日本は何で稼いだ? 上半期の経常黒字17.4兆円、貿易黒字転換も海外投資収益が支える

2026年08月10日 12:27

画・輸出減少続く。半導体製造装置のアジア向け4割の減少。自動車関連も2桁減少。

コンテナを積載して航行する貨物船(イメージ)。2026年上半期の貿易収支は7,421億円の黒字に転換した。一方、経常黒字を大きく支えた第一次所得収支は20兆4,914億円の黒字となった。

今回のニュースのポイント

財務省が10日発表した2026年上半期(1〜6月)の国際収支状況(速報)によると、経常収支は17兆4,292億円の黒字となり、前年同期から黒字幅が3兆1,985億円(約22.5%)拡大しました。輸出の伸びが輸入を上回り貿易収支が7,421億円の黒字へ転換したことが押し上げ要因となった一方、経常黒字を大きく支えたのは20兆4,914億円の黒字となった第一次所得収支です。6月単月では923億円の経常赤字に転落したものの、半年間で見ると「海外投資からの所得」が日本の経常黒字を大きく下支えする構造が示されました。

本文
 2026年上半期、日本は海外との取引において何から収益を得ていたのでしょうか。財務省が10日に発表した2026年上半期(1〜6月)の国際収支状況(速報)によると、モノやサービス、投資の取引を示す経常収支は17兆4,292億円の黒字となりました。前年同期(14兆2,307億円の黒字)と比べて黒字幅は3兆1,985億円拡大(約22.5%増)しています。

 同日発表された6月単月の経常収支が923億円の赤字へ転落したのに対し、半年間の累計で見ると17兆円を超える大幅な黒字を維持した形となります。この半年間の収支構造を紐解くと、日本の対外取引における足元の変化と主力の存在が浮かび上がります。

 前年同期からの改善で大きく寄与したのは貿易収支です。貿易収支は7,421億円の黒字となり、前年同期の1兆4,636億円の赤字から2兆2,057億円改善して黒字へ転換しました。輸出額が59兆1,929億円と前年同期比12.8%増えたのに対し、輸入額は58兆4,508億円と同8.4%増にとどまり、輸出の伸びが輸入の増勢を上回りました。参考となる通関ベースで見ると、半導体等電子部品(前年同期比41.1%増)や自動車(同7.1%増)などの輸出が好調で、対アジアや西欧向けの出荷が伸びを牽引しました。

 しかし、貿易収支の黒字が約0.7兆円だったのに対し、第一次所得収支の黒字は約20.5兆円(20兆4,914億円、前年同期比704億円増)に上り、日本の経常黒字を大きく支えました。第一次所得収支には、海外への直接投資や証券投資から得る配当や利子などの受け払いが含まれます。今回の上半期の数字を見ると、日本の経常黒字は「作って売る」貿易だけでなく、海外への投資から生じる所得によって大きく支えられていることが分かります。

 一方で、足元では課題も存在します。サービス収支は1兆8,223億円の赤字となり、前年同期(1兆5,785億円の赤字)から赤字幅が2,438億円拡大しました。財務省は「旅行収支」の黒字幅縮小などを要因として挙げています。なお、上半期の訪日外国人旅行者数は2,108万4,800人と前年同期比2.0%減でした。また、上半期のドル円相場は期中平均で1ドル=158.24円と、前年同期から6.5%の円安でした。円安は一般に海外所得の円換算額を押し上げる一方、輸入価格を押し上げる方向にも作用するため、経常収支への影響を一方向だけで捉えることはできません。

 6月単月で経常収支が赤字へ振れたのは、輸入額の増加(24.3%増)や第一次所得収支の黒字幅縮小などが重なったためです。月次では資源価格や為替、投資収益の動向などによって収支が大きく変動する局面があるものの、上半期全体で見れば海外からの所得収支と貿易黒字が下支えする構造となっています。

 なお、17兆円を超える経常黒字は、必ずしもそのまま「国内景気の好調」を意味するわけではありません。経常黒字を大きく支える第一次所得収支は、海外への投資などから生じる所得の受け払いであり、それが即座に国内の賃金や消費の増加へ結びつくとは限らないためです。

 2026年上半期の国際収支は、輸出の増加と海外投資から生まれる所得が日本の経常黒字を支える姿を示しました。今後は貿易収支の黒字が維持されるかに加え、資源価格や為替の動向、そして経常黒字を大きく支える第一次所得収支がどう推移するかが、日本の対外的な「稼ぐ力」を見るポイントとなりそうです。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)