ボンカレーがテレビCMを撤退しネット動画に取り組む理由を探る

2016年05月21日 18:46

 大塚食品の「ボンカレー」は、長くテレビCMを放映してきた。そのキャスティングには松山容子、王貞治、松坂慶子など、有名人が名を連ねている。しかし、そんなボンカレーが2013年以降はテレビCMから撤退をしている。

 まず、広告には大きく3つに分けられる。マス媒体、SP媒体、インターネット媒体だ。マス媒体はTVやラジオ、新聞、雑誌といったマスメディアに載せる広告媒体のことを指す。SP媒体はセールスプロモーションのことで、駅や電車の広告やチラシやDM、キャンペーンなどを指し、インターネット媒体はインターネットでの広告だ。

 ボンカレーはマス媒体から、このうちのどこへ行ったのか。それは、インターネット媒体だ。

 インターネット広告はパソコンや携帯電話の普及により、近年最も注目を浴びている。マス媒体とSP媒体の両方の特徴がインターネット媒体にはある。マス媒体のように自動で送られてくる特徴と、SP媒体のように直接購入に結びつくという特徴だ。また、表現の幅が大きく、低コストで作ることができるのも魅力の一つだろう。

 大塚食品は「アンケート調査をしているとボンカレーの認知率は9割を超えている」としている。しかし、近年レトルト食品はバリエーションが豊かになってきた。消費者にとっては「知っているけれど、食べたことはない」という商品になっているという側面も否定は出来ない。

 そこで同社は企業色を取り除き、レトルトカレーが役立つシーンを描いた動画コンテンツを作り上げた。音楽を担当したのは山崎まさよし氏だ。動画を制作するにあたって、着目したのは、昨今共働きが増えたにもかかわらず、母親の家事の負担が軽減しないという現実だ。そんな生活の中でレトルトカレーを使い、ワーキングママと呼ばれる共働きのお母さんを応援する動画を制作した。それが、「ねえ、お母さん」篇という3分近い動画だ。

 この動画の評判は上々で、再生回数は100万回を超えている。それを踏まえて第2弾の動画も作成されている。おかげで大塚食品へのサイト流入は約3倍に膨れ上がり、売上は120パーセントを実現した。しかし、インターネット媒体という広告の特徴が低コストであることから広告宣伝費は6割減を達成している。

 テレビCMに変わって大塚食品が取り組んだ動画広告だが、目覚しい成果に今後も期待が寄せられている。(編集担当:久保田雄城)