米ABTC、最大1億ドル分のブラックマス輸出許可 重要鉱物を供給網へ

2026年10月05日 10:06

電池リサイクルイメージ

使用済みリチウムイオン電池のリサイクルで回収されるブラックマスを表したイメージ。ブラックマスにはリチウムやニッケル、コバルトなどの重要鉱物が含まれ、精製を経て再びサプライチェーンへ戻すことができる(画像はイメージ)

今回のニュースのポイント

米電池リサイクル企業のAmerican Battery Technology Company(ABTC)は10月1日、米商務省産業安全保障局(BIS)から、同社がリサイクル生産したブラックマスの輸出販売について、所定の条件の下で最大1億ドル分を認めるライセンス承認を受けたと発表しました。連邦政府による電池材料への輸出規制が導入される中、今回の承認により、使用済み電池や製造スクラップから回収されるリチウム、ニッケル、コバルトなどの重要鉱物を国際市場へ継続的に供給できる枠組みが確保されます。ABTCはネバダ州リノ近郊で第1商業リサイクル施設を運営しており、米エネルギー省(DOE)による1億5000万ドルの競争的助成で支援される第2リサイクル施設についても取り組みを進めています。

本文
 米国の電池リサイクル企業であるAmerican Battery Technology Company(ABTC)は10月1日、米商務省産業安全保障局(BIS)から、同社がリサイクル処理によって抽出したブラックマスの輸出販売について、所定の条件の下で最大1億ドル分を認めるライセンス承認を受けたと公表しました。

 今回の公表において重要なポイントは、1億ドルという金額自体が確定した売上や投資額ではなく、「所定の条件の下で輸出販売が認められたライセンスの対象額の上限」である点です。重要鉱物や電池材料を対象とする連邦輸出規制が導入される中、今回のライセンス承認により、米国内でリサイクルされた重要鉱物資源を国際的なサプライチェーンへ継続して供給できる販売ルートが確保されたことになります。

 ブラックマスとは、使用済みリチウムイオン電池や電池製造工程で生じるスクラップ(廃材)を処理した際に回収される中間原料です。内部にはリチウム、ニッケル、コバルト、マンガン、グラファイトといった重要鉱物が含まれており、これらをさらに精製し、新たな製品の原料として重要鉱物のサプライチェーンへ戻すことができます。従来のように鉱山からの新規採掘に頼るだけでなく、使用済み製品や工場廃材を資源として回収・循環させる供給ルートの一環を構成します。

 ABTCはネバダ州リノ近郊において、自社開発技術を用いた第1商業リサイクル施設を運営しています。同施設では2023年の商業運転開始以来、使用済み電池や製造スクラップを受け入れ、銅、アルミニウム、鉄鋼、リチウムを多く含む中間品とともにブラックマスを分離・回収しています。今回の承認は、この既存施設で生産される製品の海外販売枠組みを維持・確保するものとなります。

 また、同社は事業基盤のさらなる拡大に向け、米エネルギー省(DOE)から計1億5000万ドルの競争的助成による支援を受ける第2リサイクル施設についても取り組みを進めています。

 今回の輸出ライセンス承認は、単一企業による販売枠の確保にとどまらず、使用済み電池から回収された重要鉱物が、リサイクルを経て再び世界のサプライチェーンへ戻る流通ルートが規制下においても維持されたことを意味します。既存の商業リサイクル施設の運用、輸出ライセンスの確保、そして第2施設の計画が組み合わさることで、一次資源開発とは別に、使用済み電池などを資源として再利用する重要鉱物の循環型供給網の維持・拡大が進められています。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)