今週の振り返り 振幅が1420円もあった「春の嵐」の週

2013年04月06日 20:02

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週初2日はつまずくが異次元金融緩和の「黒田バズーカ砲」が炸裂して一気に「甘利越え」も

 
 3日のNYダウは111ドルの大幅安。アメリカの3月のISM非製造業景気指数、3月のADP雇用者数がともに市場予測を下回ったためだが、特にADP雇用者数の伸び悩みは5日発表の雇用統計への警戒感を呼び、株価下落を誘った。4日朝方の為替レートはドル円が93円近辺、ユーロ円が119円台半ばで前日よりも円高に振れていた。「清明節」でこの日、香港、上海市場は休場で、上海は5日も休みになる。日経平均始値は174.00円安の12188.22円。ドル円が93円を割り込んで一時12100円を下回ったが、売り買いが一巡すると12100円台後半で推移し、前引けの前に少し下げ、後場は少し上がって日銀の金融政策決定会合の結果発表を迎えた。

 「『量的・質的金融緩和』の導入について」と題して発表された主な中身は、目標の「インフレ率2%」を2年以内で達成するためにマネタリーベースを年間60~70兆円増やし、2年で2倍に拡大するという量的緩和。国債以外ではETFの年間買い入れ枠を約1兆円、J-REITの年間買い入れ枠を約300億円に設定。長期国債は月7兆円の大量買い入れを継続し、40年債も対象に含めて平均残存期間を3年から7年に伸ばす。「日銀券ルール」の自主規制枠は一時的に適用を停止する。付利の撤廃や外債の購入は見送られたが、噂された緩和策先送りはなく、「タマ切れ」承知で最初から全部一気に撃ってくるあたり、財務官時代に為替市場と向き合ってマーケットのあしらい方を知っている黒田新総裁おそるべし。発表を受けて長期金利は史上最低の0.425%まで低下した。

 「期待も失望も織り込み済み。よほどのビッグサプライズがなければ市場は動かない」と言われてきたが、おおむね想定の範囲内でも市場は敏感に反応。午後1時40分に発表が始まるとTOPIXはプラスに変わり、日経平均は12200円台、12300円台をアッと言う間に通過して12400円台に乗せた。午後2時台には12462円をピークに短期の利食い売りとみられる動きで反転してマイナス圏に沈み、再びプラスに浮上するという荒っぽい動きを見せる。この時点で為替はドル円が94円台前半、ユーロ円が120円台後半と、前週の水準まで円安に戻す。さらに大引け前の20分ほどの間に12500円、12600円を次々と突破し、日経平均終値は272.34円高の12634.54円で高値引け。TOPIXは+27.33の1037.76だった。日経平均の1日の上昇幅は559円もあり、寒風が吹きすさんだ4月1日、2日とはまた別の気流の「春の嵐」に見舞われた。売買高は42億株。売買代金は3兆円の大台に乗せ、メジャーSQの3月8日以来の大商いになった。

 東証1部の値上がり銘柄数が1439で全体の約84%を占める全面高で、業種別騰落率は全業種がプラス。上位は不動産、銀行、医薬品、鉄鋼、証券、その他金融、陸運など。下位は空運、電力・ガス、パルプ・紙、非鉄金属、ガラス・土石、卸売などだった。

 4日のNYドルは55ドル高。日銀の金融緩和を好感しながらも新規失業保険申請件数が予想外の増加で、5日発表の雇用統計への懸念がひろがって頭を押さえられた。5日朝方の為替レートはドル円が96円台前半、ユーロ円が124円台半ばで、24時間前と比べるとドル円は3円、ユーロ円は5円も円安になり「黒田バズーカ砲」(ロイター)の威力まざまざ。大証夜間先物取引で甘利経済再生担当大臣が3月末に望めると発言した日経平均13000円にタッチしたが、現物の日経平均も246.28円高の12880.82円で始まった後、すぐ13000円をオーバーして1週間遅れの「甘利越え」を果たした。

 ドル円が3年8ヵ月ぶりの円安水準に達したこともあり日経平均は一時13225円まで上昇し、前場は13000円台をキープしていた。しかし後場になると為替が急速に円高に振れて値を崩し、13000円を割り込む「甘利割れ」を喫した後、午後2時台には12900円をも下回る。終値は199.10円高の12833.64円で、3日続伸して年初来高値更新でも終値が始値を下回りローソク足は黒。TOPIXは+28.48の1066.24で、こちらは始値を約10ポイント上回った。東証1部売買高は驚きの64億円で過去最高を更新したが、そのうち約10億株をメガバンクのみずほ が占めた。売買代金は4兆8633億円で、黒田総裁言うところの「異次元の金融緩和」が株式市場で異次元の大商いを引き起こした。

 値上がり銘柄数は1288で全体の約75%を占め、プラスになった業種の上位は不動産、その他金融、銀行、陸運、証券、ゴム、倉庫、小売の順。マイナスになった業種はパルプ・紙、空運、非鉄金属、鉱業、卸売、鉄鋼の6業種だけだった。