JALなど3社が沖縄県久米島で実証を計画する海水中CO2直接回収(DOC)設備のイメージ。コンテナ型設備を設置し、海水からCO2を分離・回収する国内初の実証を目指す。(画像:JALニュースリリースより)
今回のニュースのポイント
日立製作所、商船三井、日本航空(JAL)の3社は、沖縄県久米島で海水中から二酸化炭素(CO2)を直接回収する「Direct Ocean Capture(DOC)」技術の国内初となる実証に向け、覚書(MOU)を締結しました。海洋を活用したCO2除去技術の実用化を目指す取り組みで、将来的には回収したCO2を合成航空燃料(e-SAF)などの合成燃料の原料として活用する構想も視野に入れています。
本文
日立製作所、商船三井、日本航空(JAL)の3社は4日、沖縄県久米島において、海水中からCO2を直接分離・回収する技術「Direct Ocean Capture(DOC)」の国内初となる実証試験を実施するため、覚書(MOU)を締結したと発表しました。本実証では、久米島の陸上にコンテナ型の実証設備を設置し、実海域から海水を取水してCO2を分離・回収する仕組みを採用します。国内沿岸における運用上の課題や環境影響に関する基礎データを取得し、実用化に向けた知見を蓄積します。久米島は海洋温度差発電(OTEC)をはじめとする海洋関連の実証実験や研究の知見・人材が集積しており、DOC技術の実証を行う拠点として最適な環境が整っています。
DOCは、海水中に溶け込んでいるCO2を直接かつ安定的に分離・回収する手法です。海洋は大気中のCO2濃度とバランス(つり合い)を取るように炭素を取り込む性質を持っています。人工的に海水からCO2を抽出して除去するとそのつり合いが崩れ、海が不足分を補おうとして再び大気中からCO2を吸収する現象を引き起こします。海水中におけるCO2濃度は大気中の約100〜150倍と非常に高く、大気から直接回収する「DAC(Direct Air Capture)」と比較して、低コスト・低エネルギー消費化が期待される技術として注目されています。
今回の取り組みでは、米国のDOC技術開発企業であるCaptura(キャプチュラ)社に出資する日本企業3社が結集し、それぞれの強みを生かして役割を分担します。
・日立製作所:高精度計測技術を用いた水質やCO2量のモニタリングに加え、フィジカルAIによる高効率な運転制御の実現、信頼性の高いカーボンクレジット創出に向けたMRV(測定・報告・検証)データ基盤の構築を担当します。
・商船三井:久米島町との包括連携協定を通じて培った地域での基盤を活かし、地元関係者との協力体制の構築や実証環境の整備を担うとともに、地域における新たな事業創出を目指します。
・日本航空(JAL):グループ会社である日本トランスオーシャン航空(JTA)や琉球エアーコミューター(RAC)と連携し、業界内外への認知拡大に向けた情報発信を主導するほか、将来的なe-SAFの調達可能性を見据えて有用性を検討します。
3社は今回の実証を、単なる技術検証にとどまらず、回収したCO2を合成航空燃料(e-SAF)などの合成燃料の原料として活用することや、カーボンクレジット創出、ならびに海洋を起点とした新たな価値創出(ブルーエコノミー)へとつなげる第一歩と位置付けています。将来的には、島嶼型・国内自給型のカーボン経済圏の構築を目指しています。
今回の発表は、日本国内でDOC技術の実用化に向けた第一歩となる取り組みです。海運や航空といった電化による脱炭素化が難しい「削減困難(ハード・トゥー・アベート)セクター」では、自社の排出削減努力に加え、排出量を相殺・除去する手段の確保が課題となっています。四方を海に囲まれた日本において、DOC技術を国内で確立することは、将来的なカーボンクレジットの海外調達コストを抑制し、国内自給型のエネルギー・環境基盤を築く上で重要な取り組みとして注目されます。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)













