宇宙から京都を46cm分解能で観測 QPS研究所、SAR衛星13号機の初画像公開

2026年09月02日 11:40

京都御苑

QPS-SAR13号機「ミクラ-I」が捉えた京都御苑周辺のSAR画像。2026年8月29日に高精細モードで観測し、アジマス分解能46cmのデータを取得した(画像:QPS研究所リリースより)

今回のニュースのポイント

QPS研究所は9月1日、小型SAR衛星QPS-SAR13号機「ミクラ-I」が撮影した初画像(ファーストライト)を公開しました。同機は2026年8月6日に打ち上げられ、機器の調整を経て同月28日から観測を開始しました。公開された画像には日本の京都、オーストラリアのパース、トルコのカッパドキアが含まれ、高精細モードにおいてアジマス分解能46cmの観測データが得られています。同社は複数機によるコンステレーション構築を進めており、2028年5月末までに24機体制の実現を目指しています。

本文
 宇宙からの地球観測データを産業活用する動きが進むなか、日本の宇宙スタートアップによる観測網の拡大が具体的な成果を示しています。小型SAR(合成開口レーダー)衛星の開発・運用を手掛け、衛星データ事業を展開するQPS研究所は、軌道上に投入した最新機による初画像を公表しました。

 初画像が公開されたのは、2026年8月6日に打ち上げられた同社の小型SAR衛星13号機「ミクラ-I」です。打ち上げ後に衛星機器の調整を進め、8月28日から観測を開始しました。今回公開されたファーストライトには、オーストラリアのパース、日本の京都、トルコのカッパドキアの3地域が含まれています。高精細モードでの撮影においてアジマス分解能46cmの観測データが得られ、地表の状態が電波観測データとして取得されました。

 衛星に搭載されている「SAR」は、地表に向けて電波を照射し、反射して戻ってきた電波を解析して画像を生成する技術です。太陽光を利用して撮影する一般的な光学衛星とは異なり、昼夜を問わず観測でき、雲などの影響を受けにくいことが特徴です。この特性から、災害発生時の状況把握やインフラ管理など、時間や天候に左右されない観測手法として利用が期待されています。

 今回の13号機による初画像公開は、単一の衛星による技術的成果にとどまらない意味を持っています。QPS研究所が推進しているのは、特定の超高性能衛星1機に依存するモデルではなく、多数の小型SAR衛星を軌道上に配置して連携させる「衛星コンステレーション」の構築です。

 衛星は地球の周回軌道上を移動し続けるため、1機のみでは特定の地域を連続して観測することはできません。しかし、同じ仕様の小型衛星を多数配置して観測網を形成すれば、同一地点の上空を衛星が通過する頻度が高まります。同社は2028年5月末までに24機のコンステレーションを完成させる計画を掲げており、さらにその先には36機を大幅に超える規模での観測網構築を目標としています。

 このコンステレーション拡大を通じ同社が目指しているのが、「平均10分間隔」という準リアルタイムでの観測データ提供です。これは13号機単体が10分ごとに撮影を行うという意味ではなく、多数の衛星を組み合わせて観測機会を増やし、より高頻度な観測データの提供を目指すものです。

 QPS研究所が目指しているのは、衛星を打ち上げること自体ではなく、複数の衛星から取得する観測データを高い頻度で提供できる体制の構築です。衛星数の拡大によって観測機会を増やし、SARデータを継続的に提供できるサービス基盤を形成できるかが、今後の事業展開を左右することになります。

 13号機「ミクラ-I」の観測開始により、同社のコンステレーション構築に向けた実績が一つ積み上がりました。一回の撮影におけるアジマス分解能の高さに加え、複数機体制による観測頻度の高さをどこまで事業価値として確立できるかが、今後の宇宙データビジネスにおける焦点となります。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)