困窮していても窓口に来ない人をどう支援? アウトリーチは新規相談の0.8%

2026年08月28日 10:15

今回のニュースのポイント

総務省は27日、「生活困窮者の自立支援対策に関する行政評価・監視」の勧告に対する2回目のフォローアップ結果を公表しました。失業や病気などで生活に困窮しながらも自ら行政窓口を訪れない人に対し、行政側から支援を働き掛ける「アウトリーチ」の推進が課題となっています。2024年度の新規相談受付件数(30万2828件)のうち、自立相談支援機関がアウトリーチした件数は2314件(0.8%)にとどまり、2022年度以降3年連続で0.8%と横ばい傾向が続いています。

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 総務省は27日、2022年4月に厚生労働省へ行った「生活困窮者の自立支援対策に関する行政評価・監視」の勧告について、その後の改善状況(2回目のフォローアップ結果)を公表しました。生活に困窮していても自ら支援窓口を訪れない人々に対し、行政側から積極的にアプローチする「アウトリーチ」の難しさと課題が改めて浮き彫りとなっています。

 生活困窮者自立支援制度では、福祉や就労、教育、税務、住宅などの関係部署が困窮者を把握した際、支援制度の利用を勧めるよう努めることとされています。総務省が当初調査した50自治体では、生活保護に至らなかった人や、税金、公営住宅の家賃、水道料金などを複数月滞納している人、給食費を払えず滞納している人などを関係部署が把握し、制度利用を勧奨していました。しかし、把握した情報を制度主管部署と広く共有し、積極的なアウトリーチを行っていたのは50自治体中7自治体にとどまっていました。

 背景には、現場ならではの葛藤や課題があります。本人の同意を得ずに共有された情報をもとに接触した場合、「どこで情報を仕入れたのか」「なぜ自分のことを知っているのか」と不信感を抱かれ、関係がこじれてしまう懸念が出されていました。また、本人に支援を受ける意思がなければ支援につながりにくいという指摘もあります。一方で工夫事例もあり、水道料金の滞納者に対して自立相談支援機関が直接接触するのではなく、情報を把握している水道関係部署から働き掛けを行って支援につなげたケースなどが報告されています。

 本人同意がない場合でも関係機関で情報共有できる仕組みとして「支援会議」があります。2024年4月の法改正で福祉事務所設置自治体による状況把握が努力義務化され、2025年4月からは支援会議の設置も努力義務化されました。支援会議を設置済みまたは設置予定の自治体は、2021年度の384自治体から2024年度には434自治体へと増加し、会議の平均実施回数も19.6回から21.4回へ増えています。

 一方、アウトリーチした新規相談受付件数の割合は横ばい傾向となっています。2024年度の新規相談受付件数は30万2828件でしたが、このうち自立相談支援機関がアウトリーチした新規相談受付件数は2314件、率にして0.8%でした。割合は2021年度の0.5%から上昇したものの、2022年度(0.8%)、2023年度(0.8%)に続き、3年連続で0.8%と横ばいで推移しています。厚生労働省は2025年4月に支援会議の設置・運営ガイドラインを改正しており、引き続き自治体へ積極的な働き掛けを促す方針です。

 生活困窮者自立支援制度は2015年4月にスタートし、2024年4月時点で全国907の福祉事務所設置自治体に1381カ所の自立相談支援機関が設置されています。自ら窓口を訪れる人への支援にとどまらず、支援を必要としながらつながっていない人をいかに把握し、信頼関係を保ちながら適切な支援へつなげていくか。支援会議の設置などの環境整備が進む一方で、アウトリーチした件数の割合が新規相談受付件数の0.8%となっている現状が示されています。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)