今回のニュースのポイント
国際エネルギー機関(IEA)が11日公表した9月の石油市場報告によると、2026年の世界石油需要は前年比で日量250万バレル減少する見通しとなりました。前月予測から減少幅が日量94万バレル拡大した形です。一方、同年の世界石油供給は前年比で日量570万バレル減と需要以上の大幅な減少が予測されており、確認済み石油在庫も2月以降累計で5億700万バレル減少しました。中東やロシアでの供給障害、輸送制約、精製品市場の逼迫を背景に、原油指標価格が1バレル113ドル台へ達したほか、米国ではディーゼル・軽油価格が200ドルを突破しました。IEAは供給回復の見通しを先送りし、2027年には世界需要が日量260万バレル、供給が日量800万バレル増加すると予測しています。
本文
国際エネルギー機関(IEA)は11日に公表した9月の石油市場報告において、2026年の世界石油需要が前年比で日量250万バレル減少するとの予測を示しました。前月公表の報告と比較して、減少幅は日量94万バレル拡大しています。四半期別の前年比変化を見ると、2026年4〜6月期に日量530万バレル減を記録した後、7〜9月期は日量340万バレル減、10〜12月期は日量200万バレル減と、年後半に向けて減少ペースそのものは縮小する見通しとなっています。需要の減少は、主にアジアにおける中間留分や石油化学原料に集中しています。米イラン間の交渉停滞による供給回復時期の後ずれや、燃料価格の上昇が需要を圧迫する要因として挙げられています。
需要の減少以上に拡大しているのが供給側の制約です。IEAは2026年の世界石油供給を平均日量1億70万バレルと予測し、前年比で日量570万バレル減少すると試算しました。前月予測からも日量130万バレル下方修正されています。8月単月の世界生産も前月から日量160万バレル減少し、日量1億10万バレルにとどまりました。湾岸地域では安全保障上のリスクが高まるなか、日量1,000万バレルを超える生産が停止した状態であったと説明されています。
供給障害や輸送制約に伴い、エネルギー価格は上昇を示しています。北海原油の指標価格は8月平均の1バレル91.00ドルから、9月9日には113.48ドルまで上昇しました。ICEブレント先物も8月初めから大幅に値上がりし、危機前との比較で45%高の水準となっています。さらに、精製品市場の逼迫から、世界需要の約30%を占めるディーゼル・軽油価格が大きく上昇しています。米国では9月初めに1バレル200ドルを突破し、IEAによると危機前から94%の上昇を記録しました。
価格上昇の背景には中東およびロシアからの輸出減少が存在します。湾岸諸国からの石油輸出は8月時点で日量約1,300万バレルと推計され、危機前のほぼ半分の水準まで低下しました。特に石油製品とLPGの輸出は2月に比べて約60%(日量370万バレル)減少しています。湾岸諸国のディーゼル・軽油純輸出は8月に日量39万バレルと、危機前の4分の1強まで落ち込みました。また、ロシアにおける製油施設への影響なども重なり、湾岸諸国とロシアを合わせたディーゼル・軽油の純輸出は2月から日量160万バレル減少しています。
世界的な在庫の取り崩しも進んでいます。世界で確認されている石油在庫は8月単月で9,500万バレル減少しました。2月以降の累計減少量は5億700万バレルに達しており、1日平均に換算すると約280万バレルの在庫取り崩しが行われた計算となります。IEAは、積み上がっていた在庫がこれまでの市場の需給バランスを維持するうえで重要な役割を果たしてきたとしています。
2026年は需要が前年比日量250万バレル減る一方、供給は570万バレル減る見通しとなっています。さらに中東やロシアでの供給障害、輸送制約、在庫取り崩しが続いており、需要減だけをもって「石油余り」とは捉えられない市場環境となっています。IEAは本格的な供給回復の見通しを2027年へ先送りし、同年の世界石油需要は前年比で日量260万バレル増加、世界石油供給は日量800万バレル増加すると予測しています。今後は、在庫の減少推移や燃料価格の動向とともに、2027年に向けた供給回復シナリオの実現性が確認点となります。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)













