【日経平均】「新・成長戦略」を待ちながら小幅続伸6円高

2014年06月24日 20:14

 医薬品セクターは好調で、中外製薬<4519>は35円高、第一三共<4568>は27円高、協和発酵キリン<4151>は20円高。前日は沈んでいた武田薬品<4502>も20円高と持ち直していた。凸版印刷<7911>は100億円を投資しアメリカ・アトランタ郊外に包装フィルムの新工場を建設すると報じられ2円高。生産能力3割アップ。共同印刷<7914>は2017年3月期の経常利益を1.8倍の50億円に拡大するという経営方針を打ち出し14円高で値上がり率16位だった。

 値上がり率1位の日本MDM<7600>は、人工膝関節の新製品がアメリカで薬事承認されたのを材料に買いを集めストップ高比例配分の80円高で年初来高値更新。同2位の第一工業製薬<4461>は、関西大学と共同で開発した新型蓄電池「イオン液体リチウム二次電池」が人工衛星に搭載され宇宙空間で実証実験を行うという話題でストップ高の80円高。3Dプリンター関連銘柄も値上がり率にランクインし、群栄化学<4229>は29円高で6位、MUTOHHD<7999>は26円高で8位。10位に入ったのが葬儀ビジネスのティア<2485>で、73円高で東証1部に指定替え2日目にして連日大幅続伸している。

 JT<2914>は後場上昇し47円高で年初来高値を更新。売買代金11位に入った。サントリーHDがローソン<2651>の新浪剛史会長を次期社長に招くと大きく報道された。創業家以外の社長起用は画期的な出来事。ローソンは、3~5月期の営業利益が2割弱増加して170億円弱という業績観測記事が出て100円高。業績がその通りなら新浪会長も心残りなく華麗なる転身を遂げられそうだ。

 三井不動産<8801>はこの日が公募・売出株の受渡日で、手にして即日売った投資家も多かったようで売買高5位、売買代金1位の大商いで68円安。発行価格は3138円でこの日の安値は3385円だったので、即日売却組は最低でも7.8%の利益は手にできた計算。今のところ誰も損していない。

 ANAHD<9202>は航空機の運航以外の収入で稼ぐという話題で売買高9位に入り4円高で年初来高値更新。沖縄ではLCCの機体整備を受託し、タイでは民間航空の乗員や機長の養成を受託する。コンテンツ関連のイーブックイニシアティブ<3658>の36円高の背景は、2013年度の電子出版市場が前年度比で31.9%増加したというデータ。その主役はコミックの電子本だという。

 中・小型株物色の流れが続き新興市場は続伸。日経ジャスダック平均は0.40%、東証マザーズ指数は1.35%、それぞれ上昇した。MVNOの日本通信<9424>はこの日、信用規制が解除され128円高で年初来高値更新。逆にこの日から信用規制が強化されたのがサイバーダイン<7779>だったが、野村證券が目標株価を引き上げ830円高。ナノキャリア<4571>は前日、エーザイ<4523>が創製した抗がん剤候補の開発や販売で全世界対象の独占的ラインセンス契約を締結したと発表しストップ高の400円高。エーザイも30円高。薬効の増強、副作用の軽減を図るナノキャリアの技術を応用する。

 新規IPOが1社。東証マザーズに、ネットのリアルタイム広告枠を取引するDSP、そのデータを分析するDMPを提供するフリークアウト<6094>が新規上場したが、初値がつかず4600円の買い気配で終了した。広い意味でのネット関連なので人気あり。

 この日の主役はタカタ<7312>。国内自動車4社に納めたエアバッグに衝突時の破片の飛散や発火の恐れがあり、国内販売219万台、輸出も含めると892万台という大量リコールが発生。自動車業界を「タカタ・ショック」が襲った。リコール対象の4社は、全世界で431万台と最も多いトヨタ<7203>が20円安、317万台のホンダが50円安、124万台の日産<7201>は10円安、20万台のマツダ<7261>が1円安と、とばっちりを受けた。「日経平均の騰落レシオ159%」におびえるマーケットの〃高所恐怖症患者〃にとっては利益確定売りの格好の材料で、マツダ以外は売買代金10位以内に揃い踏み。ところが当のタカタの株価は後場プラスに転じ17円高という皮肉。タカタはエアバッグ、シートベルト、チャイルドシートなど自動車安全部品の国内シェアが50%以上もあり、クルマの中を探してみれば「誰もが必ずタカタ」に近い状態。東日本大震災の際のシリコンウエハとは別の意味で、高シェアのリスクを見せつけられた。(編集担当:寺尾淳)