今年の携帯電話業界最大のトピックは、やはり米アップルによる「iPhone6」の発売だろう。日本でも9月19日に発売が開始されたが、大方の予想通り発売日(あるいその数日前から)には誰よりも新しいiPhoneを手にしたい熱心なユーザーがショップの前に集まり、長蛇の列ができることとなった。
そうして「iPhone6」が発売され華やかな話題に沸いた携帯電話業界ではあったが、しかしそうしたなか、携帯大手3社の2014年9月中間連結決算が発表されると、その華やかさの中から1社のみが外れてしまっていることが浮き彫りとなった。その1社とは、かつて「王者」と目されていたNTTドコモ<9437>だ。携帯大手3社が発表した14年9月中間連結決算によれば、ソフトバンク<9984>が増益、auのKDDI<9433>が増収増益と好調に業績を伸ばしたものの、NTTドコモだけが減収減益という結果であり、「一人負け」の様相を呈することとなってしまった。またこうしたNTTドコモの不振の影響を受けて、親会社であるNTT<9432>は15年3月期の業績予想を下方修正した。
「iPhone6」の発売時には3社ともに横並びの料金プランを発表し、またその前にも3社が軒並み国内通話完全定額制や、通信容量を家族間でシェアすることのできるプランなどを打ち出し激しい顧客争いを展開し続けたわけなのだが、こうしてNTTドコモだけが負けてしまった背景はどこにあるのか?それはNTTドコモが開始した国内通話完全定額制サービス「カケホーダイ&パケあえる」により、料金通話が落ち込んでしまった点にある。
しかしそれでも今月の17日に総務省が発表した電気通信サービスの契約数およびシェアに関する2014年度第2四半期(9月末)のデータによれば、事業者別のシェアでNTTドコモは前年よりもシェアを落としているものの、トップである。なのでまだまだNTTドコモにも「王者」に返り咲く可能性は十分あり、来年以降のその動きに注目したい。
しかし敵はほかの2社だけでなく、今年になって様々な異業種が参入をはたすこととなった「格安スマホ」も台頭しつつある。「料金が高い」と言われることの多いスマートフォンにおいて、「格安スマホ」との差別化、また付加価値をどのように付けることができるかが、今後のNTTドコモの復活の鍵を握っているのではないだろうか。(編集担当:滝川幸平)