三菱重工、通期事業利益6,000億円に上方修正 GTCC・防衛が成長、IGCCで675億円の保証費用

2026年11月06日 13:40

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三菱重工業。同社は2026年11月6日、2027年3月期の通期事業利益予想を6,000億円に上方修正した。GTCCや防衛関連事業などの成長が寄与する一方、IGCCプラントに関する製品保証費用675億円を計上した。(資料写真)

今回のニュースのポイント

三菱重工業は2026年11月6日、2027年3月期の通期事業利益予想を従来の5,400億円から6,000億円へ上方修正しました。GTCCや原子力、防衛関連事業の工事進捗と採算改善が牽引します。中間期の事業利益は2,493億円と前年同期比45.3%増加し、受注残高は14兆2,256億円に達しました。一方、2021年納入の勿来・広野IGCCプラントについて、将来の部品交換等に備え製品保証費用675億円を引当計上しました。この費用は修正後の通期予想に織り込み済みです。

本文
 三菱重工業は2026年11月6日、2027年3月期通期の連結業績予想を上方修正し、独自の業績評価指標である事業利益の予想を従来の5,400億円から6,000億円へと600億円(11.1%)引き上げました。売上収益予想も従来の5兆4,000億円から6兆円へ6,000億円(11.1%)増額し、親会社所有者帰属当期利益予想も3,800億円から4,400億円へ600億円(15.8%)引き上げています。GTCC(ガスタービン複合発電)や防衛関連事業などの工事進捗と採算改善が上振れを主導します。一方、同社は2021年に納入した勿来・広野IGCC(石炭ガス化複合発電)プラントに関して、今後の部品交換等に備えた製品保証費用675億円を引当計上したことも公表しました。大型案件に伴う製品保証費用を織り込んだ上で、主力事業の成長や採算改善を背景に通期業績予想を引き上げた形です。

 同時に発表された2026年4~9月期中間連結決算(IFRS)の実績は、売上収益が前年同期比19.4%増の2兆5,232億円(2兆5,232億69百万円)、事業利益が同45.3%増の2,493億円(2,493億4百万円)、親会社所有者帰属中間利益が同76.9%増の2,032億円(2,032億91百万円)と大幅な増収増益でした。中間期の受注高は前年同期比9.0%増の3兆6,125億円に伸長し、将来の事業規模を示す受注残高は前年度末比で9,880億円増加し14兆2,256億円に達しました。受注拡大の中心はGTCC、原子力、製鉄機械です。ただし、14.2兆円を超える受注残高は中長期的な工事の裏付けであり、全額が当期中に売上や利益へ転換されるものではない点に留意が必要です。

 事業別で最大の牽引役となったのはエナジーセグメントです。同セグメントの中間期受注高は前年同期比3,230億円増の2兆3,042億円、売上収益は同2,515億円増の1兆1,225億円、事業利益は同643億円増(約80%増)の1,451億円と極めて好調に推移しました。主力のGTCC事業は北米やアジアでの需要急増を捉えて受注高が1兆5,687億円(前年同期1兆4,387億円)、売上収益が5,871億円(前年同期4,273億円)へ拡大し、採算改善も重なって大幅な増益を達成しました。また、原子力事業も既設炉の再稼働や安全対策工事の進展を背景に受注高が2,784億円、売上収益が1,521億円へ伸長しました。航空エンジン分野でもMRO(整備・修理・オーバーホール)の受注・売上が増加し、GTCCと原子力が成長を支えています。

 一方で、エナジー事業の足元では大型インフラ特有の品質保証リスクが顕在化しました。同社は2021年に納入した勿来・広野IGCCプラントについて、関係先との協議状況や技術的検証の最新知見を踏まえ、発電所の長期安定運営に向けて今後一定期間ごとに一部部品の交換等を実施する必要があると判断しました。これに伴い、将来発生が見込まれる製品保証費用として675億円を中間決算に引当計上しました。これは将来の対応費用を見積もって当中間期に費用計上したもので、675億円全額が当中間期に現金支出されたことを意味するものではありません。決算説明資料の事業利益増減分析では、当中間期のIGCC関連一時費用を約700億円と概数で示していますが、会社側はこの保証費用675億円を織り込んだ上で通期の業績予想を引き上げています。

 他のセグメントにおいても事業環境に応じた進捗がみられます。航空・防衛・宇宙セグメントは、前年同期の大型受注の反動から中間期受注高が2,968億円(前年同期5,450億円)へ減少したものの、防衛・宇宙および民間航空機の順調な工事進捗と出荷増加を背景に、売上収益は6,334億円、事業利益は前年同期比約27%増の763億円と増収増益を確保しました。また、インダストリアル・ソリューションセグメントもエンジンの増収や為替影響で事業利益が147億円へ倍増しました。反面、プラント・インフラセグメントは製鉄機械などの受注が好調で売上収益も4,298億円へ増加したものの、前期の高採算工事の反動などから事業利益は414億円と小幅な減益となりました。全セグメントが一律に増益となったわけではありません。

 財務面では、中間期の営業キャッシュフローが3,945億円の収入となり、投資キャッシュフロー738億円と合わせてフリーキャッシュフローは4,683億円の黒字となりました。現預金残高は1兆7,067億円、有利子負債は4,827億円、D/Eレシオは0.15倍と極めて健全な財務水準を維持しています。年間配当予想は中間14円、期末予想15円の合計29円(前期実績25円比で4円増配)を据え置きました。通期予想の上方修正により、前期比では売上収益20.6%増、事業利益38.8%増という大幅な増益を見込みます。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)