ニコンは前日に中期経営計画を発表。医療分野を中心にM&Aに今後3年間2000億円を投資し、2017年3月期の売上高は今年3月期比22％増を目指すが、JPモルガンが疑問視してレーティングを引き下げ43円安で値下がり率16位。同じ半導体関連でも東京エレクトロン＜8035＞が99円高で連日年初来高値を更新したのとは対照的だった。
シーメンスとともにアルストム社の買収計画をオランド大統領に説明した三菱重工＜7011＞は、フランス国内に開発や調達の拠点を設け約2000人を雇用すると報じられ7円高。売買高9位、売買代金13位と買いを集めた。アルストムはエアバスやトタルやダノンなどと並ぶフランスを代表する大企業なので、それなりの覚悟が必要になる。トルコの地下鉄車両126両を受注した三菱商事＜8058＞は19円高で年初来高値更新。JUKI＜6440＞は13円安と続落し値下がり率2位。野村證券への新株予約権の第三者割当で約44億円を調達と発表。最終的に発行済株式が15.46％増加する希薄化を嫌気された。
創薬メーカーの日本新薬＜4516＞は281円高で値上がり率4位に入り、今週は連日上場来高値更新。医療・介護用ベッドのパラマウントベッドHD＜7817＞は、脈拍などを計測できる「スマートベッド」が注目され55円高。在宅医療関連では「常時見守り」がキーワードになりそうだ。
値上がり率ランキングは、少し懐かしいナツメロならぬナツテーマの復活リサイタル。「マグネシウム電池」では藤倉ゴム工業＜5121＞が132円高で1位、古河電池＜6937＞が57円高で6位。「セルロースナノファイバー」では星光PMC＜4963＞が134円高で3位。「3Dプリンター」テーマがいないのが少しさびしい。みずほ系の芙蓉総合リース＜8424＞は東海東京がレーティングを2階級特進させて305円高。年初来高値を更新し値上がり率8位に入っていた。
不動産セクターはクレディスイスがセクター投資判断を引き下げたが、めげずに大手3社は後場プラスに転じた。しかしクレディスイスが個別にレーティングを引き下げた野村不動産HD＜3231＞は3円安、東急不動産HD＜3289＞は9円安。海運セクターはバルチック海運指数が5日続落で日本郵船＜9101＞3円安、商船三井＜9104＞4円安、川崎汽船＜9107＞1円安と波高し。待てば海路の日和あり、か？
JR東日本＜9020＞は「駅近」に保育施設を100カ所設置すると報じられ110円高。私鉄が先行し、沿線に若夫婦を呼び込むインセンティブ（誘因）になっているという。ドラッグストアのツルハHD＜3391＞は、2015年5月期の営業利益見通しが16.2％増の280億円で市場予測の277億円を上回り220円高。6期連続で最高益を更新し、野村證券とゴールドマンサックスが目標株価を引き上げた。食料品セクターはマイナスで、悪役は4円安のサッポロHD＜2501＞、18円安のキリンHD＜2503＞、29円安のアサヒGHD＜2502＞のビール3社だった。
主に首都圏エリアで不動産の買取、再販、賃貸事業を行っているムゲンエステート＜3299＞が東証マザーズに新規上場。9時16分、公開価格1200円に対し1320円の初値がついた。終値は1211円。今週の新規IPOの公開価格に対する初値の星取は1勝1敗。
この日の主役は新興市場銘柄。日経ジャスダック平均は1.14％、東証マザーズ指数は1.53％上昇で6連騰と元気。先陣を切ったのがミクシィ＜2121＞で、前場は売買代金で「ソフトバンク超え」して全市場トップになり、株価も1460円高で「モンスターストライク」の大ヒットだけでは説明できない快進撃が続く。ところが後場、ロボット関連のサイバーダイン＜7779＞が急騰してストップ高の1500円高になり、売買代金はソフトバンクもミクシィも追い越した。全市場売買代金は1位サイバーダイン、2位ミクシィ、3位ソフトバンク、4位がこれも新興市場銘柄で半導体・液晶検査機器の日本マイクロニクス＜6871＞で、一時ストップ高の980円高。6位には東証1部のロボット関連銘柄の川田テクノロジー＜3443＞が入り、470円高で値上がり率7位、売買代金3位だった。
同じロボット関連の菊池製作所＜3444＞は4月期決算が1億8400万円の営業赤字だったが、従来予想の2億5100万円の営業赤字よりも赤字幅が圧縮された上、今期は1400万円の営業黒字の見込みなので後場急伸して1280円高。「マッスルスーツ」の将来性は足元業績の赤字にも打ち勝つ。新興市場銘柄はボラティリティが大きいのが特徴で、前場と後場で株価が一変することも少なくない。デイトレーダーにとっても魅力的だ。（編集担当：寺尾淳）
