今回のニュースのポイント
日立製作所は9月2日、宇宙からインフラ・災害を3次元監視する「構造化電波」について、衛星搭載に向けた原理検証に成功したと発表しました。円形アレイアンテナとオフセットパラボラアンテナを組み合わせた構成により、電波の波面構造を維持しながらビーム発散角を従来の29度から6度へと低減し、高い指向性で放射できることを確認しました。広域かつ高精度な観測網の実現を通じて、災害監視やインフラ管理における「事後対応」から「予防・予知保全」への転換を目指します。
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株式会社日立製作所は2026年9月2日、宇宙からの地球観測精度を高める独自技術「構造化電波」について、衛星搭載を想定したアンテナ構成による原理検証に成功したと発表しました。
開発の背景には、気候変動に伴う自然災害の激甚化や、道路・鉄道・送電網といった広域社会インフラの老朽化が進んでいるという社会課題があります。これまでインフラの状態把握や災害対応は、事象が発生した後の被害状況確認や復旧が中心となっていました。地上での現地点検やセンサー計測は設備詳細の把握に有効である一方、広範囲を継続的に監視するには時間や人手がかかるため、地上計測と宇宙からの広域観測を組み合わせた新たな監視アプローチが求められていました。
同社が研究開発を進める「構造化電波」は、偏波や位相、周波数などのパラメータを制御して生成する観測用電波です。2025年8月には音波を用いた原理検証により、物体の形状や動きといった特徴を取得できる可能性を示していました。今回はその成果をさらに進め、宇宙からの高さ方向を含む高精度な3次元観測へ応用することを目指しました。
構造化電波を宇宙から地上観測へ利用する際、地上まで十分な強度で電波を届ける必要がありますが、従来の円形アレイアンテナのみを用いた方式では電波が拡散しやすく、強度の維持が難しい点が課題でした。
そこで日立は、円形アレイアンテナで発生させた構造化電波をオフセットパラボラアンテナで反射させる宇宙用アンテナ構成を開発しました。2.4GHzの周波数を用いた電磁界シミュレーションにおいて、ビーム発散角を従来の29度から6度へ大幅に抑制できることを確認。さらに電波暗室内での実験でも約6度となる同様の結果を得ており、波面構造を維持したまま高い指向性で電波を放射できることを確認しました。これにより、衛星搭載を想定したアンテナ構成の妥当性を確認し、宇宙から地上を観測する際に必要な強度の確保に向けた見通しを得たとしています。
日立は同技術により、大気情報と地表物体の3次元分布を同時に把握し、全天候・24時間の広域観測によって小さな変化を早期に捉え、災害監視やインフラ管理における「事後対応」から「予防・予知保全」への転換を支援することを目指しています。
今後は屋外での構造化電波送受信技術の実証を進め、パートナー企業や研究機関との連携を通じた社会実装を目指します。また、同社の経営計画「Inspire 2027」で掲げる宇宙ビッグデータの利活用に向け、宇宙ビッグデータと社会インフラ・産業データ、AI解析技術を組み合わせたLumadaソリューションの具体化を進めます。なお本成果の一部は、2026年9月3日から4日に開催される同社の展示会「Hitachi Social Innovation Forum 2026 JAPAN」で紹介される予定です。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)













