【今週の振り返り】裏切り者日銀よりトランプ発言で460円上昇の週

2017年02月11日 20:20

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日銀はETF買いを2日連続で見送る裏切り。週間騰落は9日まではマイナスだった。プラスに変えたのは大統領の「減税予告」。いったい、誰が味方で、誰が敵なのか?

 日経平均終値は65.93円安の18910.78円、TOPIX終値は-4.27の1516.15。売買高は16億株、売買代金は2兆610億円で薄商い。値上がり銘柄数は562、値下がり銘柄数は1291。プラスは11業種で、上位は水産・農林、空運、不動産、その他金融、電気・ガス、非鉄金属など。マイナスは22業種で、下位はその他製品、鉱業、輸送用機器、保険、小売、サービスなど。上海総合指数は0.12%安。

 8日の日経平均は反発。ヨーロッパは英国、ドイツが上昇。大統領選挙の行方が不透明になったフランスが下落。NYダウはザラ場で史上最高値を更新したが、52ドル台に下がった原油先物価格の軟調におされ、反発しても終値は37ドル高。NASDAQもS&P500もプラスだった。金先物は4営業日続伸。アメリカの12月の貿易収支は赤字額+0.4%増。2016年の貿易赤字5022億ドルの相手国は1位中国、2位日本、3位ドイツ、4位メキシコで、トランプ政権に敵視される国が勢揃い。日米首脳会談前に689億ドルの日本が2位に上がるというタイミングの悪さだが、赤字の69%を3470億ドルの中国が占め、突出している。12月の雇用動向調査の結果は横ばい。消費者信用残高は+141.6億ドルで市場予測を下回った。GMの決算は増収だがドル高で海外収益が目減りし大幅減益。昨年上半期の決算が「円高で海外収益が目減りし大幅減益」だった日本メーカーと入れ替わり。EPS(1株あたり利益)は市場予測を上回った。アメリカの長期金利は低下したが朝方の為替レートはドル円が112円台前半、ユーロ円が120円近辺で少し円安。大阪夜間取引終値は18910円。CME先物清算値は18950円。

 日経平均始値は40円高の18951円。高値は大引け直前15時0分の19009円。安値は前引け11時30分の18875円。終値は96円高の19007円。取引開始前に発表された12月の国際収支の経常収支は1兆1122億円の黒字で、30ヵ月連続黒字だが市場予測は下回った。貿易収支は8068億円の黒字。2016年通年の経常収支は20兆6496億円だった。対外直接投資の相手国はアメリカがファースト(第1位)。1月30、31日の日銀の金融政策決定会合の「主な意見」では、2%のインフレ目標がほど遠いことを理由に、政策委員の間で長短金利を操作目標とする現在の金融政策の堅持を支持する意見が目立った。インフレ目標も、「出口」も、まだ遠い。

 前日比で為替は円安だが、日経平均はプラスでも19000円には届かずに始まる。TOPIXはプラス。序盤は18950円近辺で小動きし、9時台のうちに大きく凹む時間帯があり「SQ週の水曜日」を意識させるが、プラスを維持して元に戻る。しかし19000円にあと16円まで迫った直後、18900円割れのマイナスまで一気に約100円も下がった10時台の大崩れはドル円の50銭近い円高進行とセットで、節分は過ぎても「鬼門」のSQ週の水曜日の鬼の恐怖を改めて見せつけた。鬼に泣かされた後はTOPIXは小幅プラス、日経平均は時々プラスにタッチしながら小幅マイナスという時間帯が続いたが、前引け間際に急落し前場安値引け。TOPIXもマイナスだが日銀のETF買いの条件は満たしたので、鬼に感謝?

 ドル円は112円台をキープし、後場はTOPIXともどもプラスに転じて再開。1時を回るまでたびたびマイナスにタッチするが、為替が円安方向に振れるとプラス幅を拡大して18950円を超える。1時30分に東京商工リサーチから発表された1月の全国企業倒産件数は前年同月比-10.4%で2ヵ月ぶりに改善した。1月としてはバブル絶頂期の1990年以来27年ぶりの低水準。倒産が増加したのはサービス業だけ。金融機関が企業の返済計画変更に応じる姿勢は変わらず、業績が改善するまで延命できている。大型倒産が増加し負債総額は+1.2%で2ヵ月ぶりの増加。2時に内閣府が1月の景気ウオッチャー調査を発表。現状判断指数は-1.6ポイントの49.8で50を割り込み7ヵ月ぶりの悪化。先行き判断指数も-1.5ポイントの49.4でこれも50を割り込み2ヵ月連続の悪化。両指数とも、家計、企業、雇用が悪化しており、基調判断は「着実に持ち直している」から「持ち直しが続いているものの、一服感がみられる」に下方修正された。調査時期はトランプ大統領が就任直後に矢継ぎ早に政策を繰り出して不安を呼んでいた時期だが、国内景気の現状は決して良くはない。

 景気ウオッチャー調査が悪くても2時台の日経平均は18900円台後半の水準を保つが、為替の円安が進んでも19000円にタッチできず。SQに加え10日の日米首脳会談が重し。官邸はその準備で日本企業のアメリカへの投資計画をとりまとめ中。それでも終盤の日経平均は吹っ切れたようににわかに上昇し、高値を更新し2月1日以来5営業日ぶりの19000円台回復。大台のまま最後までもった大引け。高値はその直前に記録した。日銀のETF買いは結局入らず、2月に入って2回目の「裏切り」。ギャングなら確実に消される。