NTT DATA、世界のデータセンターに900MWの燃料電池発電を導入へ 米Bloom Energyと合意、電力網の制約に対応

2026年11月06日 10:47

蓄電施設と送電インフライメージ

電力供給インフラのイメージ。NTT DATAは米Bloom Energyと、世界各地のデータセンター向けに合計900MWのオンサイト発電設備を導入することで合意した。写真は今回の導入設備を示すものではない。(画像はイメージ)

今回のニュースのポイント

NTT DATAは2026年11月5日、米Bloom Energyと世界各地の複数のデータセンタープロジェクトに合計900MWのオンサイト発電設備を導入することで合意したと発表しました。送電網整備の遅れに対応し、非常用ではなく主電源として燃料電池を活用することで施設稼働までの時間を短縮する狙いです。初回出荷は2027年を予定しており、世界的なデータセンター拡張を支える大規模な電力確保策となります。

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 NTTデータ(NTT DATA)は2026年11月5日、米燃料電池大手のブルーム・エナジー(Bloom Energy)と、世界各地の複数のデータセンタープロジェクトに合計900メガワット(MW)のオンサイト発電設備を導入することで合意したと発表しました。データセンター事業を展開するNTT Global Data Centersがブルーム・エナジーの燃料電池を活用し、AIやクラウド関連の計算需要拡大に対応します。発電設備の初回出荷は2027年に開始される予定です。ブルーム・エナジーは今回の合意について、同社にとって過去最大の国際案件になると位置づけています。AIインフラの拡張に伴い電力確保が世界的な課題となるなか、データセンターの立地場所にオンサイト発電設備を導入し、電力供給能力を確保する具体的な取り組みとなります。

 今回の合意の重要な特徴は、燃料電池を非常用電源ではなく、データセンターの定常運転を支える「主電源」として活用する点にあります。NTT Global Data Centersのダグ・アダムス最高経営責任者(CEO)は、顧客企業によるAI関連設備の導入ペースに既存の電力網整備が必ずしも追いついていない実態を指摘しています。データセンターを建設しても、地域の送電網から必要な電力を受電できなければ、計算設備を予定通りに稼働させることは困難です。敷地内にオンサイト発電設備を導入すれば、データセンターの建設進捗に合わせて電力供給能力を整備できる可能性があります。送電網の増強待ちによる事業遅延を抑える手段として、自家発電設備の重要性が高まっています。

 ブルーム・エナジーの燃料電池は、燃料を燃焼させず、電気化学反応によって直接電力を生み出す仕組みを採用しています。同社の固体酸化物形燃料電池(SOFC)を用いた発電設備は、天然ガスや水素、バイオガスなどの多様な燃料に対応できます。また、モジュール構造のため、データセンターの増設ペースに合わせて発電設備を段階的に拡張できる点も特徴です。両社は、地域の大気環境への影響が小さいことや、水使用量が少なく騒音も小さいことを導入上の利点として挙げています。なお、今回の900MW案件で使用する具体的な燃料の種類は発表されておらず、非燃焼方式の採用が直ちに温室効果ガス排出ゼロを意味するわけではない点に留意が必要です。

 NTTデータグループは、世界規模でデータセンター事業を急速に拡大させています。同社が2026年春に公表した資料によると、NTT Global Data Centersは2026年3月末時点で世界に約1,630MWのデータセンター容量を提供しています。地域別では米州約675MW、欧州・中東・アフリカ約430MW、インド約425MW、アジア太平洋約100MWを展開しています。さらに約770MWの建設・計画案件を抱え、2030年度までに3ギガワット(GW)超へ拡張する目標を掲げています。今回の900MWのオンサイト発電設備導入は、こうした世界的な事業拡張を支える電力確保の取り組みです。ただし、1,630MWは提供容量であり、900MWの発電設備容量と単純合算して施設規模を測ることはできません。

 データセンター投資では、計算設備の確保だけでなく、電力インフラの調達網や地域環境への配慮が不可欠な条件となっています。NTT Global Data Centersが2026年6月に公表した調査報告でも、AI需要が拡大する一方、電力供給や設備供給網、土地、人材の確保が施設拡張の制約になり得ると指摘されています。データセンターの電力消費急増に対しては、周辺地域での環境負荷や水資源の逼迫、騒音への懸念が高まりがちです。ブルーム・エナジーの発電設備は、非燃焼による地域大気環境の保全、少ない水使用量、静かな運転を特徴としており、地域環境への影響に配慮しながら、電力供給能力を段階的に整備するための選択肢として位置づけられています。

 今回の合意は、AIインフラ投資の競争軸が、計算設備の調達力だけでなく「必要な電力をいかに早く確保できるか」という供給までの時間に広がっている現実を示しています。データセンターの建設とモジュール式発電設備の設置を並行して進めることで、送電網接続の制約を補う構想が示されました。一方、実際の導入速度や経済性は、設置地域における燃料調達、許認可、設備の製造・輸送能力などにも左右されます。AIデータセンターの拡張では、計算設備そのものに加え、必要な電力をいかに早く、安定的に確保するかが事業化の条件となっており、発電設備をデータセンター投資と一体で整備する動きが広がっていることを示しています。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)