世界に先駆けて「衝突被害軽減ブレーキ」搭載義務化を策定する記念すべき2020年

2020年01月06日 07:06

Subaru i-Sight

SUBARUは国内自動車メーカーのなかで先行して衝突被害軽減ブレーキを含む安全運転支援システム「SUBARU iSight(アイサイト)」を搭載、その最新バージョンの作動イメージ、先行車、歩行者、自転車をも補足して作動する

 年末も押し迫った19年12月17日、国土交通省は以下の発表を行った。それによると、本年6月18日に開催された「昨今の事故情勢を踏まえた交通安全対策に関する関係閣僚会議」において「未就学児等及び高齢運転者の交通安全緊急対策」がとりまとめられ、安全運転サポート車の普及を一層促進するための対策が盛り込まれた。

 その内容の大きな要素は、衝突被害軽減ブレーキの国内基準策定だ。2019年6月の乗用車などの衝突被害軽減ブレーキに関する国際基準発効を受けて、2020年1月に国内基準を策定する。国内基準においては、世界に先駆け2021年11月以降の国産新モデルから段階的に装備を義務付ける。この件を報じた多くのマスコミは「自動ブレーキ」と記載あるいはコメントしていたが、これは誤りで、あくまで安全運転支援システムの一環として自動車に組み込む「衝突被害軽減ブレーキ」である。

 衝突被害軽減ブレーキ搭載については、高齢運転者による事故が相次いだことを背景に閣議決定した交通安全緊急対策で、年内に結論を出すことになっていた。赤羽一嘉国交相は12月17日の会見で「高齢運転者による事故は喫緊の課題。メーカーにも苦労があると承知しているが、安全・安心な社会を構築するという共通認識でご理解いただいた」と今回の決定について説明した。

 さらに、ペダル踏み間違い急発進抑制装置などの性能認定制度の導入も盛り込んだ。ペダル踏み間違い急発進抑制装置及び衝突被害軽減ブレーキについて性能認定制度を年度内に創設し、2020年4月から申請受付を開始するというのである。

 それによると自動ブレーキ搭載義務化の時期は国産新型車が2021年11月、輸入の新型車が2024年6月からとなる。

 自動衝突被害軽減ブレーキの搭載義務化においては、搭載する衝突軽減ブレーキの性能として、時速40km/h(軽トラックは30km/h)で走行中に、停止している先行車との衝突を回避する。また、60km/h(軽トラックは50km/h)で走行中に、20km/hで走行する先行車との衝突を回避する。30km/h(軽トラックは20km/h)で走行中に、対向車線側から横断する子供の歩行者(歩行速度5km/hのダミー)との衝突を回避するという内容だ。

 なお、衝突被害軽減ブレーキの性能試験は、すでに国交省と自動車事故対策機構(NASVA)が運営する「自動車アセスメント(JNCAP)」の自動車ボディの衝突安全試験などとともに、予防安全性能評価試験の一環として行なわれている

 JNCAPの試験では、昼間の車両や歩行者を対象にしたものに加えて、2018年度には夜間の歩行者を対象にする試験が追加された。JNCAPの試験は義務化されていないが、その試験条件は今回国交省が公表した認定条件よりも厳しい。

 また、すでに販売してユーザーが使用している車両への対策として、アクセルとブレーキの踏み間違いによる急発進を抑制する後付け装置の性能認定制度も創設し、2020年4月から申請を受け付ける。

 同時に、新たな先進安全技術の開発促進のため、自動速度制御装置(ISA:Intelligent Speed Assistance)に関する技術的要件等のガイドラインを策定した。(編集担当:吉田恒)