【今週の展望】ゲリラ豪雨ならぬ「ゲリラ急落」には要注意

2014年06月29日 20:13

 その「ゲリラ急落」に対する防衛体制だが、前週は下落が「第1防衛線」の15000円の手前で止まったが、今週はそれを突破されて「第2防衛線」の14800円を意識しなければならない局面もあるとみる。ただ、第2防衛線ではメジャーSQ値14807円と、27日時点の200日移動平均線14805円の「ダブルサポート」の強力な下値支持力が効くと思われる。それができてこその「マジノ線」だ。

 なお、今週は7月に多い「ETFの決算」という要素もある。ETFには決算期に分配金を出す銘柄があり、その原資の現金を用意するのに受取配当金だけでは足らず株式を売却するケースがあるが、外国人の売買に比べれば規模は小さいだろう。

 一方、上値のほうは7月1日に日銀短観が出るが、良い数字が出ても日銀の追加金融緩和が遠のくと解釈され好感されないというひねくれた状況にある。小売業の3~5月期の決算発表も、個別株には効いても日経平均には効かない。アメリカの雇用統計も、東京市場では悪いと即座に反応するが、好転しても大して材料視されない傾向が続く。それでいて前日、前々日あたりの「雇用統計発表待ちの様子見」は毎回律儀にある。アメリカの長期金利は2.5~2.6%台にへばりついたままで為替は全然ドル高・円安に振れてくれない。これが月替わり、下半期入りを機に動き出すようなポジティブ要素がない限り上値は限定的で、せいぜい25日移動平均線+1σ(第1標準偏差)の15268円か、5日移動平均線の15283円付近までしか期待できない。

 ということで、今週の日経平均終値の変動レンジは14800~15300円とみる。兜町とNYのウォール街ばかり見ているとわかりにくいが、世界には内戦状態の国あり、政治の混乱続く国あり、不景気に苦しむ国あり、債務危機の爆弾を抱える国あり。「いつも通りに自分のトレードをするだけです」などと言って漫然とやっていると、思わぬリスクに直面して「世界の厚い壁」にはね返される。(編集担当:寺尾淳)