【日経平均】15000円台はただタッチしただけの42円高

2014年06月17日 20:14

 大手商社は堅調で、三井物産<8031>は7円高、三菱商事<8058>は6円高で年初来高値を更新し、双日<2768>は2円高。アラブ首長国連邦アブダビの火力発電事業権益をサウジアラビアの電力会社に200億円で売却する住友商事<8053>は9円高。伊藤忠商事<8001>は自社株買いなどを行い早期にROE15%を目指す目標を示して売買代金11位に入り33円高。株主総会を前にして大手商社の株主フレンドリーぶりが目立つ。

 一方、前日の株主総会で外国人株主に買収防衛策を否決されたカプコン<9697>は皮肉な43円高。27日にピークを迎える株主総会では「物言う株主」を奨励する「日本版スチュワードシップコード」の影響もあり、株主の間で評判が悪い買収防衛策の廃止や期限延長を断念する企業が増えている。かつてライブドアのニッポン放送買収に過剰反応して横並びで一斉に買収防衛策導入に走ったが、専門の弁護士を儲けさせただけだった。そのフジメディアHD<4676>は「お台場カジノ構想」で66円高と買われていた。カジノ関連銘柄は後場から上昇し、日本金銭機械<6418>は150円高で値上がり率3位。オーイズミ<6428>は78円高で同5位。18日に通常国会で審議入りと伝えられたため。

 バルチック海運指数が4日続落し、昨年の人気業種、海運セクターは業種別最下位。日本郵船<9101>は売買高11位、商船三井<9104>は同14位でともに7円安。川崎汽船<9107>は2円安だった。リソー教育<4714>は、粉飾決算による株価下落で損害を受けたと元株主が民事訴訟を起こし10円安で値下がり率9位だった。

 セブン&アイHD<3382>は、傘下のセブンイレブンが2015年に日本のコンビニで初めて中東に進出すると報じられ10円高。最初の進出先はUAEのドバイで、3年間で100店舗を目指す。人手不足に悩むコンビニも外食も頼りにするアルバイト求人サイト「バイトルドットコム」のディップ<2379>は、今期の営業利益見通しを約2.8億円上方修正。市場予測を上回り122円高で年初来高値を更新した。自転車販売のあさひ<3333>は3~5月期の営業利益が29.5%増。駆け込み需要だけでなくPB商品を中心に4月以降も好調で株価は27円高だった。

 新興市場は日経ジャスダック平均が0.29%、東証マザーズ指数が1.87%上昇。ミクシィ<2121>はストップ高の3000円高で株価を一気に17000円台に乗せ年初来高値を更新。売買代金は東証1部トップのソフトバンク878億円より多い934億円だった。創薬ベンチャーのそーせいG<4565>は野村證券が新規に「バイ」のレーティングをつけ350円高。後場になると前日の主役のロボット関連がプラスに転じ、サイバーダイン<7779>は250円高だったが、東証1部の川田テクノロジーズ<3443>は売買代金4位に入りながら終値は値動きなし。第一精工<6640>は144円安で値下がり率1位、ロボット用メカトロ部品も手がける澁谷工業<6340>は346円高で値上がり率1位で年初来高値更新と、極端な高安まちまちぶりを演じた。

 この日の主役は三井不動産だが不動産セクターに非ず。大型公募増資による希薄化懸念で株価は低迷したが、前日、公募価格が3138円に決まるとそれで区切りがついたようで売買高9位、売買代金2位と買いを集めて上昇し151円高。業種別騰落率で最近、何度も最下位になっている不動産はこの日は上から6番目だったが、三菱地所<8802>は8円安、住友不動産<8830>は36円安、東京建物<8804>は19円安、野村不動産HD<3231>は31円安、売買高7位のケネディクス<4321>は6円安で、大手の中では三井不動産だけが独歩高していた。(編集担当:寺尾淳)