【今週の振返り】日米中央銀行イベントに揉まれ243円下落した週

2015年12月19日 20:31

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FOMCの利上げ決定への東京市場の反応は、303円高で大幅続伸。日銀の「プチ緩和」への東京市場の反応は、日中値幅886円の乱高下の末に366円安。

 新規IPOが1件。鋼球の製造・販売を行う技術力が売り物の専門メーカー、ツバキ・ナカシマ<6464>が東証1部に上場。東証1部上場銘柄だった椿本精工が8年半ぶりに再上場した。公開価格1550円に対して9時6分、4.5%高い1620円の初値がついた。公開価格は公募仮条件の上限から10円安かったが、それより60円高い初値がついた。取りこぼしが危惧された銘柄だったが新規IPOはこれで7連勝。11月4日の郵政3社以降は12勝1敗の好成績。

 日経平均終値は484.01円高の19049.91円、TOPIX終値は+38.17の1540.72。売買高は21億株、売買代金は2兆5293億円。値上がり銘柄数は1641、値下がり銘柄数は225。全面高で32業種がプラスで、その上位は証券、輸送用機器、銀行、情報・通信、保険、その他金融などだった。マイナスは空運1業種のみ。テロの影響で乗客が減っている1、2月の成田-パリ・ドゴール空港便を運休し、2016年4月に客室乗務員全員を正社員化すると発表して人件費増加が懸念されたJAL<9201>が大幅安になったため。

 17日の日経平均は大幅続伸。NYダウは224ドル高。NADSAQは5000台回復でS&P500も上昇した。ヨーロッパ市場はアメリカの利上げ、ドル高ユーロ安期待で全面高。11月の住宅着工件数は前月比10.5%増で市場予測を上回り、先行指数の建設許可件数は11.0%増で5ヵ月ぶりの高水準。しかし11月の鉱工業生産指数は-0.6%で、設備稼働率とともに市場予測より悪かった。アメリカの経済指標はまちまちだが、原油先物市場は再び35ドル台まで下落し、NYダウは午前中から前日終値付近でくすぶっていた。

 全世界注目、マーケットの今年最大の話題だったアメリカの利上げついに決定。FOMCの結果は日本時間で午前4時すぎに発表され、FF金利は0.25~0.5%に改まり、政策金利の下限0.25%は9年半ぶりの利上げ、7年ぶりのゼロ金利解除。イエレンFRB議長は記者会見で、雇用は堅調で物価見通し2%は達成できると自信をみせたが、原油価格や期待インフレ率の弱さを指摘する報道陣から追及されていた。決断するトップはつらい。議長は「緩和的スタンスは続く」「利上げペースは緩やかに」と言いながらもFOMC声明文は2016年の再度の利上げを匂わせてタカ派寄り。この微妙さにマーケットと対話する苦心の跡がうかがえる。

 発表直後は為替レートもNYダウも激しく乱高下したが、為替はいったん121円台前半までドル安円高が進んだ後、反転して122円台前半まで1円近くもドル高進行。NYダウは終盤にかけ一段高し一時250ドル高をオーバーした。利上げは本来は株価にはマイナス要素だが、夏前からさんざん織り込んだので区切りがついてスッキリ、というところ。アメリカ長期金利は上昇。金先物は利上げに弱いはずが大幅上昇。17日朝方の為替レートはドル円が122円台前半、ユーロ円は133円近辺。CME先物清算値は19320円だった。

 前日大引け後に日本政府観光局(JNTO)から発表された11月の訪日外国人客数は前年同月比41.0%増の164万7600人で11月としては最高。国別最多の中国は75.0%増の36万3000人だが10月の99.6%増から鈍化。JNTOは韓国に流れたとみている。テロが起きたフランスも増加した。今年の累計は1796万4400人で政府目標2000万人の達成は厳しい情勢だが、安倍首相は14日に新たな目標「年間3000万人」を打ち出した。11月の貿易統計は輸出-3.3%、輸入-10.2%で3797億円の赤字。10月の貿易黒字の反動で4800億円の赤字という市場予測より赤字は小さかった。それは原油安のおかげ。

 FOMCが利上げしてゼロ金利政策を終わらせたのを受け、日銀の金融政策決定会合が始まった日の日経平均は314円高の19364円で始まる。TOPIXは25ポイントも上がってスタート。日経平均はすぐ19400円台に乗せ、午前9時27分には19500円寸前の19497円まで上昇するが、19500円にタッチできないまま時間が経過する。為替のドル円は122円台後半まで円安が進む。人民元の対ドルレートは下落が続いているが、上海市場はプラスで始まり徐々に上昇する展開。11時台に日経平均は19500円を超え、11時8分に200日移動平均の19504円を上回って19507円まで上がる。しかし19500円台は一時的で前引けは436円高の19486円だった。

 上海市場はこの日もおとなしく、+1%を超えるプラス圏で安定して午前の取引を終える。日経平均は20円ほど下げて後場の取引再開。午後0時台は下落し19400円を割り込む。1時台は19400円前後の小動きが続くが、2時前に為替レートがやや円高方向に戻ると19300円台半ばまで水準を下げる。2時に再開した上海市場は+1%超えの高値圏で安定。日経平均は19400円台に再び乗せたものの長続きせず、頭を抑えられる。終盤は電池が切れたように2時47分に19325円の安値をつけ、303円高の19353円で終了した。尻すぼみでも大幅続伸。TOPIXも日経平均と同じく始値より安い陰線(黒いローソク足)。上海総合指数は最後まで静かにお上品に振る舞って1.81%高だった。

 新規IPOが2件。体外診断用医薬品の開発・製造・販売を行う佐賀県鳥栖市が本社のミズホメディー<4595>がジャスダックに新規上場。大引けまで初値がつかない人気で公開価格1100円の2.3倍の2530円の買い気配で終了した。総合旅行情報サイト「トラベルコちゃん」を運営するコンテンツ関連のオープンドア<3926>が東証マザーズに新規上場。公開価格3820円に対して9時45分、23.2%高い4710円の初値がついた。前日にヤフー<4689>の一休<2450>への友好的TOBが発表されて影が薄くなったか?