住友電工、中間営業益44%増で過去最高 AI向け光通信が急拡大、通期5000億円に上方修正

2026年10月30日 15:10

今回のニュースのポイント

住友電気工業が発表した2027年3月期中間決算は、売上高が前年同期比16.5%増の2兆7,649億円、営業利益が同43.5%増の2,196億円となり、上期としての過去最高を更新しました。生成AI普及に伴うデータセンター向け光配線・光デバイスの急伸と産業素材の拡大がけん引しました。通期の営業利益予想も従来の4,500億円から5,000億円へ引き上げ、年間配当予想も44円へ増額しました。

本文
 住友電気工業が2026年10月30日に発表した2027年3月期中間決算(日本基準)は、売上高が前年同期比16.5%増の2兆7,649億12百万円、営業利益が同43.5%増の2,195億67百万円となりました。経常利益は同48.7%増の2,312億41百万円、親会社株主に帰属する中間純利益は同62.7%増の1,593億84百万円でした。売上高、営業利益、営業利益率(約7.9%)はいずれも上期としての過去最高を更新しました。生成AI需要に伴う光通信関連や産業素材の伸長が全体を押し上げ、通期の営業利益予想も5,000億円へ上方修正されました。

 中間期の利益拡大を主導したのは情報通信関連事業です。同事業の売上高は前年同期比48.8%増の2,014億59百万円、営業利益は前年同期の約221億円から約612億円(前年同期差391億62百万円増)へと約2.8倍に拡大しました。生成AI市場の拡大を背景に、データセンター向け光配線製品や光デバイスの需要が増加しました。販売増に加え、品種構成や生産性の改善、円安も利益を押し上げました。なお、情報通信事業の売上高には従来の通信インフラ製品も含まれており、全額がAI専用売上ではありません。

 一方、事業部門間では収益環境に濃淡が表れました。最大の売上規模を持つ自動車関連事業は、売上高が前年同期比17.3%増の1兆6,165億92百万円と増収だったものの、営業利益は同116億8百万円減の537億97百万円と減益でした。ワイヤーハーネス等の需要は堅調でしたが、中東情勢に伴う原材料高や銅高、海外新車の立ち上げコストが重荷となりました。対照的に産業素材関連事業他は、タングステン市況高騰に伴う需給逼迫下で超硬製品の受注が増加し、営業利益が同297億68百万円増の426億71百万円へ急拡大しました。エレクトロニクス事業もFPCが堅調で営業利益は105億88百万円増加しました。

 連結営業利益の前年同期比約665億円の増益要因をみると、数量増加がプラス570億円、為替がプラス160億円、銅・資材がプラス150億円、売値・品種構成がプラス130億円寄与しました。一方、中東影響がマイナス140億円、住友電設の連結除外がマイナス86億円、研究・償却費等がマイナス80億円の下押しとなりました。最高益の達成はAI需要だけでなく、為替や価格転嫁、産業素材の回復などが複合的に寄与した結果です。

 中間期の進捗を踏まえ、通期連結業績予想を上方修正しました。売上高は7月予想の5兆4,000億円から5兆7,500億円(前期比12.5%増、3,500億円増)へ、営業利益は4,500億円から5,000億円(同19.6%増、500億円増)へ引き上げました。親会社株主帰属当期純利益は3,700億円(同0.1%増、300億円増)を見込みます。純利益の伸びが小幅なのは、前期実績(3,695億円)に住友電設の売却益が含まれていたためです。下期の為替前提は1ドル=155円、1ユーロ=180円、銅建値はトン当たり210万円へ見直されました。

 業績修正に伴い、期末配当予想を1株20円から25円へ引き上げました。中間配当19円と合わせた年間配当予想は44円(従来39円)となります。同社は2026年7月1日付で1株を4株に分割しており、分割前基準に換算すると年間176円(前期実績154円)の実質増配です。一方、財務面では営業キャッシュフローが1,394億円と前年同期の2,519億円から減少し、棚卸資産は前期末比2,017億円増の1兆2,198億円へ膨らみました。

 住友電工の中間決算は、データセンター向け光配線を中心とする情報通信事業の急成長が全社をけん引した一方、屋台骨の自動車事業はコスト高で増収減益にとどまる構造を示しました。高成長の光通信事業の需要を取り込みつつ、自動車事業の採算改善を進められるかが、通期営業利益5,000億円の達成に向けた焦点となります。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)