日系企業の進出が相次ぐ中国・重慶市

2013年03月18日 08:06

 中国における国家中心都市と言えば一般的には北京市や上海市だが、中国国内で最高位の都市であり、省と同格の一級行政区画である直轄市には重慶市、天津市も指定されている。なかでも重慶市は人口約3,000万人を擁し、2012年の経済成長率は13.6%にも達している。

 このような状況下でここ数年、この重慶市を軸に事業展開を行う日系企業も増えてきているようだ。セブン-イレブン・ジャパン子会社のセブン-イレブン(中国)投資有限公司及び三井物産<8031>は、中国最大の民営農牧企業であり食品事業も手掛ける新希望集団有限公司傘下の南方希望実業有限公司と共に合弁会社新玖商業発展有限公司(仮称)を設立。重慶市でセブン-イレブン店舗を展開することに合意している。三井物産及びセブン-イレブン(中国)投資有限公司は、新希望集団と共に本合弁会社を通じて同市においてフランチャイズ運営事業を行い、2013年中の1号店の開店を目指す。

 セブン-イレブン・ジャパンは2004年より北京市・天津市において中国でのコンビニエンスストア事業の本格展開を開始し、その後、成都市、上海市、青島市へと出店を拡大してきた。重慶市は現在、急速な経済成長を背景に、コンビニエンスストアをはじめとする小売業に対する需要の拡大も見込まれることから、同市において新たに店舗展開に取り組むこととしている。また三井物産は、商品・原材料供給と物流機能などのサービスを複合的に提供する機能を生かし、フランチャイズ運営事業と組み合わせた事業を展開。三井物産の食糧及び食品事業における中国事業の最重要パートナーの1社である新希望集団との連携により、同集団の重慶市についての高い知見と、店舗立地確保における不動産事業の豊富なノウハウを生かし、店舗展開を進めていくようだ。

 またヤクルト<2267>は2月より、中国ヤクルトにより重慶市に支店を開設し、スーパー等の店頭で「ヤクルト」の販売を開始。日立化成<4217>は1月より、中国におけるプリント配線板回路形成用感光性フィルムの事業拡大を図るため、重慶市に新たにスリット加工拠点として日立化成工業(重慶)有限公司を設立し、稼動を開始している。さらにJFEコンテイナー<5907>は3月に、重慶市にドラム缶の製造販売を目的とした新会社「JFE 金属容器(重慶)」を設立予定。新会社はトップクラスの生産性と品質保証体制を備えた、JFE コンテイナーグループのドラム缶製造技術を結集した最新鋭のドラム缶工場となる。重慶市の長寿化学工業区に立地し、欧米系化学メジャーを中心に重慶地域の高品質ドラム缶需要に対応するという。

 重慶市は立地的に経済や金融、文化と交通の重要な要衝であり、近年では商業及びサービス業にも勢いがあることで日系の大手小売業が次々に進出している。また、中国経済成長の新動力に位置づけられ、GDP成長率も中国全体を大きく上回る数字を維持しているようだ。重慶市が今後も高い経済発展が期待できる都市であることは疑いないが、注視が必要であるだろう。(編集担当:宮園奈美)