最低賃金、全国平均1177円へ 56円上昇を月収に換算、地域では最大65円増

2026年09月07日 11:29

画像・ビジネス用語 外来語の支持率意外に低く

2026年度の地域別最低賃金は全国加重平均で1177円となる答申がまとまった。都道府県別では東京1280円から宮崎1085円まで195円の開きがある(画像はイメージ)

今回のニュースのポイント

厚生労働省がまとめた2026年度の地域別最低賃金の答申状況によると、全国加重平均は改定前の時給1121円から56円引き上げられ、1177円となる見通しとなりました。引上げ率は約5.0%です。この56円の引き上げを労働時間に当てはめて単純算定すると、月80時間勤務で月4480円(年間約5万4000円)、月120時間で月6720円(年間約8万1000円)、月160時間で月8960円(年間約10万8000円)の額面差となります。ただし、56円は全国加重平均であり、個人の時給が一律で56円上がるわけではありません。都道府県ごとの実際の改定額は54円から65円まで幅があり、改定後の水準や発効時期にも明確な地域差が存在します。

本文
 厚生労働省の「令和8年度 地域別最低賃金 答申状況」によると、2026年度の地域別最低賃金の全国加重平均は、改定前の1121円から56円引き上げられ、時給1177円となる答申が出揃いました。前年度からの引き上げ幅は56円となり、引き上げ率は約5.0%に達します。

 この全国加重平均の引き上げ額「56円」を、日々の働く時間に当てはめて機械的に試算すると収入の変化が見えてきます。時給が最低賃金と同額で働いていると仮定し、税金や社会保険料などの控除を考慮しない額面金額で試算した場合、週20時間・月80時間勤務のパートタイムであれば月額4480円(年額5万3760円)の相当額となります。月120時間勤務では月額6720円(年額8万640円)、フルタイムに近い月160時間勤務では月額8960円(年額10万7520円)の額面差となる計算です。

 ただし、注意が必要なのは、この試算は全国加重平均の引き上げ幅を当てはめた機械的な計算に過ぎない点です。今回の改定前にすでに1177円以上などの時給で働いている人の給与が自動的に56円引き上げられることを意味するものではなく、実際の引き上げ額も都道府県によって異なります。また、所得税や社会保険料の負担が生じる基準額との兼ね合いによって、手取り額の変化は個人の条件で変動します。

 今回の答申結果を47都道府県別に見ると、最低賃金の最高水準と最低水準の差、および都道府県ごとの引き上げ額の違いが浮き彫りになります。

 答申された改定額が最も高いのは東京都の1280円で、次いで神奈川県の1279円、大阪府の1231円、埼玉県と千葉県・愛知県の1195〜1196円と続きます。一方で、最も低いのは宮崎県の1085円で、高知県と沖縄県が1086円、長崎県が1087円となっています。最高額の東京都と最低額の宮崎県との間には195円の開きがあります。

 仮に改定後の最低賃金で月160時間働いた場合の額面月収を単純比較すると、東京都(1280円×160時間)は20万4800円、宮崎県(1085円×160時間)は17万3600円となり、両者には月額3万1200円(年額37万4400円)の額面上の差が生じます。ただし、各地域によって家賃や物価水準、雇用構造が異なるため、この額面差がそのまま生活水準の優劣や購買力の差を直ちに表すものではありません。

 また、引き上げ幅そのものにも地域差が見られます。中央最低賃金審議会が7月に示した引き上げ額の目安は、Aランク(東京、神奈川、大阪、愛知など)が54円、B・Cランクが56円でした。各地方最低賃金審議会はこの目安などを参考に審議を行い、最終的な答申額を決定しました。実際の答申では、国の目安を上回る引き上げとなった地域が相次ぎました。引き上げ額が最も大きかったのは佐賀県の65円(目安比+9円)で、次いで鹿児島県の64円(同+8円)、高知県と沖縄県の63円(同+7円)、茨城県と宮崎県の62円(同+6円)となっています。これに対し、東京都や神奈川県などは目安通りの54円増となりました。

 引き上げ幅が最も大きかった佐賀県(65円増)のケースで、最低賃金近辺で月160時間働く場合を機械的に算定すると、月額1万400円(年額12万4800円)の増額相当となります。東京などの54円増(月額8640円増、年額10万3680円増)と比較すると、今回の改定においては改定後の絶対額だけでなく、引き上げ額の規模においても地域ごとに異なる結果となったことが分かります。

 さらに、改定された最低賃金が実際に適用される「発効予定日」も一律ではありません。東京都、神奈川県、大阪府、北海道などは2026年10月1日発効が予定されていますが、山梨県や愛媛県などは11月1日、長崎県は11月2日、佐賀県は11月15日、京都府は11月16日、岩手県や熊本県は12月1日、沖縄県は12月2日となっています。最も早い10月1日から最も遅い12月2日まで、発効予定日には2カ月余りの開きがあります。なお、厚労省資料の注記の通り、発効予定日は答申公示後の異議申し出の状況等によって変更となる可能性があります。

 全国加重平均1177円、56円増という一つの数字の裏側には、働く時間による実際の増額規模、地域ごとの絶対水準と引き上げ幅の差、そして適用のタイミングの違いが存在しています。今回の改定によって、改定後の最低賃金を下回る賃金で労働者を雇用することは原則として認められなくなります。この制度的変更が家計の足元をどこまで下支えできるのかについては、本資料の範囲を超え、今後の消費者物価指数や実質賃金の動向と組み合わせて別に確認していく必要があります。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)