2014年6月25日に公布された労働安全衛生法の一部を改正する法律により、2015年12月1日から、従業員50名以上の事業所に対しては、ストレスチェックと面接指導の実施等が義務付けられることとなった。
厚生労働省が今回のストレスチェックの義務化に踏み切ったきっかけは、2009年にさかのぼる。当時の厚生労働大臣長妻昭氏の指示によって、国立社会保障・人口問題研究所が行った「自殺・うつ対策の経済的便益(自殺やうつによる社会的損失)」の推計結果が発端だ。これによると、自殺やうつ病がなくなった場合、我が国の経済的便益の推計額は2009年度だけで約2.7兆円、さらに2010年度のGDP引き上げ効果は約1.7兆円にものぼることが分かった。もちろん、この数値は自殺死亡者数がゼロと仮定したものなので、実際には無理がある。しかしながら、2.7兆円という数字は、例えば2014年度単年度での「再生可能エネルギー固定価格買取制度」の全国の買取総額と同額であり、また先日の2015年3月期決算で日本企業として初めて営業利益2兆円超えを果たして自社最高記録を更新したトヨタ自動車?7203?の営業利益2.7兆円とほぼ同額という、とんでもない数字である。「現代社会はストレス社会」などと気軽に笑っていられるような状況ではないのは明らかだ。
ストレスと一口に言っても、身体や精神に及ぼす症状は様々だ。最近では「うつ」などが注目されているが、ストレス症状の定番といえば、今も昔も「胃痛」だ。精神的なストレスだけでなく、疲労や飲み過ぎ、食べ過ぎなどでも胃は敏感に反応し、胃の傷みは痛みとなって現れる。また、その胃痛がさらにストレスに拍車をかけてしまう。現代人にとって、胃痛はもっとも身近で厄介な病気といえるだろう。それだけに、胃の諸症状を緩和してくれる胃腸薬は、数あるOTC薬の中でも最もお世話になるものの一つではないだろうか。
しかし、胃腸薬を正しく利用している人は意外に少ないようだ。胃が痛ければ何を飲んでもいいというわけではない。症状によって飲み分けることが必要だ。
例えば、胃の痛みが激しい時には、第一三共ヘルスケア<4568>の「ガスター10」や大正製薬<4581>の「アバロンZ」などのH2ブロッカー薬が適している。H2ブロッカーとは胃酸の過剰な分泌を抑える成分のことで、胃粘膜の壁細胞に存在して胃酸分泌を調節しているH2受容体に直接作用し、症状を鎮静化させてくれるのだ。もともとは、胃潰瘍・十二指腸潰瘍といった消化性潰瘍の治療に用いられる薬品で、10年前までは処方箋が必要な医療用医薬品だった。ここぞという時には強力な効き目をもたらす大きな味方である反面、頻繁に使用しすぎると、胃酸を抑制することによって食物の消化が不十分になったり、便秘、発疹、眠気、頭痛、めまいなどの諸症状、さらには不整脈等の心臓の異常をきたすこともあるので注意が必要だ。
H2ブロッカー薬を服用するほどでもないが、胃酸過多で胸焼けを起こしているような場合は、ロート製薬<4527>の「パンシロンキュア」がおすすめだ。同製品は、ロートの定番胃腸薬・パンシロンブランドの中でもとくに、「胃酸逆流などによる胸やけ」に着目した新機軸の胃薬となっている。同社の調べでは、直近1年で感じた胃の不快症状は「胃の痛み」の43%に次いで「胸やけ」が41%と高い割合を占めていることが分かったという。この調査結果を受けて、同社では、胃酸の分泌を抑制するだけでなく、炭酸水素ナトリウムを含む3つの速効性制酸剤と健胃生薬「チンピ末」を新配合することで、胃酸を中和し、胃の粘膜を修復する「胃酸逆流などによる胸やけ」を解消する胃腸薬を開発した。
梅雨から夏にかけての蒸し暑いこの時期は、身体的にも精神的にもストレスが高まり、とくに胃腸の不調を感じやすい時期。胃腸薬を正しく使って、ストレスに負けずに夏を元気に乗り切りたいものだ。(編集担当:藤原伊織)