決算は、売上高が1兆3,088億円、営業利益が前年同期比77.6%増の306億円となりました。一方、世界小売販売台数は7%減少し、中間最終損益は30億円の赤字でした。同社は通期の最終利益予想を従来予想比60%減の100億円へと大幅に下方修正。想定を上回る電動化シフトや価格競争の激化、中東紛争に伴う燃料高、資材費高騰による販売減とコスト悪化が重荷となっています。

本文
 三菱自動車工業が2026年11月6日に発表した2027年3月期第2四半期(中間期)連結決算は、売上高が前年同期比3.8%増の1兆3,088億21百万円、営業利益が同77.6%増の306億38百万円と大幅な営業増益を達成しました。しかし、経常利益は同13.1%減の137億50百万円に縮小し、親会社株主に帰属する中間純損益は29億61百万円の赤字(前年同期は92億31百万円の赤字)と最終赤字が残りました。さらに同社は、通期の連結業績予想を大幅に引き下げ、親会社株主に帰属する当期純利益予想を従来予想の250億円から100億円へと60.0%下方修正しました。通期の営業利益予想も従来の900億円から700億円へと22.2%減額しています。上期の大幅営業増益と、通期見通しの大幅悪化という明暗が鮮明に分かれる決算となりました。

 上期の売上高が増加した一方、事業の基盤となる販売台数には陰りがみられます。2026年度上期の世界小売販売台数は前年同期比約7%減の35万8,000台にとどまりました。日本市場は登録車の主力モデルや軽自動車の需要に支えられ、同約7%増の6万2,000台と堅調に推移したほか、中東アフリカ地域も微増を維持しました。しかし、重要市場のASEANが同約11%減の10万台へと落ち込んだほか、豪州・ニュージーランドが同約31%減の2万5,000台、欧州が同約30%減の1万6,000台、北米が同約4%減の7万7,000台と主要地域で軒並み減少しました。売上高の増加は販売台数の拡大によるものではなく、同社は日本・中東での堅調な販売や為替影響などが増収に寄与したと説明しています。

 上期の営業利益が前年同期の約173億円から約306億円へと約133億円拡大した背景には、為替変動への依存があります。営業利益の増減要因では、円安の進行に伴う為替効果が約302億円の増益要因となり最大の押し上げ効果をもたらしました。また、価格転嫁を反映した売価等の改善も約115億円寄与しました。一方、資材費や工場経費、輸送費などの負担が242億円のマイナスとなったほか、販売費用も112億円の減益要因となりました。為替による約302億円の押し上げ効果は、営業利益の前年同期比増加額約133億円を上回っており、為替変動が収益を大きく左右したことがうかがえます。さらに為替差損の計上などで経常利益は減益となり、最終損益の赤字脱却には至りませんでした。

 こうした環境悪化を踏まえ、同社は通期業績予想を全面的に下方修正しました。売上高は従来予想の3兆2,600億円から2兆9,600億円(9.2%減、前期比2.2%増)、営業利益は900億円から700億円(22.2%減、同7.3%減)、経常利益は800億円から480億円(40.0%減、同39.2%減)へ引き下げられました。親会社株主に帰属する当期純利益は、従来予想の250億円から100億円へ60.0%減額され、前期実績(約100億円)とほぼ同水準(0.2%減)にとどまる見通しです。また、通期の売上台数計画は従来の101万2,000台から89万9,000台へ11万3,000台引き下げられました。小売販売台数の通期見通しも76万4,000台にとどまる見込みです。

 通期予想を引き下げた理由について、三菱自動車は外部環境の急変と競争激化を挙げています。同社の説明によりますと、中東紛争を契機とした燃料価格上昇を背景に、主要市場で想定を上回る速度と規模で電動化シフトが進み、価格競争も激化していることから販売見通しを見直したとしています。さらに紛争の長期化で燃料高と電動化シフトが継続し、資材費高騰によるコスト悪化が拡大する見通しです。この局面に対し、同社は新型SUV「パジェロ」を軸にブランド力を強化する方針です。同モデルは2026年度の販売目標1万台に対し、11月5日時点で9,000台の受注を獲得しています。アセアン戦略車「エクスフォース」のハイブリッド展開や「デスティネーター」の輸出拡大など、車種ごとの付加価値向上を進めています。

 通期業績予想を下方修正した一方、同社は年間配当予想について中間5円、期末5円の合計10円(前期実績10円)を据え置きました。財務面では、自己資本比率は前期末の38.0%から38.7%へ上昇した一方、仕入債務の減少や棚卸資産の増加などにより、上期の営業キャッシュフローは約1,151億円の支出超となり、現金及び現金同等物は約1,385億円減少して3,004億円となりました。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)