今回のニュースのポイント
JFEホールディングスは2026年11月6日、2027年3月期の通期事業利益予想を従来の2,150億円から1,950億円へ下方修正しました。千葉地区で8月の豪雨と9月の台風25号に伴う大雨で設備冠水被害が長期化し、年間の粗鋼生産量は従来計画比で約70万トン減少し、事業利益へ約500億円のマイナス影響を見込みます。中東情勢によるコスト増も重荷です。上期事業利益は767億円と前年同期比増益ですが、棚卸資産評価差等を除くと490億円の減益でした。
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JFEホールディングスは2026年11月6日、2027年3月期通期の連結業績予想を下方修正し、事業利益の予想を従来の2,150億円から1,950億円へと200億円引き下げたと発表しました。親会社の所有者に帰属する当期利益予想も1,500億円から1,300億円へ200億円引き下げています。JFEスチールの東日本製鉄所千葉地区において、8月の線状降水帯による豪雨被害に続き9月にも台風25号に伴う大雨で新たな被害が発生し、生産への影響が長期化し、年間の単独粗鋼生産量が従来計画から約70万トン減少、通期事業利益に約500億円のマイナス影響を及ぼす見通しとなったことが主因です。これに加え、中東情勢の緊迫化に伴う原油・原材料価格や物流費の高騰など外部環境の悪化も重なり、年間ベースでの収益下押し要因となっています。
同日発表された2026年4~9月期中間連結決算(IFRS)の実績は、売上収益が前年同期比7.5%増の2兆4,004億円、事業利益が同310億円増の767億円、税引前中間利益が同365億円増の706億円、親会社所有者帰属中間利益が同101.7%増の537億円(537億96百万円)となりました。公表ベースの事業利益は前年同期の457億円から大幅な増益となっています。しかし、原料価格や為替変動に伴う在庫評価上の影響である「棚卸資産評価差等」を除いた事業利益の実態をみると、前年同期の937億円から447億円へと490億円の大幅な減益を記録しています。公表事業利益は増益となった一方、棚卸資産評価差等を除くと大幅な減益でした。会社の利益増減分析では、棚卸資産評価差等による前年同期比の押し上げ効果が800億円と示されており、両指標の動きには大きな差があります。
業績下方修正の最大の引き金となったのは、千葉地区を襲った度重なる自然災害です。8月13日の豪雨で設備冠水が発生し一部操業停止を余儀なくされた後、懸命な復旧作業を進めていた9月21日に台風25号に伴う大雨で新たな被害が発生したことで、生産障害が下期にかけて長期化しました。JFEスチール単独の粗鋼減産規模は、上期の約50万トンと下期の約20万トンを合わせ、年間で約70万トンに達する見込みです。9月25日公表時点の約60万トンからさらに影響が拡大しました。通期事業利益へのマイナス影響約500億円の内訳は、減産に伴う販売数量の減少影響が約250億円、生産性低下や顧客への供給維持に向けた代替配送費用などのコスト影響が約250億円です。なお、設備復旧費用などの直接被害については個別開示損失として52億円を計上しており、事業利益影響とは区分されています。
災害要因に加えて、鉄鋼事業を取り巻く外部環境も極めて厳しい状況が続いています。中国における不動産不況と内需低迷、それに伴う粗鋼の過剰生産と鋼材の大量輸出がアジア市場全体の需給と市況を圧迫しています。さらに、中東情勢の緊張継続を背景にWTI原油価格を1バレル90ドル程度と見込むなか、原油や燃料、原料炭、物流費などのコスト上昇が重荷となっており、中東情勢に伴う年間コスト影響額は前回見通しから約100億円悪化し、約700億円に上る見通しです。この結果、主力の鉄鋼事業における上期セグメント利益は158億円(前年同期は53億円の赤字)と表面上は黒字転換したものの、棚卸資産評価差等を除いた実質利益は162億円の赤字(前年同期は427億円の黒字)に転落しました。主原料高や諸物価高騰に対し、鋼材販売価格への転嫁を進める取り組みが喫緊の課題となっています。
鉄鋼本体が苦境に立たされる一方、グループ内の他事業や海外展開が収益の下支え役を果たしました。JFEエンジニアリングは、脱炭素化の進展に伴い洋上風力発電向けのモノパイル事業などが寄与し、上期の売上収益が3,052億円、セグメント利益が150億円とともに上期として過去最高を達成しました。また、JFE商事も米国を中心とする国内外の鋼材市況の上昇を取り込み、売上収益7,781億円、セグメント利益242億円と増収増益を記録しました。さらに、インドの持分法適用会社であるJSWスチールなどを通じた海外事業も堅調で、上期の鉄鋼セグメント利益の増減要因分析においてインド関連で140億円の改善効果が示されています。鉄鋼事業の国内製造基盤が打撃を受けるなか、エンジニアリングや商社、海外アライアンスがグループの業績を支える構図が鮮明です。
2027年3月期通期の連結業績予想について、同社は売上収益4兆9,000億円、事業利益1,950億円、親会社所有者帰属当期利益1,300億円を見込みます。前回予想からの下方修正となったものの、前期実績(事業利益1,353億円)との比較では597億円の増益水準を維持しています。年間配当予想は、第8次中期経営計画で掲げた下限方針に基づき、中間40円、期末予想40円の合計80円(前期実績と同額)を据え置きました。ROEは5%程度を見込んでいます。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)













