ドコモの「NOTTV」、契約数伸びず16年6月末で終了

2015年11月30日 07:51

 2012年4月より開始された、NTTドコモ<9437>のスマートフォン(多機能携帯電話)向け有料方法サービス「NOTTV(ノットティーヴィー)」だが、サービス開始以来3年連続で赤字が続いていた。開始当時は、スマートフォンの普及率が右肩上がりであったこともあって、テレビに代わる新しいメディアとなるかと大きな注目を集めたが、27日に同社は16年6月末に同サービスを終了するとの発表を行った。「NOTTV」が開始された当時と今とでは動画サービスをとりまく状況は大きく変化し、競争が激化したことにより契約数が伸び悩み、事業継続は困難と判断した模様。現在、すでに新規申し込みは中止されている。

 「NOTTV」はNTTドコモのほか、フジテレビやニッポン放送などが出資して設立された「mmbi」(現在はNTTドコモの子会社)により、地上波アナログテレビ放送で使用されていたVHF周波数を利用し、月額400円の利用料で人気アイドルグループのAKB48が出演するドラマなどを配信していた。そのほか、独自制作のバラエティ番組やサッカーの生放送なども行っていたが、開始当時のイメージ通りには契約数は伸びなかった。15年度で600万件の契約数を見込んでいたが、15年3月末の時点での契約数は175万件であり、10月末には147万件に減少した。こうして契約数が伸び悩んだ背景には、コンテンツの弱さなども挙げられるかもしれないが、やはり一番の要因は動画サービスをとりまく状況の変化だろう。

 人気映画やドラマなどを配信する「Hulu(フールー)」、そして今年に入って「Netflix(ネットフリックス)」、アマゾンのプライム会員向けの「アマゾン・プライム・ビデオ」など、相次いで動画サービスが開始されている。こうした状況により競争は激化し、契約数を奪われ、結果、事業継続を断念する形となった。

 国内初のスマートフォン放送局として話題をさらった「NOTTV」だが、4年でその幕を閉じる。今後NTTドコモは、「NOTTV」の契約者向けに「dTV」などのサービスの利用を促すとしている。そして「NOTTV」終了にともなう今期業績への影響は、今のところ限定的と想定し、年間の見通しは変更しないとのこと。(編集担当:滝川幸平)