今回のニュースのポイント
日本製鉄が2026年11月5日に発表した中間決算(IFRS)は、売上収益が前年同期比26.1%増の5兆8,441億円、事業利益が同35.1%増の3,074億円となり、最終損益は黒字転換しました。USスチールなど海外事業の好調に加え、米設備投資に係る税額控除961億円の一過性影響もあり、通期の親会社所有者帰属利益予想を従来比51.7%増の4,400億円へ上方修正しました。年間配当予想24円は据え置いています。
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日本製鉄株式会社は2026年11月5日、2027年3月期中間連結決算(IFRS)を発表するとともに、通期連結業績予想の上方修正を公表しました。2027年3月期通期の親会社の所有者に帰属する当期利益予想は、従来の2,900億円から4,400億円へと1,500億円引き上げ、上方修正率は51.7%に達しました。通期の売上収益予想は11兆2,000億円から11兆7,000億円(前期比16.3%増)へ5,000億円増額し、本業の成果を示す事業利益予想も6,300億円から7,200億円(同40.0%増)へ900億円引き上げました。米USスチールを中心とする海外事業の収益拡大に加え、米国での大型設備投資に関連する961億円の一過性の税額控除が利益予想を大きく押し上げる要因となりました。
足元の中間期連結業績実績をみますと、大幅な増収増益を達成し、最終損益は前年同期の赤字から黒字転換を果たしました。売上収益は前年同期比26.1%増の5兆8,441億5,300万円、事業利益は同35.1%増の3,074億1,300万円、営業利益は3,074億1,300万円(前年同期は28億3,500万円の損失)となりました。税引前利益は2,470億900万円(前年同期は301億400万円の損失)へ改善し、親会社の所有者に帰属する中間利益は前年同期の1,133億8,000万円の赤字から2,629億9,700万円の黒字へ転換しました。2026年8月4日公表の上期予想に対しても、中間利益が1,429億9,700万円上振れるなど、想定を大きく超える進捗を示しました。
業績上振れと通期予想の引き上げを力強く牽引しているのが、米USスチールを中心とする海外事業の成長です。同社が在庫評価差などを除いて事業本来の収益力を示す「実力ベース連結事業利益」の通期見通しは、従来の7,000億円以上から7,700億円以上へと700億円引き上げられました。国内事業の見通しが3,800億円で据え置かれた一方、海外事業の見通しが3,200億円から3,900億円へと700億円増額されました。特にUSスチール(スロバキアのNSSKを含む)の実力ベース利益見通しは、従来から500億円引き上げられ2,300億円以上を見込んでいます。米国市場の旺盛な需要と鋼材市況の高位推移、操業シナジーの発現、地産地消型事業の強化が海外収益を押し上げています。
今回の通期最終利益予想の大幅な引き上げを読み解くうえで不可欠なのが、961億円に及ぶ一過性の税額控除の影響です。USスチールが推進する電炉拠点「Big River 2」の設備投資に関連し、米アーカンソー州の税額控除に伴う961億円の利益押し上げ効果が発生しました。これは中間期に繰延税金資産の計上に伴う税金費用の減少として一括計上された一過性の影響であり、鋼材販売などによる事業利益とは区別されます。通期の親会社所有者帰属利益予想の上方修正幅1,500億円のうち、この税額控除が6割以上を占めており、事業本来の収益改善分と税制優遇による一時的な押し上げ効果を切り分けて評価する必要があります。
力強い海外事業の一方で、国内事業では厳しい経営環境が続いています。主原料である鉄鉱石や原料炭の高騰に加え、エネルギーコストや物流費の増加に対し、大口顧客向けの紐付き販売価格への反映に時期ずれが生じました。さらに、夏場に発生した台風や豪雨による生産・出荷の遅延、製鉄所の冠水復旧費用や操業コストの増加などが国内採算を下押ししました。単独製鉄事業は上期に黒字化を確保したものの、国内事業の実力ベース利益見通しは期初想定にとどまっています。同社は下期に向け、原燃料価格上昇分の販売価格への転嫁徹底や国内市況分野での追加値上げ、天候不順による出荷遅れの挽回、名古屋製鉄所の新熱延設備の立ち上げ効果などを通じて収益改善を急ぐ方針です。
同社は中長期的な成長を見据え、グローバル市場での戦略的設備投資を加速させています。米国ではUSスチールのモンバレー製鉄所において約30億ドルを投じた熱延設備の新設を決定し、米国における戦略的投資は累計で約67億ドル分が具体化しました。スロバキアのNSSKでも電炉新設を決定するなど、脱炭素化と事業拡大を両立させる基盤整備を進めています。株主還元につきましては、2026年11月5日開催の取締役会において中間配当を1株当たり12円と決定しました。期末配当予想12円と合わせた年間配当予想は24円で据え置いています。同社は2025年10月1日付で1株を5株に分割しており、分割考慮後の前期年間配当実績24円と同水準を維持しています。配当支払開始予定日は2026年12月4日です。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)













