「桜を見る会」の招待者に「総理私物化」批判も

2019年11月12日 05:09

 毎年4月に公費で開かれる総理主催の「桜を見る会」をめぐり、招待者の在り方など運用規定の順守を求める世論が強まっている。総理の地元関係者が数百人招かれていたことへの不信感がある。「総理は私物化している」との批判もでている。

 日本共産党の田村智子議員が8日の参院予算委員会で追求。田村議員は「下関の安倍事務所に申し込んだら内閣府から招待状が来た、という複数証言がある」とし「案内状発送は内閣府が一括して行い、必ず招待者一人ひとりにあてて送付する。安倍事務所がとりまとめをしなければ、下関市の後援会員の名前や住所がどうしてわかるのか」と疑問を投げた。

 また田村議員は追求の中で下関市選出の友田有(たもつ)山口県議会議員のブログ(2014年5月1日号)をあげ「4月12日、安倍首相が主催する桜を見る会に行ってまいりました。今回は私の後援会女性部の7名の会員の方と同行しました。早朝7時30分にホテルを出発し、貸し切りバスで新宿御苑に向かい、到着するとすぐに安倍首相夫妻との写真撮影会。安倍首相には長く首相を務めてもらい、今後もずっと桜を見る会に下関の皆さんを招いて頂きたい」との書き込みを紹介。「ホテルから貸し切りバスでの移動。総理自身も地元後援会の皆さんを多数招待しているのではないか」と質した。

 安倍晋三総理は「招待者の取りまとめには関与していない」と否定したが、「招待されたかどうかについては個人に関する情報であるため従来から回答をさし控えさせている」と個人情報を理由に逃げの答弁を重ねた。

 招待者の決定について内閣府は「特定の分野などを想定しているカテゴリーのものではない。各省庁から推薦いただいたものを内閣府官房室で取りまとめている」とし、総理も「内閣官房および内閣府で取りまとめていると承知している」としている。

 この日の質問で田村議員は萩生田光一文部科学大臣の「はぎうだ光一の永田町見聞録」(2014年4月)からも招待者をめぐる質問をした。田村議員は見聞録には「今年は平素御面倒をかけている常任幹事会の皆様をご夫婦でお招きいたしました」とあるが「常任幹事会とはどこの常任幹事会か」と質した。

 萩生田文科大臣は「手続きにのっとり招待された方だと承知している」としたうえで「常任幹事は(自身の)後援会の常任幹事のこと」と後援会関係者であることを認めた。

 桜を見る会をめぐっては2014年の参加者が1万3700人、支出額3005万円。それでも予算の1.7倍になっているが、2019年には参加者1万8200人、支出額5520万円と予算の3倍になっている。

 田村議員は「来年度の予算要求額は5730万円になっている」と予算を大幅に超えていることへの批判をかわすため要求額を大幅に増額していることも指摘した。国民の理解を得られる運営が強く求められている。(編集担当:森高龍二)