電子部品5社がそろって増収増益 AI需要広がる、車載・電池も堅調

2026年08月20日 12:48

電子部品

電子部品大手5社の2027年3月期第1四半期決算。生成AI関連需要が幅広い電子部品に波及し、車載・電動化需要も業績を下支えした(画像はイメージ)

今回のニュースのポイント

電子部品大手5社の2027年3月期第1四半期(2026年4~6月)決算が出そろい、村田製作所、TDK、京セラ、ローム、GSユアサはいずれも前年同期比で増収・営業増益となりました。生成AIの普及を背景としたデータセンター投資が、積層セラミックコンデンサ(MLCC)やHDD関連部品、半導体パッケージ、パワー半導体など幅広い製品に波及。車載・電動化関連も業績を下支えしました。好調な進捗などを受け、村田製作所、京セラ、GSユアサの3社は通期業績予想を上方修正しています。

■ 電子部品5社、そろって増収・営業増益

 電子部品大手5社の2027年3月期第1四半期(2026年4〜6月)連結決算が出そろい、全社が前年同期比で増収および営業増益を達成しました。各社の業績概要は以下の通りです。

・村田製作所:売上収益 5,022億円(前年同期比20.7%増)、営業利益 985億円(同59.8%増)

・TDK:売上高 7,410億円(同38.3%増)、営業利益 863億円(同53.0%増)

・京セラ:売上高 5,253億円(同9.9%増)、営業利益 491億円(同164.7%増)

・ローム:売上高 1,357億円(同16.8%増)、営業利益 96億円(前年同期は1億9500万円)

・GSユアサ:売上高 1,417億円(同7.5%増)、営業利益 116億円(同39.3%増)

 5社のうち村田製作所、TDK、京セラ、ロームで目立つのが、生成AIの普及に伴うデータセンター関連需要です。AI関連の需要は半導体そのものにとどまらず、コンデンサやHDD関連部品、半導体パッケージなど、電子部品の幅広い分野へ波及しています。さらに、スマートフォン向け部品や車載・電動化需要、為替の円安推移なども各社の業績を底上げしました。

■ AI投資の恩恵、MLCCからHDD部品まで

 AI関連需要がどの製品領域に波及しているかをみると、電子部品各社がそれぞれ異なる経路で投資拡大の恩恵を取り込んでいる状況が分かります。

 村田製作所では、データセンター向けを中心に主力の積層セラミックコンデンサ(MLCC)が大きく伸長したほか、ノイズ対策用のEMI除去フィルタや電源モジュールの販売も増加しました。データセンター関連製品を含む「コンピュータ向け」売上高は1,028億円(前年同期比47.0%増)へ跳ね上がり、コンデンサ全体でも2,825億円(同30.0%増)と力強く伸ばしました。

 TDKでは、AIデータセンターで使われるニアラインHDD(ハードディスクドライブ)向けの磁気ヘッドやサスペンションといった「磁気応用製品」が出荷を伸ばし、同セグメントの売上高は816億円(同49.6%増)となりました。同じAIデータセンター投資であっても、村田製作所はコンデンサ、TDKはストレージ関連部品という形で需要を取り込んでいます。なお、TDKは売上高で約725億円、営業利益で約113億円の円安による押し上げ効果も計上しています。

 京セラは、AIデータセンター向けの半導体パッケージやコンデンサの販売が伸びたほか、半導体製造装置向けのファインセラミック部品も増加しました。半導体パッケージ等を含む「コアコンポーネント」の売上高が1,780億円(同22.1%増)、「電子部品」の売上高が1,036億円(同23.6%増)となり、高付加価値品の増収が大幅な利益改善をもたらしました。

 ロームでは、生成AIの普及を背景にデータセンター・AIサーバー向け製品が堅調に推移しました。LSI事業の売上高が621億円(同13.3%増)となったほか、SiCパワーデバイスのxEV向けやAIサーバー向け需要などが下支えし、半導体素子事業のセグメント損益は前年同期の62億円の赤字から9億円の赤字へと大幅に縮小しました。ただし、ロームの営業利益改善にはAI需要だけでなく、前期に実施した構造改革に伴う減損処理により、減価償却費が前年同期の131億円から88億円へと減少した影響も大きく寄与しています。

■ 車載・電動化も成長軸、GSユアサはHEV電池が黒字化

 電子部品各社の業績を支えるもう一つの重要な軸が、自動車の電動化・電装化に伴う需要です。

 一方、AI関連とは異なる成長軸が目立ったのがGSユアサです。自動車向け鉛蓄電池の価格転嫁や需要獲得が業績を引っ張りました。海外鉛蓄電池は欧州や東南アジアでの需要増や円安が追い風となり、売上高577億円(前年同期比12.3%増)、セグメント利益72億円(同88.7%増)と大幅伸長しました。国内鉛蓄電池も価格是正効果で増収増益となっています。

 さらに、ハイブリッド車(HEV)向けリチウムイオン電池の売上高が215億円(同11.0%増)へと拡大し、セグメント損益が前年同期の3,400万円の赤字から7億9,500万円の黒字へ転換しました。車載電池の収益化が進んだことが業績上振れに貢献しています。

 車載需要は他の各社にも共通しており、村田製作所でのモビリティ向け需要の拡大や、TDKの車載向け受動部品の堅調推移、ロームにおけるxEV向けSiCパワーデバイスの需要拡大など、「AI・データセンター」と「車載・電動化」の二つの需要軸が電子部品業界全体を底上げする構図となっています。

■ 3社が通期予想を上方修正、2社は据え置き

 第1四半期の好調な進捗や足元の需要動向を受け、通期業績予想への対応は分かれました。

 村田製作所は通期の連結業績予想を上方修正し、売上収益を2兆1,100億円(前期比15.2%増)、営業利益を4,300億円(同52.6%増)へ引き上げました。想定為替レートを1ドル=150円から155円へ変更したことも寄与しています。京セラもAI・半導体関連需要や円安推移を反映し、営業利益予想を従来計画から300億円増の1,600億円(前期比35.4%増)へ引き上げました。GSユアサもモビリティ事業の堅調さから、営業利益予想を600億円から630億円(前期比4.7%増)へ上方修正しています。

 一方、TDKとロームは通期業績予想を据え置きました。TDKは営業利益2,950億円(前期比8.3%増)の従来計画を維持し、下期の為替前提を1ドル=150円としています。ロームも営業利益300億円の予想を据え置き、第1四半期の進捗について「概ね想定通り」として先行きを見極める姿勢を示しています。

 生成AIを巡る投資拡大は、半導体にとどまらずMLCCやHDD関連部品、半導体パッケージ、パワー半導体など電子部品の幅広い領域へ波及しています。あわせて車載・電動化関連も各社の業績を支える重要な需要先となっています。5社がそろって増収・営業増益となるなか、村田製作所など3社は通期予想を上方修正しました。今後はAIデータセンター投資の持続性に加え、自動車市場の動向や為替相場の推移が通期目標達成に向けた焦点となりそうです。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)