ワコールHD、売上8.8%増も事業利益34%減 国内赤字、海外は23%増収

2026年08月10日 17:12

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ワコールホールディングスが10日発表した2027年3月期第1四半期(4〜6月)連結決算(IFRS)は、売上収益が前年同期比8.8%増の489億5百万円、本業の儲けを示す事業利益が34.3%減の15億78百万円となりました。前年同期に計上した固定資産売却益の反動により営業利益は90.8%減(18億12百万円)、親会社所有者帰属四半期利益は88.7%減(15億53百万円)となりましたが、実質的な焦点は国内事業の赤字転落と海外事業の伸長にあります。通期業績予想は従来数値を据え置きました。

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 ワコールホールディングスが10日に発表した2027年3月期第1四半期(2026年4〜6月)の連結決算(IFRS)は、売上収益が前年同期比8.8%増の489億5百万円、事業利益(売上収益から売上原価および販管費を控除した利益)が同34.3%減の15億78百万円となりました。営業利益は同90.8%減の18億12百万円、親会社の所有者に帰属する四半期利益は同88.7%減の15億53百万円となりました。

 営業利益や純利益が9割近く急縮小した最大の要因は、前年同期に新京都ビルなどの固定資産売却益167億62百万円をその他の収益に計上していた特殊要因の反動です。そのため、表面上の純利益減速をもって直ちに「本業の急速な悪化」と判断するのは適切ではありません。一方で、一時損益の影響を受けない「事業利益」も3割超減益(34.3%減)となっており、販売費及び一般管理費の増加(前年同期比13.4%増の270億35百万円)や米国での先行投資などが本業の収益を圧迫しています。

 今回の決算で鮮明となったのは、国内事業の赤字転落と海外事業の伸長です。主力の国内ワコール事業は、売上収益が前年同期比2.0%減の218億17百万円にとどまり、事業損益は2億75百万円の赤字(前年同期は6億4百万円の黒字)へ転落しました。ECチャネルこそ伸長したものの、実店舗において量販店得意先の販促施策縮小や低気温・悪天候による客数減少が響き、「WACOAL」「Wing」「AMPHI」などの主要ブランドが苦戦。前年同期にあったフレックス定年制度廃止に伴う人件費戻し入れの反動も減益要因となりました。

 これに対して海外ワコール事業は拡大を続けています。海外の売上収益は前年同期比23.3%増の227億35百万円、事業利益は同10.1%増の17億85百万円を計上。第1四半期時点の売上規模では、海外事業(227億円)が国内事業(218億円)を上回りました。米国では2026年4月に買収したGlamorise Foundations社(プラスサイズ・D2C領域)の連結化やEC販売の強化が寄与し増収を達成。欧州(ワコールヨーロッパ)も前年の自社倉庫火災影響からの反動増などで事業利益が49.8%増と大幅に伸びました。

 同社は2026年4月に米Glamorise社を買収するなど、海外でのD2C基盤拡充や大きいサイズ領域の強化へ投資を傾斜させています。米国ワコール事業の売上収益は前年同期比34.3%増の89億円へ拡大した一方、ブランド認知拡大に向けた先行投資が嵩んだことで事業利益は12.2%減となっており、成長のための投資局面にあることを示しています。

 2027年3月期の通期連結業績予想については、売上収益1,876億円(前期比9.4%増)、事業利益5億円、営業利益15億円(同92.5%減)、税引前利益26億円(同86.8%減)、親会社所有者帰属当期利益18億円(同86.3%減)とする従来予想(5月14日公表)を据え置きました。第1四半期時点で営業利益(18億12百万円)や事業利益(15億78百万円)がすでに通期計画の金額を上回っていますが、会社側は現時点で予想の修正を行っていません。年間配当予想も1株当たり100円(中間50円、期末50円)を維持しています。

 今回のワコールHDの決算は、固定資産売却益の反動による大幅減益という表面上の数字以上に、国内市場の苦戦と海外市場の拡大という構造変化が明確に表れた内容となりました。海外事業の売上高が国内を上回るなか、赤字へ転落した国内ワコール事業の再構築を進めるとともに、米買収子会社をはじめとする海外投資を持続的な利益成長へ結びつけられるかが今後の焦点となります。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)