イギリスには343社の日系企業が進出し759カ所の拠点を展開

2016年06月26日 21:39

 東京商工リサーチは保有する国内企業データベースと、業務提携するDun & Bradstreet(ダンアンドブラッドストリート、本社・米国)の世界最大級の海外企業データベースを活用し、日系企業のイギリスへの進出状況を調査した。

 この結果、イギリスには343社の日系企業が進出し759カ所の拠点を展開していることがわかった。進出拠点の業種は、事業関連サービス業や卸売業、金融機関、保険業など多岐にわたっており、イギリスのEU離脱の動向は、日系企業にも影響を及ぼす可能性があるとしている。

 現地拠点759カ所の産業別は、製造業が最も多く264拠点(構成比34.8%)だった。次に多かったのは、サービス業の165拠点(同21.7%)と続く。また、金融・保険業は107拠点(同14.1%)だった。国際金融でイギリスのシティは、アメリカのウォールストリートに次ぐプレゼンス(存在感)を持っている。世界各国の金融機関が、EU内の1国で事業の認可を得ると域内の他国でも事業活動が可能になる「パスポート制度(パスポーティング)」などが存在するためだ。イギリスがEUから離脱した場合、この制度が利用できなくなり、新たに認可の取得を迫られる可能性がある。このため、進出している日系企業の業績に影響を与え、場合によっては進出戦略の見直しを迫られる恐れもあるとしている。

 イギリスの日系企業759拠点のうち、最も多かったのは事業関連サービス業の101拠点(構成比13.3%)だった。事業関連サービス業は、ソフト開発を含むプログラミング業や広告代理業が含まれる。これらの業種は、イギリスに所在する日系を含む外資系企業の現地拠点やローカル企業を顧客にしているとみられるという。
 
 次いで、動力伝導装置製造業や産業用機械製造業が含まれる一般機械器具製造業55拠点(同7.2%)だった。さらに、卸売業(消耗品)49拠点(同6.5%)、卸売業(耐久消費材)45拠点(5.9%)と続く。構成比率が最も高い業種でも13.3%にとどまっており、日系企業はイギリスに多様な形で進出していることがわかる。

 第2次世界大戦の終結以前(~1945年)に開設されたのは21拠点だった。戦後の1946年~1989年までは268拠点、1990年~1999年は211拠点。2000年以降の開設は259拠点で、全体の約3割(構成比34.1%)を占めた。ただし、2000年~2009年は年間平均18.1拠点が開設されたのに対し、2010年~2015年は年間平均13.0拠点と開設スピードが鈍化している。

 イギリスに進出している日系企業は343社で拠点数は759拠点であることがわかった。現地拠点の産業は、製造業が264拠点(構成比34.8%)と最も多く、次いでサービス業の165拠点(同21.7%)や金融・保険業の107拠点(同14.1%)など多岐にわたっているとしている。(編集担当:慶尾六郎)