ヤマハ発動機、1~9月営業益2.1倍の2352億円 新興国二輪車とロボティクス好調、年間配当60円へ

2026年11月06日 13:12

今回のニュースのポイント

ヤマハ発動機が2026年11月6日発表した1~9月期決算は、売上収益が前年同期比16.0%増の2兆2,152億円、営業利益が同109.6%増の2,352億円となり、第3四半期累計の過去最高を更新しました。新興国の二輪車販売やロボティクス事業の黒字転換に加え、円安や米国固定資産売却益が寄与しました。一方、米国事業には赤字が残ります。通期業績予想は据え置き、年間配当予想は前期実績を25円上回る60円に引き上げました。

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 ヤマハ発動機は2026年11月6日、2026年12月期第3四半期累計(1~9月)の連結決算(IFRS)を発表しました。売上収益は前年同期比16.0%増の2兆2,152億円、営業利益は同109.6%増の2,352億円、親会社の所有者に帰属する四半期利益は前年同期の432億円から約4.0倍となる1,734億円に達しました。営業利益が前年同期の2.1倍に急拡大し、売上収益および各利益はいずれも第3四半期累計として過去最高を更新しました。新興国を中心とした二輪車や船外機、ロボティクス関連製品の販売拡大が業績を牽引したほか、円安の進行や経費削減、米国での固定資産売却益の計上も増益に寄与しました。同社は好調な業績進捗やキャッシュフロー改善を踏まえ、期末配当予想を10円増額の35円とし、年間配当予想を前期比25円増配の60円に修正しています。

 収益拡大を牽引したのは主力の二輪車事業です。ランドモビリティ事業は、売上収益が前年同期比19.9%増の1兆4,721億円、営業利益が同91.5%増の1,700億円を記録しました。そのうちモーターサイクル事業は、売上収益が1兆4,435億円、営業利益が1,750億円に達しています。国内販売は減少したものの、欧米で需要伸長を取り込んだほか、インドやアセアンなど新興国で強い需要が継続しました。出荷台数の前年同期比では、インドが133%、ベトナムが161%、タイが123%と大幅に伸び、インドネシアとフィリピンもそれぞれ105%と堅調でした。あわせてマリン事業も、米国で船外機需要が減少したものの欧州やアジアで伸び、売上収益は前年同期比7.8%増の4,302億円、営業利益は同40.2%増の690億円と増収増益を確保しました。

 前年同期に損失を計上していたロボティクス事業の黒字転換も、大幅な増益を支えました。同事業の売上収益は前年同期比30.4%増の949億円となり、営業損益は前年同期の9億円の赤字から80億円の黒字へと浮上しました。基盤となるサーフェスマウンターは、中国や東南アジアを中心に需要拡大を捉えて販売を伸ばし、産業用ロボットでも自動化需要の回復を着実に取り込みました。さらに半導体製造後工程装置では、生成AIやデータセンター関連の需要拡大を背景に、新型ワイヤボンダの販売が好調に推移しました。なお、同社は2026年よりドローンや産業用無人ヘリコプターを手がける事業をその他事業へと移管しており、前年同期実績も組替後の数値で比較されています。

 営業利益が前年同期の1,122億円から2,352億円へ倍増した背景には、本業の改善だけでなく為替や資産売却の追い風がありました。同社の営業利益増減要因分析によると、販売規模増や価格改善を含む販売影響が917億円のプラスとなったほか、研究開発費削減が113億円、販管費抑制が42億円の増益効果を生みました。さらに、1ドル159円、1ユーロ184円となった為替影響が432億円のプラスとなり、その他要因283億円には米国固定資産売却益160億円が含まれます。一方、原価面ではコストダウンによる148億円の改善があったものの、コストアップ517億円が上回り、差し引き369億円の減益要因となりました。米国関税の影響も、280億円の負担から還付額93億円を差し引いたネットで187億円のマイナスでした。多角的な要因が重なって達成された過去最高益であることが示されています。

 一方、北米を中心とするアウトドアランドビークル事業では厳しい環境が続いています。同事業の売上収益は前年同期比3.7%減の1,072億円、営業損益は241億円の赤字となりました。前年同期の赤字263億円からは22億円改善したものの、自社生産を終了したROVの販売減少や構造改革費用が重荷です。ゴルフカー事業でも米国市場での競争激化に直面しています。同社は価格転嫁や人員削減を進め、第3四半期累計で364億円の収益改善実績を計上しました。さらにROV分野では米国John Deere社との協業を発表し中長期的な再建を目指しています。ただし、米国関税影響の通期最新見通しは453億円(グロス)に上る見込みで、構造改革の行方には慎重な見極めが求められます。

 2026年12月期の通期連結業績予想について、同社は8月4日公表の修正予想を据え置きました。売上収益2兆9,000億円、営業利益2,600億円、親会社所有者帰属当期利益1,700億円を見込みます。通期予想に対する進捗率は営業利益で約90.5%に達し、親会社所有者帰属利益は累計1,734億円と通期予想を上回っています。一方、同社は第4四半期に向けて円高の進行や米国関税の影響、構造改革費用などを想定しており、今回の決算発表では通期業績予想を変更しませんでした。株主還元では、営業キャッシュフローが2,680億円の収入へ拡大したことなどを背景に、年間配当予想を従来の50円から60円へ引き上げました。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)