日米、AI造船ロボットを共同開発 実在造船所を仮想空間に再現し検証へ

2026年09月18日 17:32

国交省イメージ

日米はAI造船ロボットなどの共同開発を進める。計画には、実在する日米の造船所をバーチャル空間に再現し、ロボットを稼働させて生産工程シミュレーション基盤を検証する取り組みが盛り込まれている。(画像はイメージ)

今回のニュースのポイント

国土交通省は18日、日米連携によるAI造船技術の研究開発を加速すると発表しました。日本側と米国側の開発チームが連携し、AI造船ロボットと、その運用に必要となる生産工程シミュレーション基盤の開発計画を確認しました。計画には、米ミシガン大学で船体を模した大型構造物を用いたロボットの開発・検証や高精度センサーの共同開発に加え、実在する日米の造船所をバーチャル空間に再現してロボットを稼働させるシミュレーション基盤の実証が盛り込まれました。また、米国のAI・ロボット関連企業12社が本開発への参画に関心を表明し、個別協議が行われました。

本文
 国土交通省は18日、造船業の抜本的な生産性向上等を目指す取り組みの一環として、日米連携によるAI造船技術導入に向けた研究開発を加速させると発表しました。本開発は、内閣府の「研究開発とSociety5.0との橋渡しプログラム(BRIDGE)」のもと、「AIの活用による次世代造船所の実現に資する技術開発事業」として実施されているものです。2025年10月に締結された日米造船協力覚書に基づき、船舶建造における各工程(曲げ加工・溶接等)で利用可能なAI造船ロボットや、その性能を最大限に活用するための生産工程シミュレーション基盤などの開発を進め、このうちAI造船ロボット等について日米で共同開発し、早期の実装を目指します。

 今回、9月8日から11日にかけて日本側の開発チーム関係者が米国ミシガン州アナーバーを訪問し、米国側チームとの間で継続的な研究開発計画を確認しました。本プロジェクトの技術的な特徴は、個別の自動化ロボットを単体で開発するにとどまらず、造船所全体の生産工程をデジタル空間上でシミュレーションする基盤と一体で構築する点にあります。

 具体的な開発計画としては、まず米ミシガン大学内に船体を模した大型構造物を設置し、その環境を用いてロボットの開発および検証を行います。あわせて、造船ロボットの制御に必要な高精度センサーの共同開発も同大学で進められます。

 さらに、生産管理の核となる取り組みとして、実際に存在する日本と米国の造船所をバーチャル空間上に再現する手法が組み込まれています。バーチャル空間に再現した造船所内でロボットを稼働させ、生産工程シミュレーションシステムからロボットの動作シミュレーションを経て作業指示へとつなげる一連のシミュレーション基盤の実証を行う計画です。

 国交省が示している開発イメージ図には、4足歩行型のロボットに溶接アーム、制御装置、認識装置(Perception)、アクチュエーターなどを組み合わせた「4足歩行溶接ロボット」の構成案が掲載されています。これは現時点における「開発イメージ」としての提示であり、将来的な実用化や各造船所への導入が確定した段階ではありません。

 滞在中にはデトロイトおよびアナーバーにて日米の産官学関係者によるワークショップも開催されました。米国側からはミシガン大学、フレイザー造船所、ハンティントン・インガルス・インダストリーズ(HII)、パス・ロボティックス、商務省、ミシガン州などが参加し、日本側からは東京大学、大阪大学、九州大学、日本海事協会、名村造船所、川崎重工業、国交省などが参加しました。この場で米国のAI・ロボット関連スタートアップ企業等12社が日米AI造船ロボット開発への参画に関心を表明し、日本側参加者との間で今後の具体的な連携のあり方について個別協議が行われました。

 巨大な構造物を扱い、曲げや溶接など多様な工程が複雑に交錯する造船分野において、生産工程シミュレーションとAI造船ロボットを組み合わせた研究開発が進められています。実在する日米の造船所をバーチャル空間に再現し、そこでロボットを稼働させてシミュレーション基盤を検証する構想となっており、日米両国は造船協力覚書を契機として高度な建造技術開発の具体化を進めています。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)