4分の1の市区町村で技術職員「ゼロ」 老朽インフラ、「維持」から戦略的管理へ 優先順位や集約・撤去を提言

2026年09月04日 07:31

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国土交通省。老朽化するインフラと自治体の人員・財政制約を踏まえ、審議会小委員会は、優先順位付けや集約・再編、新技術活用などを盛り込んだインフラマネジメントの中 間とりまとめを公表した

今回のニュースのポイント

国土交通省の社会資本整備審議会・交通政策審議会インフラマネジメント戦略小委員会は、2026年9月3日、「今後のインフラのマネジメントのあり方について 中間とりまとめ」を公表し、パブリックコメント(意見募集)を開始しました。全国の約4分の1の市区町村で土木系を含む技術系職員が皆無となるなど、自治体側の人員・財政の制約が深刻化するなか、従来の「インフラメンテナンス」から、リスクに応じた優先順位付けや計画的な集約・再編・撤去を踏まえた「インフラマネジメント」へ戦略的に転換する方針が打ち出されました。

本文
 国土交通省の審議会小委員会は2026年9月3日、老朽化が進む社会インフラの管理方針に関する「中間とりまとめ」を策定し、同日から9月16日までの日程でパブリックコメント(意見募集)を開始しました。

 我が国のインフラは高度経済成長期以降に集中的に整備され、建設後50年以上を経過する施設が今後加速度的に増加します。一方、管理の多くを担う市区町村では、土木費が1993年度の約11.5兆円をピークに、近年は約6.5兆円程度(ピーク時の約6割)へ減少しています。さらに組織面でも、全国の約4分の1の市区町村で土木系を含む技術系職員が皆無(ゼロ)、約5割の市区町村で5人以下にとどまるなど、現場では基礎的な点検すら疲弊し、必要な手入れが十分に行き届かない厳しい状況が続いています。

 こうしたなか、2025年1月28日に埼玉県八潮市で下水道管路の破損に起因する大規模な道路陥没事故が発生しました。国交省は2013年を「社会資本メンテナンス元年」と定めて点検・予防保全を進めてきましたが、中間とりまとめは八潮市の事故を受け、これまでのメンテナンスの取り組みだけでは「まだ不十分」であったとの強い問題意識を示しました。

 これまでの維持管理体制は「劣化進行が緩やかな時代」を前提としていましたが、インフラの管理需要が増大する一方で、それを支える人的・財政的資源が相対的に縮小する構造課題に対応するため、中間とりまとめは、限られた人員や予算の中で、「重点化」と「軽量化」のメリハリを付けたマネジメントへの転換を提言しています。

 具体的には、事故リスクや社会的影響を踏まえて点検・対策の優先度を設定したうえで、人口減少が進む地域では将来像に合わせて修繕・更新の順位を決め、必要に応じて計画的な集約・再編を進め、施設の集約・撤去を行うことなどを提言しました。自治体調査では、こうしたメリハリのある管理を実施していない機関・部署が約7割に上り、優先付けの難しさや地域・議会の反対懸念が課題として挙げられています。

 管理の効率化に向けては、AI、ロボット、ドローン、人工衛星、各種センサーなどの新技術の積極活用を提示しました。また、1つの自治体や単一分野で抱え込まず、複数自治体・複数分野のインフラを一体的に捉えて管理する「地域インフラ群再生戦略マネジメント(群マネ)」や、包括的民間委託など官民連携の推進も明記されています。

 さらに、インフラの危機を社会全体の課題とするため「見える化」の徹底を主張しています。劣化状況や点検結果にとどまらず、人口分布、災害リスク、さらには老朽化対策に必要な費用や更新需要といった「財政の見える化」を公表・発信し、施設の集約・撤去を行う際には丁寧な対話を通じた住民との合意形成が不可欠であるとしています。

 今回の中間とりまとめは、インフラ管理の基本的な方向性と国交省等が重点的に講ずべき施策を示したものです。国交省は9月16日午後3時まで意見を募集し、寄せられた意見を今後の議論の参考にするとしています。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)