「うるう年」ならぬ「うるう秒」の調整が行われているのをご存じだろうか。独立行政法人情報通信研究機構(NICT)は16日、2015年7月1日に日本標準時に「うるう秒」の挿入を実施する予定だと発表した。最近では3年前となる平2012年7月1日に「うるう秒」の調整が行われた。また、「うるう秒」の調整が平日に実施されるのは、1997年以来となる。
今回のうるう秒の調整は、2015年7月1日(水)の午前8時59分59秒と午前9時00分00秒の間に「8時59分60秒」を挿入する。
「うるう秒」の調整は、地球の回転の観測を行う国際機関である「国際地球回転・基準系事業(IERS:International Earth Rotation and Reference Systems Service、所在地:パリ)」が決定しており、これを受けて世界で一斉に「うるう秒」の調整が行われている。日本では、総務省及びNICTが法令に基づき標準時の通報に係る事務を行っており、IERSの決定に基づきNICTにおいて日本標準時に「うるう秒」の挿入を実施している。
時刻は、かつて地球の公転・自転に基づく天文時(世界時)から決められていたが、1958年より原子の振動を利用した原子時計(セシウム133原子の遷移周波数を使い数十万年に1秒ずれるだけの高精度な時計)に基づく国際原子時が開始され、1秒の長さが非常に高精度なものとなった結果、原子時計に基づく時刻と天文時に基づく時刻との間でずれが生じるようになった。
そこで、原子時計に基づく時刻を天文時とのずれが0.9秒以内におさまるように調整を行った時刻を世界の標準時(協定世界時)として使うことにしており、今回もその調整を行うために「うるう秒」の挿入が行われるもの。「うるう秒」の調整は1972年から数年に1回程度行われている。
NICTでは、電波時計等に時刻情報を提供している標準電波、放送局等に時刻をお知らせしている「テレフォンJJY」、ネットワークを利用したコンピューターの時刻合わせに使われている「NTPサービス」など、日本標準時通報サービスにより「うるう秒」挿入後の正しい日本標準時を通報するとしている。(編集担当:慶尾六郎)