【今週の振返り】自律反発は需給悪化に勝てず342円下落の週

2016年04月09日 20:26

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3月28日は113円台だったドル円は、4月7日夜には107円台まで円高が進行。その間、日経平均は7日で1419円下落。続伸は、パンドラの箱の最後の希望なのか?

 8日の日経平均は続伸。追加緩和を決めた3月10日のECB理事会の議事要旨が発表されたが、ECB高官がさらなる追加緩和を示唆するとヨーロッパ市場は金融セクターを中心に全面安。NYダウも174ドル安。新規失業保険申請件数が市場予測を下回って改善しても、原油先物価格が3日ぶりに下落し、来週から本格化する1~3月期決算への警戒感も出て終始マイナスだった。WTOは世界貿易見通しを下方修正。財務省高官や菅官房長官から円高けん制発言が相次いでも、三村日商会頭が最近の為替変動を「暴力的」と言ってもドル円は109円台に戻れず、NY時間では一時107円台。朝方の為替レートはドル円が108円台前半、ユーロ円が123円台前半。CME先物清算値は15445円。

 取引時間前に発表された2月の国際収支は、経常収支は2兆4349億円で20ヵ月連続黒字。前年同月比9476億円の黒字幅拡大。輸入が8930億円減って貿易収支は4252億円の黒字に転化。サービス収支も黒字化した。

 日経平均は152円安の15597円で始まる。TOPIXも大幅マイナス。下落したところで9時16分に15507.59円のSQ値が算出される。ドル円は円安方向に振れたが、9時41分に15500円を割り込む15471円の安値をつけて下につく良いパターンの「まぼろしのSQ値」は、まさしくまぼろしのように消えた。10時台にかけては15500円台前半のレンジで推移。上海市場はマイナス圏で低迷するが、麻生財務大臣の「場合によっては必要な措置をとる」という円高牽制発言でドル円レートは徐々に円安に向かい109円に接近。日経平均は15500円台から15600円台へ下げ幅を圧縮し、10時55分に15696円まで上昇し15700円に急接近。TOPIXは何度もプラスにタッチした。11時台もおおむね15600円後半の水準を維持し、前引けは88円安の15661円。

 上海は-1%以内の小幅安のまま午前の取引を終える。為替のドル円は108円台後半でやや円高に振れるが、後場の日経平均は15700円を超え、下げ幅を圧縮して再開。TOPIXはプラスに浮上。15700円前後で小動きし、日経平均はあと少しのところでプラスになれない。足を引っ張っているのは前日、今期2度目の業績見通し下方修正を発表したファーストリテイリング。1時15分頃にようやくプラスに浮上し15800円台に乗せる。上昇に勢いがつき1時45分には15900円を突破し、15910円まで上昇する。

 1時30分に東京商工リサーチから3月の全国企業倒産が発表され、13%減の746件。低水準が続く。内閣府が2時に発表した3月の消費動向調査の一般世帯の消費者態度指数は前月比+1.6ポイントの41.7。基調判断は「足踏みがみられる」で据え置き。再開した上海市場はマイナスで始まって徐々に下げ幅を圧縮。ドル円が109円にタッチしていないにもかかわらず、日経平均は2時台、突然の上昇をみせ15900円を突破して16000円にタッチする。TOPIXも1300にタッチ。2時26分にはそれまでのウップンをここで晴らすかのように277円高の16027円まで上昇したが、終盤になればやはり利益確定売りの金曜日で、15900円台も3ケタ高も維持できず終値は71円高に抑えられた。TOPIXのほうの上昇率は1.18%で日経平均の0.46%を大きく上回り、まんべんなく買い直されて全面高と言っていい一日だった。

 内閣府は何を恐れるのか大引け3時ちょうどに発表された3月の景気ウオッチャー調査の結果は、現状判断指数が45.4で2月の44.6から上昇し、先行判断指数が46.7で2月の48.2から下落という結果。影響はニュートラルのようで3時15分終了の日経平均先物日中取引は特に反応なく15830円で終えた。

 新規IPOが1件。ふとんなど寝具、リビング用品の製造販売を手がける丸八真綿グループの管理・統括会社、横浜市の丸八HD<3504>が名証2部に新規上場。公開価格680円より11.3%高い757円の初値がついた。公開価格の「二倍二倍」とは、いかなかった。

 日経平均終値は71.68円高の15821.52円、TOPIX終値は+15.05の1287.69。SQの日なので売買高は25億株、売買代金は2兆5798億円。値上がり銘柄数は1388、値下がり銘柄数は464。プラスは32業種で、その上位はガラス・土石、機械、水産・農林、鉄鋼、石油・石炭、食料品など。マイナスは不動産1業種のみ。上海総合指数は終日プラスに届かず0.77%安だった。

 今週の星取は2勝3敗。前週末1日の終値16164.16円から342.64円下落して今週の取引を終えた。週末に続伸しても2日合わせて106円高では7営業日続落の下落分1419円の約13分の1にすぎないが、「パンドラの箱」の底に小さな希望の光は見つかった。(編集担当:寺尾淳)