日経平均、史上初の7万2000円台へ なぜ市場は中東リスクを恐れなかったのか

2026年06月22日 16:00

0205_020

史上初の7万2000円台に到達した日経平均株価。中東情勢の緊迫化が続く中でも市場はパニックに陥らず、161円台後半の円安がもたらす企業業績への期待を優先した。投資家が織り込んだのは危機ではなく、円安と収益改善という現実だった。

今回のニュースのポイント

週明け22日の東京株式市場で日経平均株価は、前営業日比1,103円90銭高の72,353円96銭と、終値ベースで史上初めて7万2000円台の大台に到達して取引を終えました。外国為替市場で1ドル=161円台後半まで円安・ドル高が進行する一方、週末にはホルムズ海峡の緊張やレバノン情勢を巡る地政学リスク報道が相次ぎ、警戒感がくすぶる中でのスタートとなりました。それにもかかわらず、市場が大幅高を選択した背景には、投資家が地政学的な緊迫化そのものよりも足元の円安に伴う国内の企業業績を冷徹に優先した情勢判断があります。

本文
 22日の東京株式市場で日経平均株価は、前営業日比1,103円90銭高の72,353円96銭と急騰し、終値ベースで史上初めて7万2000円台の水準へ到達しました。取引時間中には一時72,600円台まで上値を伸ばす局面もあり、外国為替市場で1ドル=161円68銭近辺という大幅な円安基調が維持される中で、前場からの強い買い優勢の地合いを大引けまで維持しました。先週、7万円台へ乗せて以降、利益確定の売り圧力を難なく吸収しながら高値圏を維持し続けた今回の相場は、現在の投資家が何を重視し、何を織り込み始めているのかという市場の本音を如実に映し出しています。

 今回の急騰劇における最大の焦点は、週末に相次いだ中東情勢の緊迫化報道にもかかわらず、東京市場が警戒感をこなしながら上昇した点にあります。週末から週明けにかけての国際報道では、イラン革命防衛隊によるホルムズ海峡の再封鎖表明や米イラン協議の不透明感、さらにはレバノン情勢の悪化懸念など、投資家心理を冷え込ませる材料が並びました。通常であれば原油価格の高騰からインフレが再燃し、世界的な景気減速を背景に株安を誘発しやすい局面です。しかし、ふたを開けてみれば東京市場にパニック的な売りは広がらず、むしろ力強い押し目買いが相場を押し上げる結果となりました。

 市場がこれほど地政学リスクに対して冷静に対処できたのは、投資家が報道の文言ではなく経済的な実態を見極める段階に移行しているためです。現時点でペルシャ湾からの実際の原油供給停止は確認されておらず、主要国政府も直ちに有事を想定した危機対応モードには入っていません。また、国際物流の要衝であるホルムズ海峡の完全封鎖の実現性については市場でも慎重な見方が根強く、水面下での外交交渉継続観測も残されています。つまり市場は、最悪のシナリオである全面的な経済危機の発生ではなく、現段階では限定的な緊張状態の継続という範囲内にリスクを留めて織り込んでいるとみられます。

 こうした冷静なリスク評価の裏で、相場の主役となったのが1ドル=161円台後半で推移する為替相場です。投資家は中東情勢の不透明感よりも、円安がもたらす国内主力輸出企業の収益押し上げ効果や、海外の機関投資家から見た円建て資産の割安感を極めて強く評価しています。地政学的な不安要因を抱えながらも、それを補って余りある円安メリットによる企業業績へのプラス効果が優先され、市場心理は依然として強固なリスクオンの姿勢を保っています。中東の地政学リスクを横目にしながらも、買い需要の手を緩めなかった事実こそが、今回の株高の強さを物語っています。

 市場のテーマは先週までの7万円の大台を超えられるかという局面から、早くも7万2000円台を維持・定着できるかという新たなステージへと変化しています。重要なのは単なる上昇幅ではなく、これほどの大高値圏にありながらも、次々と持ち込まれる利益確定売りを厚い買い需要がことごとく吸収し続けているという、需給の頑健さです。今回の上昇は、突発的な好材料が生まれた結果というよりも、市場が中東情勢の最悪シナリオを現時点では採用せず、円安や企業業績への期待を優先した需給の厚みによってもたらされたと言えます。

 日経平均株価は史上初の7万2000円台へ到達しましたが、市場の関心はもはや大台突破そのもののイベント性にはありません。本当に試されているのは、この未踏の価格帯においてどれだけ安定した買い需要が維持されるかという需給の底力です。今後は中東情勢や原油価格、ホルムズ海峡の通航状況を注視しつつも、日本株市場が7万円台という水準を過熱ではなく新たな基準価格として定着させられるかが、次なる最大の見どころとなりそうです。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)