白鶴酒造は、小規模な酒蔵で取り組む「HAKUTSURU SAKE CRAFT」の21作目で、シリーズ初となる「淡麗」の酒造りに挑戦した。坂口謹一郎が説いた「水の如き良酒」に着想を得ながら、これまでとは異なる方向性の酒質を追求した。(画像はイメージ)
今回のニュースのポイント
白鶴酒造は、白鶴酒造資料館内にある37平方メートルのマイクロブルワリー「HAKUTSURU SAKE CRAFT」で醸造した21作目の商品「No.21 純米大吟醸 淡麗辛口」を発売しました。同施設ではこれまで、若い世代や女性、インバウンド需要などを意識して濃醇甘口の酒を中心に開発を続けてきましたが、21作目にして初めて淡麗酒の醸造に挑戦しました。開発を担当した杜氏は、近年の消費者嗜好を「淡麗辛口より芳醇甘口に向いている」と捉えた上で、あえてその流れとは異なる方向を選択しました。醸造学者・坂口謹一郎氏の短歌「水の如き良酒」へのオマージュとして酒質設計を行い、酵母の選定や夏場の麹に応じた麹菌の変更などを通じて、淡麗さと酒らしさの両立を試みています。
本文
大手日本酒メーカーの白鶴酒造株式会社は、自社施設「白鶴酒造資料館」(神戸市東灘区)内に設置された小規模醸造所「HAKUTSURU SAKE CRAFT(ハクツルサケクラフト)」の新商品として、「No.21 純米大吟醸 淡麗辛口」を9月12日から294本限定で発売しました。本商品は720ミリリットル入りで価格は7,700円(税込)です。自社開発の酒米「白鶴錦」を100%使用し、仕込み総米100kg、精米歩合50%で仕込まれました。
商品が醸造された「HAKUTSURU SAKE CRAFT」は、2024年9月に本格稼働したわずか37平方メートルのマイクロブルワリーです。同施設は、洗米、浸漬、蒸米、製麹、発酵、搾り、ろ過、瓶詰めまでの酒造りの全工程を37平方メートルの空間内で完結できる専用設備を備え、杜氏と蔵人の2名を中心に小規模な醸造を行っています。同シリーズではこれまで、日本酒愛好家のみならず若い世代や女性、インバウンド層の需要に応える目的から、濃醇甘口の酒質を中心とした商品化が続けられてきました。今回の「No.21」は、過去20作の取り組みを経て、同施設として初めて淡麗酒に挑戦した商品となります。
今回のテーマの背景には、開発を担当した伴光博杜氏(62)が酒造技術者として尊敬する「酒博士」坂口謹一郎氏の存在と氏が詠んだ短歌「障りなく水の如くに咽喉を越す酒にも似たるわが歌もがな」があります。近年の消費者嗜好について、伴杜氏は「淡麗辛口より芳醇甘口に向いている」とみています。その上で、あえてその流れに逆らう形で、坂口氏が愛した「水の如き良酒」へのオマージュとして今回の酒造りに挑んだと説明しています。
醸造における主要な課題となったのが、水のようなのど越しを追求する中で生じる「淡麗さ」と、「酒らしさ」の両立です。単純に淡麗さを突き詰めれば「酒らしさ」が薄れ、逆に「酒らしさ」を残せば水の如き繊細な口当たりから遠ざかります。この課題を解決するため、商品名には「淡麗辛口」の名称が冠されているものの、極端な辛口を目指すのではなく、香りをなるべく残しつつ「中辛から中口」の酒質を目指しました。これに合わせて最適な吟醸酵母と発酵法の組み合わせを選択しています。
また、夏場の麹は冬場とは出来が異なることが分かったため、今回の仕込みでは普段使用しているものとは異なる麹菌を採用したといいます。杜氏としては「納得の出来となった。さわりなく水のようなのど越しの酒にふさわしいかは、ぜひお客様にご判断いただきたいと思います。」と語りました。
仕込み総米100kg、37平方メートルの設備の中で条件やテーマを変えながら商品化を続けるHAKUTSURU SAKE CRAFT。人気を得た酒質については、将来的な商品開発へ活かす考えも示しています。今回の淡麗酒への挑戦で得られた知見が、今後の白鶴酒造の商品開発にどのように生かされていくのかが注目されます。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)













