沖縄を象徴するシーサー。9月13日の沖縄県知事選では古謝玄太氏が初当選し、8年ぶりに県政が交代する。古謝氏は1人当たり県民所得500万円や「新5K経済」、基地返還後の跡地利用などを政策目標に掲げている。(画像はイメージ)
今回のニュースのポイント
9月13日投開票の沖縄県知事選は、新人の古謝玄太氏が42万3,124票を獲得し、現職の玉城デニー氏(27万6,060票)を14万7,064票差で破り初当選しました。8年ぶりに県政が交代します。古謝氏は1人当たり県民所得を231.5万円から500万円へ引き上げる目標や、観光収入2兆円目標、「新5K経済」の推進などを掲げています。基地政策では普天間飛行場の名護市辺野古への移設を容認し、嘉手納以南の米軍施設返還と跡地利用を進める方針を示しています。国側でも内閣府が令和9年度沖縄振興予算として2,897億円+事項要求を概算要求し、「強い沖縄経済」と基地跡地利用を推進する姿勢を示しています。
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9月13日に投開票が行われた沖縄県知事選挙は、新人で元那覇市副市長の古謝玄太氏(42)が42万3,124票を獲得し、3選を目指した現職の玉城デニー氏(27万6,060票)らを14万7,064票差で破り、初当選を果たしました。県内最大の票田である那覇市で古謝氏が8万6,336票を獲得し、玉城氏(6万161票)を2万6,175票上回るなど、市部・郡部の双方で得票を伸ばした結果、8年ぶりに県政が交代することとなりました。なお、今回の開票結果は各候補の得票状況を示すものであり、ここから直ちに勝因や県民意識の転換などを断定することはできません。
焦点となるのは、新知事に就任する古謝氏が掲げる政策目標の具現化です。古謝氏の公式政策資料によると、経済施策の柱として「ひとりあたり県民所得を500万円に増やす」とする数値目標が打ち出されています。現在値として提示されている231.5万円から2倍以上へ引き上げる構想であり、同氏はこの達成に向け、「観光、健康、環境、海洋、起業」の5分野を振興する「新5K経済」の推進を表明しています。具体的には、AI・DXの導入促進、スタートアップ支援、既存産業の高付加価値化などを組み合わせる方針です。観光分野においても、従来の観光収入1兆747億円から「2兆円」への拡大を目標に掲げ、単純な入域客数の追求にとどまらず、MICE誘致や欧米路線の拡充等による消費額向上を目指すとしています。これらは候補者が掲げた政策目標であり、将来の達成が確定した数値ではありません。
新県政が始動するタイミングにおいて、国側でも次年度の沖縄振興策が概算要求に盛り込まれています。内閣府が公表した令和9年度沖縄振興予算の概算要求額は、総額2,897億円+事項要求となっています。令和8年度の予算決定額2,647億円に対し、約250億円(約9.5%)の増額を要求する内容です。
概算要求の内訳を見ると、国側も「強い沖縄経済」の実現を掲げ、AI、量子、先端医療、研究開発などへの支援を概算要求に盛り込んでいます。新規事業として「フィジカルAI開発・実装促進事業」に11億円、「量子×AIユースケース創出事業」に1億円が要求されているほか、「沖縄先端医療技術基盤形成促進事業」に10億円(前年度予算6億円)が計上されました。また、世界最高水準の研究を目的とする「沖縄科学技術大学院大学(OIST)」関連経費として239億円(同200億円)が要求されています。先端技術や研究開発を軸とした産業振興策が示されており、古謝氏が掲げる「新5K経済」や新産業創出構想とどのような整合性を図り、実際の地域産業や雇用に反映させていくかが検証課題となります。
安全保障および基地政策においては、古謝氏は米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設を容認する立場をとる一方、嘉手納以南に位置する米軍施設の早期返還を促し、返還後の跡地利用を県経済の発展へ繋げる方針を示しています。また、政府との協議機関である「沖縄政策協議会」の早期再開も掲げています。辺野古移設に反対してきた玉城県政から、移設を容認する古謝氏へ県政が交代することで、少なくとも辺野古移設をめぐる県側の政策姿勢は変わることになります。ただし、知事の姿勢変更によって基地返還の手続きや工事の完了時期が確定するわけではありません。
基地返還後の跡地利用に関しては、国の予算面でも準備が進められています。内閣府の令和9年度概算要求では、「駐留軍用地跡地先行取得事業費」として71億円(令和8年度予算は51億円)、「駐留軍用地跡地利用推進経費」として6億円(同5億円)が要求されました。政府は「GW2050 PROJECTS」の推進を掲げ、自治体による計画的な土地取得や基本計画策定への支援を強める方針です。基地返還問題は安全保障上の議論にとどまらず、返還後の土地を地域経済にどう生かすかという課題でもあります。
ただし、知事が交代した場合であっても、沖縄県内に米軍施設が集中する現状や、基地返還をめぐる国と米国との調整事項が直ちに変わるわけではありません。普天間飛行場の返還手続き、辺野古の移設工事、嘉手納以南の施設返還スケジュール、騒音・環境対策などについては、地方自治体単独で最終決定できない要素を多く含んでいます。今後においては、政治的な対立構図の変化にとどまらず、返還面積や時期、跡地開発の進捗、基地負担軽減策の具体的成果といった客観的事実に基づいた検証が求められます。
所得500万円目標、観光収入2兆円目標、新5K経済、基地跡地利用の具体化など、新知事が掲げた構想には県民生活と地域経済に関わる要素が含まれています。国側においても、2,897億円規模の概算要求や土地先行取得支援など、振興策の枠組みが示されています。8年ぶりの県政交代に伴い、政策の優先順位や政府との協議体制が変化するなか、提示された目標や予算枠組みが実際の県民所得、雇用創出、基地負担の低減へとどのように結実していくのか、今後の具体的な施策展開とその実績が確認点となります。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)













