今回のニュースのポイント
米グローバルファウンディーズ(GF)が発表した2026年7~9月期決算は、売上高が前年同期比13%増の18億9,900万ドルとなりました。米政府への株式発行に伴う非現金費用によりIFRS最終損益は2億7,000万ドルの赤字となった一方、本業の収益性は改善しました。同社は10月に公表された日米共同による最大210億ドル規模の半導体工場2棟の技術・運営を担うほか、AI向け先端パッケージングや光通信技術の増産を進めています。
本文
米半導体受託製造大手グローバルファウンディーズ(GF)は2026年11月4日、2026年7~9月期(第3四半期)の暫定決算を発表しました。売上高は前年同期比13%増の18億9,900万米ドルとなり、前四半期比でも6%増収となりました。営業利益は前年同期比18%増の2億3,000万米ドルと本業の堅調さを示したものの、国際財務報告基準(IFRS)ベースの最終損益は2億7,000万米ドルの赤字(前年同期は2億4,900万米ドルの黒字)となりました。人工知能(AI)やデータセンター向けインフラ需要が売上成長を後押しする一方、特殊要因の計上によって最終損益が赤字化するなど、表面上の損益と本業の事業環境で対照的な動向が示されています。
収益性の詳細を見ますと、高付加価値な製品構成へのシフトなどを背景に、売上総利益は前年同期比36%増の5億7,100万米ドルに拡大しました。売上総利益率は30.1%となり、前年同期の24.8%から5.3ポイント改善しています。一方、IFRS最終損益が赤字となった主因は、2026年9月に米政府に対して普通株式990万株を発行したことに伴い、4億4,100万米ドルの非現金費用を営業外費用として計上したためです。これは現金の流出を伴わない会計上の特殊要因であり、株式報酬費用や当該非現金費用などを調整した非IFRSベースの最終利益は、前年同期比28%増の2億9,800万米ドルを確保しています。本業の収益基盤自体は着実な拡大基調を維持しています。
今回の決算発表では、同社が参画する成長戦略の進捗として、2026年10月に公表された日米共同の半導体工場構想が改めて説明されました。この構想は米ニューヨーク州マルタの拠点において新たに半導体工場2棟を整備するもので、日米両国の枠組みを通じて最大210億米ドルの資金が投じられる見通しです。このうち約100億米ドルの初期投資により、すでに建設が進む新たな300ミリメートル工場の整備を加速させ、2029年に生産能力を立ち上げる計画です。GFは本構想で製造技術の提供や工場運営を担い、プロジェクト期間を通じて管理・技術関連の報酬を受け取る方針であり、最大210億ドル全額を同社単独で投資するものではありません。日米の連携による半導体供給網の強化において重要な役割を果たします。
先端技術の生産能力拡充に向けた動きとしては、同じく10月に発表された米CHIPS法支援の再配分と台湾積体電路製造(TSMC)との大型契約が挙げられます。GFは米政府との合意に基づき、既存支援から9億5,500万米ドルを再配分し、ニューヨーク州マルタやバーモント州バーリントン拠点においてシリコンフォトニクス、SiGe、先端パッケージングの強化に充てる方針です。さらに同社は、TSMCと複数年にわたる20億米ドル規模の製造契約を締結しました。TSMCの先端パッケージング「CoWoS」向けに、マルタ拠点でシリコンインターポーザーを米国内供給する体制を整え、2028年上半期から量産を拡大する計画です。AI向け高性能計算を支える中核部材の米国内供給能力が高まります。
さらに、2026年9月に公表されたパートナー企業との協業拡大も、AIインフラ向け半導体製造の多角化を後押ししています。GFは米マーベル・テクノロジーとの複数年契約を拡大し、バーリントン拠点において次世代光トランシーバーやNPO・CPO技術に対応する高性能SiGe技術の生産能力を増強します。また、モノリシック・パワー・システムズ(MPS)との長期契約に基づき、シンガポールの300ミリメートル工場で高性能電源管理半導体を2027年初めから量産する計画です。一方、2026年7~9月期の300ミリメートル換算のウエハー出荷数量は、前年同期比7%増の64万7,000枚となりました。AIやクラウドの進展が、光通信や電源制御など多様な半導体需要を底上げしています。
今後の見通しとして、GFは2026年10~12月期の売上高を20億米ドル(プラスマイナス2,500万米ドル)、IFRS営業利益率を16.4%(プラスマイナス1.7ポイント)と予想しています。同社は7~9月期に通信インフラ・データセンター分野で前年同期比の売上高成長が過去最高となったと説明しており、今後の需要動向が注目されます。日米共同による半導体工場計画や先端パッケージングでの製造能力増強は、米国内の半導体供給能力を拡充する取り組みとして位置付けられます。ただし、最大210億ドル規模の共同構想やTSMC向け量産の立ち上げは複数年をかけたプロジェクトであり、計画通りの設備投資の進捗や需要の持続性について、今後の実行段階を慎重に注視していく必要があります。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)













