今回のニュースのポイント
博報堂生活総合研究所が2026年10月30日に発表した11月の消費意欲指数は46.6点と前月比0.9ポイント上昇し、前年同月比ではほぼ横ばいでした。自由回答では「買い物の好機」が8件から41件に増える一方、「年末年始のために我慢」も15件から61件へ増加、「金銭的理由での節約」も215件に増えました。セールへの期待はあるものの、年末年始を見据えて支出を慎重に選別する消費者心理がうかがえます。
本文
博報堂生活総合研究所は2026年10月30日、生活者の消費意識や意欲の動向を調査・分析する「2026年11月の消費予報」を発表しました。同調査によると、2026年11月の消費意欲指数は46.6点となり、前月(10月)から0.9ポイント上昇して小幅に持ち直しました。ただし、前年同月と比べるとほぼ横ばいの推移にとどまっています。秋から冬へと季節が移り変わり、大型セールなどを控える11月は例年、消費意欲が刺激されやすい時期にあたりますが、指数自体は過去の傾向と比べても落ち着いた水準を保っています。今回の調査結果では、買い物機会への関心が高まる一方で、迫る年末年始の出費を見据えた家計の慎重な姿勢が浮き彫りとなっており、生活者の消費心理に二面性が現れています。
消費意欲の理由を尋ねた自由回答の分類集計では、買い物機会への期待感の高まりが表れました。セールやバーゲンなどを含む「買い物の好機」を理由として挙げた件数は、前月の8件から41件へと大幅に増加しました。11月下旬に定着したブラックフライデーなどの商戦や、冬物商品の本格的な販売開始を控え、必要な品物を割安に購入しようとする生活者の関心が反映された形です。また、支出を控える理由として挙げられる「欲しいものがない・意欲がない」という回答は、前月の362件から313件へと49件減少しました。こうした結果からは、買い物への関心が完全に失われているわけではない一方、セールなどの購入機会を意識する回答が増えている様子がうかがえます。
その一方で、生活者の購買行動を抑制しているのが、年末年始に向けた節約意識と家計の防衛姿勢です。自由回答において「年末年始のために我慢」することを支出抑制の理由として挙げた件数は、前月の15件から61件へと急増しました。12月のクリスマスや忘年会、年越し、正月三が日にかけては、旅行や外食、帰省、贈答など、年間でも突出して多額の支出が発生する傾向があります。これらに伴う将来的な家計負担をあらかじめ見越して、11月の段階から日常的な支出や不要不急の買い物を抑制しようとする生活者の心理的なブレーキが強く働いている様子がうかがえます。
さらに、時期的な要因だけでなく、家計の資金事情そのものを背景とする節約志向も根強く存在しています。自由回答の中で「金銭的な理由で節約・我慢」を挙げた件数は、前月の176件から215件へと39件増加しました。生活必需品などの支出を意識するなかで、金銭的な事情から買い物を控えようとする回答が増えており、家計の負担を考慮した慎重な消費意識がうかがえます。「欲しいものがないから買わない」という受動的な消費低迷ではなく、欲しい商品があっても金銭的な制約や年末年始の支出を考慮して現在の買い物を控えるという、選別的で慎重な消費行動のパターンが読み取れます。
今回の調査結果を読み解くにあたっては、調査手法や集計データの性格を踏まえる必要があります。本調査は、首都40キロ圏、名古屋40キロ圏、阪神30キロ圏の三大都市圏に居住する20歳から69歳までの男女1,500人を対象にインターネット上で実施されたものです。日本全国の全世代の消費者を完全に代表する統計ではなく、また指数の46.6点という数値も買い物をしたい人の割合を示すものではありません。さらに、自由回答の件数は回答者が挙げた理由を分類した結果であり、回答者全体の比率や人数と直接一致するものではなく、前月と当月の回答者が同一人物として行動を変えたことを追跡したものでもありません。しかし、大都市圏の生活者が直面する家計のリアルな感覚を映し出すデータとして示唆を持っています。
11月から年末商戦へと突入する小売・流通業界にとって、今回の消費予報は示唆に富む内容となっています。ブラックフライデーなどの商機に対して生活者の関心は確実に存在し、消費意欲指数も前月からわずかながら上昇していますが、それが無条件の購買拡大に直結するとは限りません。年末年始の出費を控えている生活者は、価格の割安感や購入する合理的な理由をシビアに見極めています。小売業にとっては、価格の割安感だけでなく、消費者が必要性や価値を感じられる商品を提案することも、年末商戦に向けた重要な視点となりそうです。家計の防衛と年末の楽しみの狭間で揺れる生活者の選別意識を的確に捉えることが、これからの年末商戦を考えるうえで注目されます。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)













