今回のニュースのポイント
楽天グループ、LINEヤフー、メルカリ、GMOインターネットグループの直近決算では、4社そろって営業損益の改善が進みました。楽天Gは営業損益が504億円の黒字へ転換し、LINEヤフー、メルカリ、GMOインターネットGはいずれも営業増益となりました。ECや広告、ネットインフラなど既存事業が堅調あるいは持ち直すなか、4社に共通する成長領域として存在感を高めているのが金融・決済です。各社がネットサービスで形成した顧客基盤を金融領域へ広げる動きが業績を支えています。
■ ネット大手4社、営業損益そろって改善
国内の主要ネットプラットフォーム大手4社の直近決算が出そろいました。楽天グループ(2026年12月期中間期)、LINEヤフー(2027年3月期第1四半期)、メルカリ(2026年6月期通期)、GMOインターネットグループ(2026年12月期中間期)の4社はいずれも、営業損益(営業利益)が前年同期・前期から改善しました。
売上高(売上収益)と営業損益をみると、楽天グループは売上収益が前年同期比12.9%増の1兆3,090億円、営業損益が前年同期の66億円の赤字から504億円の黒字へと転換しました。LINEヤフーは売上収益が前年同期比13.1%増の5,539億円、営業利益が同6.4%増の1,011億円となりました。メルカリは売上収益が前期比19.0%増の2,292億円、営業利益が同57.7%増の439億円を計上しました。GMOインターネットグループも売上収益が前年同期比11.2%増の1,586億円、営業利益が同17.1%増の342億円となりました。各社で対象となる決算期間が異なるため売上高や利益の絶対額を単純比較することはできませんが、既存事業の底堅さや持ち直しに加え、金融・決済領域が共通の成長領域として存在感を高めている構図が表れました。
■ 楽天、モバイル改善とフィンテックが支える
楽天グループの中間決算では、連結営業損益が前年同期の66億円の赤字から504億円の黒字へ転換(570億円の改善)し、復調を印象づけました。税引前中間利益(178億円)と中間利益(254億円)も2019年中間期以来7年ぶりの黒字化を達成しています。
業績改善の最大の牽引役となったのがフィンテックセグメントです。売上収益が前年同期比25.1%増の5,707億円、セグメント利益が同46.9%増の1,277億円と大幅な増収増益を記録しました。楽天カードや楽天証券、ペイメント事業などが軒並み好調だったほか、日銀の政策金利引き上げによる運用利回り向上をとらえた楽天銀行の資金運用収益が大きく拡大しました。注目のモバイルセグメントはセグメント損失が710億円と依然として巨額の赤字を抱えるものの、契約数の増加に伴い前年同期の884億円から赤字幅を173億円縮小させました。フィンテックの高収益とモバイルの損益改善が重なり、連結営業損益の黒字転換を後押ししました。ただし、非支配持分を差し引いた親会社帰属の中間損益では109億円の赤字が残っており、最終黒字化に向けた歩みが続いています。
■ LINEヤフー、PayPay成長 戦略事業の調整後EBITDA64%増
LINEヤフーの第1四半期決算は、売上収益が前年同期比13.1%増の5,539億円、営業利益が同6.4%増の1,011億円となり、主要指標である調整後EBITDAも同23.1%増の1,548億円と第1四半期として過去最高を更新しました。
既存のメディア事業やコマース事業が着実に伸びるなか、高成長を牽引したのが「PayPay」などを抱える戦略事業です。戦略事業の売上収益は前年同期比34.9%増の1,302億円、調整後EBITDAは同64.4%増の350億円へと急拡大しました。PayPayの連結取扱高は前年同期比23.0%増の5.5兆円に達し、PayPay銀行の貸出金残高も同37.5%増の1兆3,348億円へ拡大しています。「LINE」「Yahoo!」「PayPay」の各プラットフォームが相互に強みを発揮するなか、PayPayを中心とした金融・決済サービスが成長し、収益基盤として存在感を高めています。
■ メルカリ、売上・営業益最高 フリマから金融へ
メルカリの通期決算は、売上収益が前期比19.0%増の2,292億円、営業利益が同57.7%増の439億円、親会社帰属の当期利益が同35.6%増の354億円となり、売上高と営業利益で過去最高を更新しました。
国内フリマ事業(Marketplace)の流通取引総額(GMV)が前年比14.7%増の1兆2,856億円へ再加速し、越境取引GMVも1,122億円へ順調に拡大しました。これに加え、高成長を続けているのが金融(Fintech)事業です。Fintech事業の売上収益は前年比29.2%増の651億円、コア営業利益は91億円(同46億円増)を確保しました。クレジットカード「メルカード」の普及や「メルペイあと払い」の成長により与信債権残高は同44.4%増の3,581億円へ拡大。メルカードやメルペイあと払いなど、フリマ利用者を金融サービスへつなげる取り組みが利益成長を支えています。
■ GMO、インフラと金融がそろって最高業績
GMOインターネットグループの中間決算は、売上収益が前年同期比11.2%増の1,586億円、営業利益が同17.1%増の342億円、事業利益が同17.0%増の349億円となり、増収増益を達成しました。
主力の「インターネットインフラ事業」は対面決済『stera』端末などの広がりに伴う決済処理金額の増加や、クラウド・ホスティングの伸びにより、中間期累計の事業利益が前年同期比25.1%増の251億円と最高業績を更新しました。もう一つの柱である「インターネット金融事業」も、CFD取引の拡大などが寄与して事業利益が同28.8%増の110億円となり、インフラ事業とともに最高業績を更新しています。一方で、暗号資産事業は事業利益が前年同期比99.2%減の1000万円へ大きく落ち込むなど、金融関連のなかでも市場環境による明暗が表れました。
■ 「ネット+金融」が共通の成長モデルに
ネット大手4社の決算を横断すると、既存事業の成長や改善を進めつつ、「ネットサービスと金融の融合」によって成長力を高めている姿が浮かび上がります。
4社の主力事業は、楽天のEC、LINEヤフーのメディア・EC、メルカリのフリマ、GMOのネットインフラとそれぞれ異なります。しかし現在は、それぞれが自社サービスで築いた顧客・取引基盤を生かし、クレジットカード、銀行、決済、与信、証券、金融取引など金融・決済領域へ事業を広げています。
4社の決算からは、それぞれ異なるネットサービスを起点としながら、金融・決済が収益拡大を支える共通の成長領域となっている姿が浮かびます。既存事業の成長や収益改善とともに、自社の顧客・取引基盤を金融サービスへどこまで広げられるかが、今後の各社の成長を左右するポイントの一つとなりそうです。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)













